知りたかった真実
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私はたくさんの綺麗な着物や装飾品に囲まれて座っていた。私が欲しいのはこんなものじゃない、けど…これでよかったんだよね。これが一番良い方法だったんだよ。ただ心残りなのは、結局みんなを裏切る結果になってしまったということ。それに…トシくんの気持ち。もう、私のこと嫌いになったよね。せっかく、想いが通じ合ったと思ったのに…!
溢れ出しそうな涙を必死に堪えて、両手を膝の上でギュッと握りしめた。その時、廊下の方から女中さんたちの話す声が聞こえてきた。
「ねぇねぇ、聞いた?」
「何を?」
「今、表で旦那様たちがケンカしてるんだって」
「まぁ!相手は?」
「それが、真選組の…」
…真選組?真選組がここに来てるの?何で、何のために!?それに、ケンカって…そんなことしたら、私がここに来た意味がないじゃない。何やってんの、何やってんのよ…!
いてもたってもいられなくなった私は、サッと立ち上がって襖の方に走った。
スパンと勢いよく襖を開けると、そこにいた女中さんたちはとても驚いていたけど、そんなの関係ない。
「妃咲様!!?」
『真選組…真選組はどっちに来てるの……?』
「な、なりませぬ!妃咲様はこのお部屋にいていただかないと…」
『うるさい!真選組が来てるのは、どっちだって聞いてんの!!』
ガッと彼女たちの胸ぐらを掴んで凄むと、小さく「ひっ」と声を上げた後に震える手で左側を指差した。
「あちら、です…」
女中さんの着物を掴んでいた両手を離し、私は夢中で走り出した。途中で足袋が脱げてしまったけれど、そんなの気にしない。
何とか屋敷から出ることは出来たけど、屋敷の周りには高い塀がめぐらされていた。向こう側からわーわーと声が聞こえる。ここにみんながいる…!
荒い呼吸を整えて、ふと後ろを見上げれば高い塔が立っていた。周りから「妃咲様ァァ!!」と叫ぶ女中さんや護衛の人たちが集まってきたけど、私は駆け出した。
『どきなさァァい!!』
向かってくる人たちは容赦なく倒した。砂利道を走ったせいで、足の裏が切れても気にしない。暴れたせいで、ボロボロになってしまった着物も気にしない。ただひたすらに、目の前にある見張り塔に向かって走った。
9*知りたかった真実