涼を求めて三千里
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『おいしいィィィ!』
屯所を出た私たちは江戸でも人気の甘味処に入り、それぞれが食べたい味を頼んだ。
くぅぅ!頭がキーンとなるけど、これも含めてかき氷だもんね!いかにもかき氷って感じで気分まで涼しくなってきた。
「総悟のやつ、何だっけ?」
「ブルーハワイでさァ。この全っ然ハワイっぽくないところが魅力ですぜィ」
「…そーか、気付いてるかもしれねェが舌真っ青だぞ、総悟」
『ふふっ、ソレ面白いよ総悟!勲さんのはバナナですか?』
「ちょ、妃咲ちゃん、それは俺の外見で判断したの?色は似てるけどもレモンだからねコレ」
「妃咲のはイチゴだっけか?」
『いえーす、定番の味!トシくんのは何?みぞれ?』
「ああ、だがな…」
そう言ってニヤリと笑ったトシくんは、隊服の懐をごそごそと探ってアレを取り出した。
「げぇっ、トシ!まさか…」
ぶちゅぶちゅとチューブを絞り、完成したかき氷を見たトシくんは満足げにキャップを閉じた。
「かき氷…土方スペシャルだァァァ!」
『すごーい!天才だよトシくん、コレすっごく美味しそう!私にも貸してー』
「いいぜ、ホラ」
『ありがとう!』
「ちょ、妃咲ちゃんまでェェェ!?」
「忘れてたぜィ、妃咲も土方さん属性だったなァ…」
トシくんに借りたマヨネーズを自分のかき氷(イチゴ味ね)にたっぷりかけて、完成した完璧なかき氷を見つめた。
『これ、妃咲スペシャルって呼んでもいいかな…?』
「ああ、いいと思うぜ。それは紛れもなく妃咲スペシャルだ」
改めて『いただきます!』と大きな声で言ってから、妃咲スペシャルを掻き込んだ。んん!冷たい氷とマヨネーズのコラボレーション…最高!
美味しい!とトシくんに言えば「当然だろ」と言って嬉しそうに笑ってくれた。
「くそ、さっきかき氷食ったばっかなのに…」
「やっぱり一番の大問題は隊服でさァ」
それぞれのかき氷を堪能して、甘味処を後にした私たちは再び汗をかきまくっていた。
4人とも上着を脱いでいるものの、暑いものは暑い。身体中の汗腺から汗が出てるんじゃないかと思いながら、重たい足を引きずって屯所への道を歩いていた。
妙にカッチリした隊服のせいで汗だくになり、周りの涼しげな格好をした市民の皆さんから見れば、私たちの頭上だけ夕立が降ったんじゃないかと思われそうな状態……ん?んん?
『あーっ!』
「うぉ、ビックリした!」
「どーしたんでィ、妃咲」
私は急に閃いた。そう、そうだよ!何で今まで気付かなかったんだろう?ばか、私のばかっ!
『水浴びですよ!』
「水浴び…?」
『屯所で水浴びしましょうよ!江戸って、水不足ではなんですよね?』
「なるほど、水浴びかァ…面白そうですねィ」
「いいんじゃないか、なァトシ」
「あぁ、別に問題ねェ」
そうと決まれば善は急げ!さすがに走って帰る元気はなかったけど、ほんの少し歩くスピードを上げて屯所に戻った。