受け継がれる想い
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365日24時間働く真選組といえど、やはりお盆となれば田舎に帰る者が多数出る…ってゆーかほとんどの隊士が実家に帰る。目的はもちろん、お墓参り。それと、家族に元気な姿を見せるということも兼ねられている。
しかし全員が帰る前に決まって行われる行事があるらしく、花やバケツ、それにブラシなどを持って私たちはある場所に向かった。
「みんな、久しぶりだな!」
小さなお寺の中の奥にある竹林を抜け、その更に先の日当たりのよい草むら…そこにあったのは大きな碑で、これは職務中に殉職した方々の慰霊碑らしい。納骨はされていないが、亡くなった真選組の隊士の方々の魂を忘れないよう、激務の間を縫って定期的に交代で掃除やお供えをしにくるのだ。しかしお盆には、隊士全員で参る。そして、全員で彼らの働きに敬意を示すのだ。
バケツリレーの要領で水を運び、タワシやブラシで一生懸命に磨いた。
私は花の担当だったので、長さを揃えて茎を切り、見映えがいいようにして生けた。
「お、何だこの花?」
『コレ?トルコキキョウだよ!トシくんがお花に興味示すなんて珍しいね』
「いや、墓前の花なんて菊しか思い浮かばなくてな…そーか、こういうのもいいな」
『でしょう?』
自分が選んだ花を褒めてもらえたのが嬉しくて、自然と笑顔になりながら最後の一本を生けようとした…けどその手を止め、トシくんに差し出した。トシくんは何のことかわからずにキョトンとしていたが、私はコクと唾を飲み込んで言った。
『コレ、ミツバさんに…』
その言葉を聞いてトシくんはピクリと反応したけれど、優しく微笑んで私の頭をポンポンしてくれた。
「ミツバのこと、そんなに気にしなくていーぞ」
『わかってる…けど、』
「優しいんだな、妃咲は」
何度か渡そうと粘ったが、トシくんが受け取ってくれなかったので仕方なく私が持って帰ることにした。そうだ、屯所の仏壇にでも供えておこうかな。
15*受け継がれる想い