天の川に願いを込めて
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不格好な短冊に願い事を書き、笹にくくろうと中庭に戻れば、そこには背伸びして笹に何かをつけようとしている妃咲の姿があった。
「…妃咲、何してんだ」
『ぎゃ!トシくん…』
「お前、もう短冊飾ってたろ。まだ何か…」
『あわばばばば!いいからいいからっ!!』
「高いところにつけたいんだろ、俺がつけてやるよ」
いいってばァァァ!と叫ぶ妃咲を無視して、妃咲の手に握られていたものをヒョイと取り上げた。
「短冊?だって短冊は1人1枚のハズじゃ…」
『あー!』
そうだ、短冊は1枚ずつしか配られてないハズなのに、妃咲の手には薄紅色の短冊が握られていた。何書いてんのかが気になった俺は、短冊を取り返そうと暴れる妃咲の頭を掴んで制し、妃咲がジャンプしても届かないような高い位置に手を上げて内容を読んだ。
「ずっと、トシくんの側にいられますように………」
『あああああ…!』
声に出して読めば、観念したのか真っ赤になった顔を隠した妃咲はその場にしゃがみこんだ。
何だ、わざわざ2枚目の短冊を調達してまで妃咲が書いたのは俺のこと?
バカじゃねーの、こんなの短冊に書かなくても叶えてやるっつーの。
「妃咲、お前の短冊は既に飾られている」
『う、はい……』
「だからこれは没収な」
『はい…って何で!?』
「だって、これを叶えてやるのは彦星や織姫じゃなくて……俺だろ?」
そう言ってニヤリと笑ってやれば、ますます顔を赤くした妃咲は、恥ずかしさを紛らす為に俺の胸を軽く小突いた。
「それにな、その短冊飾ると……俺の願いと被っちまうんだよ」
『へ?』
俯いていた顔をバッとあげた妃咲は、ポカンとした表情をしていた。
『それって…』
「俺の願い、聞きてェか?」
妃咲がずっと、俺の隣で笑っていてくれますように
連載第十一話。
何だか甘めな七夕。
2008.7.7 愛紗