涼を求めて三千里
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「うぁ、暑ィ」
『…暑いね』
「暑いな…」
「暑いィィィ!!!」
この記録的な猛暑の中、屯所内唯一の頼みの綱である空調機械が反乱を起こした。つまり、故障。
屯所にある全ての窓や戸を開け放したが、風通しの量にも限界がある。私たち4人は一番涼しい食堂に集まっているものの、あまりの暑さに動く気すら起きない。さっきまでは勲さんが「暑い!」と騒ぐと、トシくんが「うるさい!」ってツッコミを入れていたけれど、今や誰もつっこまずにだれている。
しかも屯所内はもう完全に無法地帯だ。食堂内も窓際の席は争奪戦だし(まぁ、真選組トップ3に睨まれてみんな私たちに譲ったけど)、「廊下の板が冷たい」と言ってベタッと廊下にはりついている人や、「この部屋の畳が一番冷たい」とか言って客間に寝そべっている人も多い。とにかく屯所内は荒れに荒れていた。
『今、攘夷浪士に襲撃されたら、みんな無抵抗のまま死にそうですね』
「大丈夫さ、攘夷浪士もこんな暑い日に攘夷活動はせんだろ」
「何でだ?」
「暑いから」
「それ答えになってやせんぜ」
どんなにリモコンを押そうとも一切冷風を出さないエアコンを睨んで、額に張り付いた髪を直した。
『何で扇風機ないんですか~…』
「前はクーラーじゃなくて扇風機だったんだが、倉にしまってたら埃まみれになってぶっ壊れたんだ」
「それから屯所にエアコンが導入されやしてね……快適だったなァ、あの頃」
『総悟、遠い目をしちゃダメ、今気を抜くと魂持ってかれるわよ』
「大体よォ、クーラー自体は無事なのに、集中管理の機械が壊れるなんて…ありえねーっつーの!」
みんな最初は暑さのせいかイライラしていたが、それをも通り越して今や全員が無気力状態にある。24時間年中無休の警察たるもの、こんなことではいけない!と思って私はガタンと椅子を鳴らして立ち上がった。
「妃咲…?」
『真選組納涼計画、始動!』
12*涼を求めて三千里