目指せ頂点金メダル!
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「妃咲、結局何の種目でエントリーすんだ?」
『ん、これ!』
近藤さんに出たい種目を提出するため所定の用紙に記入し、妃咲と一緒に廊下を歩いていたときにふと妃咲が何の種目に出るのかが気になった。
ので聞いてみると、妃咲はニコリと笑って用紙を見せてくれた。
…が、俺は目を疑った。
「…妃咲、俺には柔道の全階級にチェックが入れてある気がするんだが」
『え?そうだよ!』
「…いや、100歩譲ってそこはいいとしよう。だが男子の欄にも丸がつけてある気がするんだが」
『つけてあるよ!』
「…つけてあるよ!じゃねーだろうが!!お前は何を目指してんだ!?提出前に確認してよかったわァァ!」
状況を整理すると、日向妃咲と書かれたエントリー用紙には【柔道】の種目に丸がつけてあり、その上女子48キロ級~無差別級、男子60キロ級~無差別級の全ての階級にチェックが入れてあったのだ。
いくらメダルが欲しいからといってコレはないだろ。無茶にも程がある。
『大丈夫だよ、大袈裟だなぁトシくんは!プロの選手と試合するわけじゃないし、かぶき町って範囲内だから平気だよ』
「いや、それにしても男子相手にはキツいだろ…!………ん?しかも柔道って寝技あるじゃねーか!!断じて許さん、許さんぞォォ!」
『ね、寝技かけられる前に倒すから!それならいいでしょ?許して!!』
おねがーい!と懇願する妃咲は、上目遣いでチラッと俺の方を見た。妃咲のその顔に弱い(基本的に妃咲に対しては、どの表情でも弱いが)俺は一瞬「うっ」とたじろいたが、ここを譲るわけにはいかねェ。俺はジャージのポケットからボールペンを取り出し、男子の欄をぐりぐりと塗り潰した。
『ああっ!』
「ここは、俺に任せとけ」
そして自分の用紙の俺の体重で出られる全ての階級の欄にチェックを入れた。
妃咲を守んのは俺だ。妃咲の膝は、誰にも渡さねェェェ!…ってアレ?膝限定?
近藤さんを睨みつつ用紙を提出し(近藤さんは若干ビビっていた)、今からでも何か練習せねばと思いながら妃咲と相談をし、零番隊の2人も呼んで作戦会議をした。
「とりあえず平隊士は心配ねェ。山崎も…メダル取れたとしてミントンだけだ。問題はアイツだよ、アイツ」
『そ、そーごかぁ…』
俺と妃咲、そして零番隊の2人は生垣からコソッと総悟の様子を見ていた。さっきまでの無気力はどこへやら、ジャージ姿で腕組みをする総悟は一番隊の奴らに何か指示をしていた。
「副長、これが沖田隊長がエントリーした種目です」
調査を頼んでおいた柏木から報告の紙を受け取り、俺の眉間にはシワが寄った。
「どれどれ……【野球、シンクロ、射撃、水泳】…4種目出んのか。つーかシンクロって…」
「出る数では妃咲隊長の方が多いですね」
「いいですよね、一番隊は人数いるから団体種目出れて」
『そうだよね、私たちなんてトシくん入れても4人だもんね』
俺らはしばらくコソコソとしていたが、葉山がくしゃみをしたせいで総悟にバレてしまった。
「おやおや、土方さんに零番隊のみなさんじゃありやせんか。何のご用で?」
「別に用なんて…」
「くそぅ、俺がくしゃみさえしなければバレずに活動し続けられたのに!」
「いや、俺がもっとちゃんと調査してれば今ここにいる必要自体なかったんだ!」
『いえ、私に実力さえあればスパイする必要自体なかったのよ!』
「お前ら頼むから黙ってくれるか!?」
せっかく黙っておこうと思っていたスパイ活動について、ベラベラと語り出す零番隊の3人にゲンコツをお見舞いし(妃咲には手加減した)、最近ボケに回ることが多くなった総悟に声をかけた。
「暑い中野球の練習か?ご苦労なこった」
「沖田SHINSENGUMIを結成したんでねィ、負けるわけにはいかないんでさァ」
「いや、語呂悪っ!星野JAPANに乗っかったつもり!?」
「見てくだせェ、うちの守護神」
そう言って総悟は「おーい、ちょっと来なせェ」と向こうの方にいる男を呼んだ。
「コイツです、ハチロー」
「ハチローって誰ェェェ!?イチローと被せてんの?」
ペコリと一礼するハチローを指差して喚いた俺は、さっきの総悟の言葉を思い出した。
「おい、コイツ守護神だって言ってたろ。ポジションどこだ?」
「何言ってんでィ、守護神なんだからピッチャーに決まってまさァ」
「じゃあ聞くけどな、イチローってどこのポジションかわかるか?」
「…ピッチャー?」
「お前ェェェ!イチローのポジションも分かんねェ奴に野球を語る資格はねェよ!!」
総悟に激しくツッコミを入れた後、俺は心の中でこう思った。
申し訳ない、世界のイチロー。今度、「沖田殴り放題券」を送ります。