目指せ頂点金メダル!
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配布された柔道着(ここにも【SHINSENGUMI】の刺繍が入っていた。すごいこだわりようだなぁ…)に着替え、柔道場に向かうと結構たくさんの人がいた。こ、ここにいる人みんな出場すんのかなぁ…。
知り合いが見つけられずにウロウロしていたら、男子更衣室からトシくんが出てくるのが見えたので駆け寄っていった。
『いよいよだね、女子から試合やるみたいだよ』
「そうみたいだな、妃咲なら大丈夫だろ」
いつも通りやれ。と背中をポンと押され、ガッツポーズを作って笑って見せた。どんな相手だろうとも、絶対負けない!
まずは一番軽い階級から始まった女子柔道。初戦から順調に勝ち進んでいた私だったが、決勝までいったところで相手を確認し、驚いた。
『か、神楽ちゃん…』
そう、私の正面に柔道着を着て立っていたのは神楽ちゃんで、私が相手であることに気付くと嬉しそうに手を振った。
「妃咲姉!妃咲姉が相手アルか」
『そうみたいだね…』
神楽ちゃんの強さはよくわかっている。確か夜兎っていう部族で、すごい力持ち。
「始め!」という審判の声を聞き、雄叫びを上げながら飛びかかってくる神楽ちゃん。確かに力では敵わない、けど……
『…これは柔道よ、』
「ホァチャアアアア!」
神楽ちゃんが私の襟首に掴みかかってきたと同時に体重を後ろにかけ、タイミングを合わせて足を思いっきり上に向かって突き上げた。
「およ」
そう、正面から力で勝負しにいっても結果は見えているので、私が仕掛けたのは巴投げ。最初からこの一技だけにかけていた。
一本が決まったことを知らせる声と共に体を起こし、大の字になっている神楽ちゃんに左手を差し出した。
『柔道では負けられないわ、おじいちゃんに悪いもの』
そう言うと、神楽ちゃんはニッコリ笑って「参ったアル!」と私の手を掴んで起き上がった。
礼を終えた後、トシくんの所に小走りで向かうと、渋い顔をしながら私の右手を掴んだ。
『いっ…!』
「やっぱりか…」
私の反応はどうやらトシくんの予想通りだったらしく、ため息混じりに駿ちゃんたちを呼んだ。
「お呼びですか?」
「柏木、妃咲はもう棄権する。葉山、妃咲を救護室に連れていけ」
『ちょ、トシくん!?』
「指、ちゃんと手当てしねェとダメだろーが」
そう、トシくんに気付かれたのは右手中指のケガ。多分さっき神楽ちゃんの胴着を掴んだときにちょっとミスって痛めてしまったのだ。
『でも、』
「バーカ」
自分が頑張らなきゃと意気込んでいた私の額をペシッとはたいたトシくんは、振り向き際に微笑みを浮かべてこう言った。
「俺を信じろ」