君がお前で、お前が君で?
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そうこうしているうちに日も昇り、なんとか落ち着きを取り戻した俺は2人を前にして困り果てていた。
「何だ、つまり目が覚めたら2人の体が入れ替わっていたと。そういうことか?」
「そうでィ」
『何でなんだろう…』
読者の皆さん、分かりにくいかもしれませんが「そうでィ」と言ったのが妃咲の姿で中身は総悟。『何でなんだろう…』と言ったのが総悟の姿で中身は妃咲。ちゃんとついてきてるか?
「何か心当たりはねーのか」
「心当たり…かァ」
『…あ!もしかしてアレじゃないの、てかアレしかないよ!』
「アレ?」
『昨日総悟が持ってきたお菓子!あれ2人で分けて食べた後、ザキくんが何か慌ててたじゃない!』
総悟が妃咲の口調で話すことにかなりの違和感を感じたが、「中身は妃咲なんだから…」と自分に言い聞かせて納得した。いつぞやの妖刀事件を思い出すな…。
「あーアレ、何か心身交換まんじゅうとかいって、近藤さんが天人から押収したブツでさァ。処分頼まれたんで食っちまったんでィ」
「確実に原因それじゃねーかァァァ!」
思いっきりツッコミを入れたかったが、総悟の体は妃咲(何かこういう言い方をすると語弊があるが)。直前でぐっと堪えたが、総悟姿の妃咲がビシッと気持ちのいいツッコミを決めた。妃咲にとっては自分の体なので遠慮なく、むしろ清々しい程だった。
『どーしてくれんのさ総悟!』
「お、落ち着きなせェ妃咲…実はこれ実験段階の試作品らしく、もう一度寝たら効果は切れるってしよっぴいた天人が言ってたような、言わなかったような…」
「曖昧ィィ!」
『てゆーか実験段階ってことは…もしかしたら戻らないかもしれないじゃない!』
どーすんのォォ!と叫んで妃咲(中身は総悟)の胸ぐらを掴みガクガクと揺する総悟(中身は妃咲)の画はものすごくシュールなものだった。普段見られないからね、こんな光景。
『ホントに戻らなかったらどうするの!』
「その時はその時でさァ」
『無責任んんん!何ケロッとした顔してんの!?だってこのままだと…』
総悟姿の妃咲はチラッとこちらを見て、再びキッと妃咲姿の総悟を睨み付けて叫んだ。
『このままだと私じゃなくて、総悟がトシくんとイチャイチャするんでしょぉぉぉ!!?』
「何でそうなる!!」
「そうでさァ気持ち悪ィ!」
『だってトシくんは、総悟の体の私を愛してくれるの?』
「妃咲…」
「つーかやめてくんない。妃咲は今俺の体なんだから、土方さんと手を握って見つめ合うのやめてくんない。端から見ててすげー気持ち悪ィんだけど」
オェ!とわざとらしく吐くマネをした総悟だったが、体が妃咲なので妃咲が反抗期に突入したみたいに感じられて何だか悲しくなった。
でも確かに総悟の言うことも一理ある。このまま妃咲が総悟の体だったら、俺だっていくら中身が妃咲であろうとも違和感があるし、周りから見ても異様な光景だろう。しかしそれよりも……
「お前が妃咲の体を占領してるのがムカつく!俺が布団敷いてやるから2人とも寝ろ!」
俺たちがギャーギャー騒いでいたので何だ何だと他の隊士たちが集まってきたが、部屋の障子を固く閉ざし、押入れに余分に入っていた布団を部屋の真ん中に敷いた。
「寝ろ」
「さっき起きたばっかりですぜィ?いくらなんでも眠くありやせんぜ」
「眠るよう努力しろ!」
「んな無茶な…」
『私、頑張る!』
意気込んで布団に潜ったはいいが、総悟姿の妃咲は気合いが入りすぎて目が冴えてしまっていた。
「妃咲…もうちょっと穏やかにいこう…な?」