君がお前で、お前が君で?
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まだ太陽も顔を出していないような明け方、俺は廊下に潜む人の気配で目が覚めた。微かだが、その人物からは殺気も感じられる。暗殺者か?と枕元の刀に手をかけ帯刀し、いつでも抜刀できる準備を整えた。
しばらくして聞こえてきたのは「…トシくん、起きてる?」と控えめに尋ねる妃咲の声だった。
「何だ、妃咲か。どうした?」
「あのね…入っていい?」
妃咲の声に安心しきった俺は、完全に警戒を解いて迎えた。が、入ってきた妃咲の姿を見て心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらい驚いた。
なぜなら妃咲は頬を赤らめ、寝巻きの胸元は若干はだけ、布団の中で半身を起こした状態の俺の前に座り込み、潤んだ瞳で上目使いをしてきたのだ!
「え?ちょ……え?」
「…トシくん!」
カチーンと固まる俺をよそに、妃咲はぎゅうっと俺の腰辺りに抱きついてきた。ちょ、やばいって!何これ拷問?それとも頂いちゃっていいの?
…いやいやいや!妃咲はまだ17歳だし、焦っちゃいけねェぞ土方十四郎!でも明け方とはいえまだまだ外は暗いし、これは俗に言う夜這い?ぬおおお!そうしたらわざわざここまでやって来た妃咲に恥をかかせる訳にはいかねェ!据え膳食わぬは男の恥って言うだろ、漢になれ十四郎!!
「…妃咲!」
もう我慢出来なくなり、ぎゅっと妃咲を抱き締め返すと、いつもの可愛らしい笑い方とは正反対の「ふっ」という冷たい笑いが腕の中で聞こえた。
「え、妃咲…?」
「死ねェェ土方ァァァ!!!」
そう叫んだ妃咲はどこから取り出したのか、バズーカを俺の目の前で構えて発射した。突然の出来事だったが何とか攻撃をかわし、まるで事態が飲み込めていない俺はポカンと妃咲を見つめるしかなかった。その時の俺の顔はさぞ間が抜けていたことだろう。
「…ななな何で!?」
「チッ…次は外さねーぞ」
真顔で妃咲にそう言われ、俺はもうパニックに陥った。例えば浮気とか、妃咲の怒りを買うようなことは一切していない。これは言い切れる!だが尻餅をついている俺の前に、バズーカを肩に担いで仁王立ちしている妃咲は確実に殺気で満ち溢れていた。
頭の上にいくつものクエスチョンマークを浮かべた俺は、妃咲が再びバズーカを構えた次の瞬間、部屋に飛び込んできた人物にもうひとつクエスチョンマークを追加された。
『あーっ!やっぱりここにいた、あんた総悟でしょ!!』
それは寝巻き姿の総悟で、俺の前に立つ妃咲を指差して睨み付けていた。
…いや、総悟はお前だろ?
26*君がお前で、お前が君で?