任務を遂行せよ
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シャン…と刀を抜いて脇に構えると、横でも同じような音がした。まさかとそちらに目を向ければ、妃咲がニヤリと笑ってこちらを見た。
『全員倒せば、文句ないんでしょ?』
そう言って妃咲は刀刃の向きを峰打ちの形に変えた。
妃咲がそのつもりなら…と俺も刀を持ち変え、2人同時に斬り込んだ。
「畜生、何人いやがるんだ!」
『斬っても斬ってもキリがない…あ、そうだ!』
斬った奴らは後ろで倒れているが、如何せん相手の数が多すぎる。今は走って逃げながら向かってくる奴だけ斬っていった。
そんな中、妃咲は何かを思い付いたのか懐をゴソゴソし出した。
「何やってんだ?」
『ザキくんにもらった武器を…』
あった!と言って妃咲が懐から取り出したのは、小さめな紙袋だった。何が入ってるんだ?
『何が…』
紙袋の中身を覗いた妃咲は、マンガの様に目が点になっていた。
「…妃咲?」
『ザキくんのバカヤロォォ!!!』
急に叫んだかと思えば、足元にあった石に気付かなかったのか派手に転んでいた。ズシャアァァ!というデカイ音を立てて、倒れた妃咲は、泣いているようだった。
「ちょ、どうしたんだよ…」
『妃咲ァァァ~…』
「…?」
伏せた状態のまま声を出したかと思えば、いきなりバッと起き上がって襲い掛かってくる敵の方に構えをとった。
『輪ゴーム!!!』
指には輪ゴムが引っ掛かっていて、ああ、妃咲の武器は輪ゴムだったのかと思った。正直何やってんだ?と言ってやりたかったが、周りを見渡してみると全員が動きを止めて目をつぶっていた。お前らが何やってんだァァ!!?
『トシくん、今だよ!』
その様子にポカンとしていたら、妃咲が俺の手をキュッと握り走り出した。
走っている横顔を見ていたら、妃咲はこっちを見ていたずらっ子のようにニコリと微笑んだ。
『勲さんんんん!』
「オイ、ここ一応敵の本陣だぞ」
『私たちの大将に手ェ出したら、承知しないわよォォ!!』
「関係ないってか!」
もう隠密とかそんなの関係なく、ズンズンと廊下のド真ん中を歩く妃咲についていっていたら、途中で黒焦げの総悟と傷だらけの山崎に出会った。
「な、何があったんだ?」
「…聞かんでくだせェ」
「色々あったんスよ……」
何かツラい過去を背負ってしまったその2人も連れ立って、近藤さんの行方を探した。