聞きたい言葉は
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「さて、殴られる覚悟は出来てるよな……抑生殿?」
木刀を抑生の方へスッと向けたトシくんは、低いけれどよく通る声でそう言った。
『…なに、やっ……』
私は、知ってるんだからね。
トシくんや勲さん、総悟たちが一番大切にしているものを。
『…なに、やっ…の……』
トシくんたちはたった3人で、真剣を持って斬りかかってくる男たちを相手に暴れまくっていた。
それを見張り塔の上から見ている私の足の力は抜けてしまい、窓枠に手をかけたままヘタリと座り込んでしまった。
『なに、やって…の……』
私、ホントに知ってるのよ?
あなたたちが命を張ってでも守りたいと思ってるものは、決して目に見えるものではないけれど…
『なに、やってるの……』
それは目に見えるモノより確かで、美しくて、あたたかい。
けれどもそれは崩れるのも簡単で…
『なに、やってるのよ…』
私だって守りたかった、真選組の一員として守りたかった。
例え裏切り者という汚名を背負ったとしても構わない。確かに、それを守る方法は他にもあったかもしれない……けど、一番いい方法なんてどうでもいいのよ。
『なに、やってるのよォ…!』
私だって守りたい、守れればそれでいい。どんな方法だっていい。そう思っていたのに、何で…!
『…バカ、じゃない』
私は目から止めどなく溢れてくる涙を抑えることが出来なかった。
この涙の理由はひとつしかない。
それは守れなかった悔しさでもないし、彼らの行動に呆れたわけでもない。
みんなが私を助けに来てくれたのが嬉しかったんだ。大きな声で私の名前を呼んで、絶望の谷の淵から救ってほしかったんだ。
ポツリと口をついて出た言葉は、彼らに届くのかな…?
『…かな、』
口に出しても、いいの?
伝えても……いいんですか?
『また、みんなで…笑い合えるのかな……』