聞きたい言葉は
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抑生に渾身の一太刀を浴びせてやれば、奴はその場に倒れて意識を失った。
「綺麗な一撃だったな、トシ」
「あーあ、のびちまった…」
「おーい山崎、コイツ連行しときなせェ」
「はいよっ!」
連行、というよりもただズルズル引きずってパトカーまで奴を運んだ山崎を見送って、お前血だらけだぞ。土方さんこそ流血してやすぜ?とどうでもいいようなやり取りを繰り返していたら、向こう側の塀の上によじ登っている妃咲がいた。
「妃咲!?」
『…み、んなっ……わっ!』
「あ、バカ!」
やっぱり妃咲はどこかどんくさいところがある。ヒョコッと塀の上から顔を出し、俺たちを見つけたのが嬉しかったのか…興奮して身を乗り出したせいでバランスを崩し、塀から落ちた。
「あっ、ぶねー…」
『…わあああゴメン!』
妃咲が地面に落ちる直前、間一髪で滑り込んで妃咲の体を受け止めた。
「お前バカか、あっちに戸があるだろーが!」
『あ、本当だ…』
えへへ、と笑って誤魔化そうとした妃咲の顔は涙でグチャグチャで、それでもアホみたいに笑ってる妃咲が可愛くて仕方なかった。
「本当にバカだよ、お前は…」
『ト、トシくっ…』
ギュウと妃咲の体を抱き締めると、最初は慌てていた妃咲だったが、しばらくすると俺の腕の中で大人しくなった。
『ゴメン、ね…?』
「もう、勝手にどこにも行くんじゃねーぞ…」
『…うん、約束する』
「勝手に2人の世界に入ってんじゃねーぞ土方コノヤロー」
…せっかくいい雰囲気になってたのに、総悟のせいで台無しだ……でも、まぁいいか。今日は全員で妃咲のために戦ったんだからな…。
「それに土方さん、俺たちが妃咲の口から聞きたいのは、【ゴメン】なんて言葉じゃねェはずですぜィ」
「そうだぞ、トシ」
「悪ィ。そうだった……妃咲、出掛ける前に、早く帰ってこい…って言っただろ?」
『…そう、だったね……!』
またボロボロと涙を溢していた妃咲は、それを拭ってニッコリと微笑んだ。
『ただいま、みんな…!』
連載第十話。
やっと抑生編完結!
2008.7.2 愛紗