23.ずっと、大切な人
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いくつか予想してた中の、最悪の事態が発生した。今でも信じがたい…今のは冗談だとすぐに笑い飛ばしてくれると思っていたのに…。
妃咲はここに来てからの記憶を少しずつ無くし始めている。自分の心臓が激しく鼓動しているのが分かる。妃咲の手を無言で引っ張って屯所に戻っている間ずっと、俺の頭にはひとつのことが浮かんでいた。
妃咲はいつか、俺のことも忘れてしまうのか?
眩しい笑顔で、可愛らしい声で、俺の名前を呼ぶのも…実はもう長く続かない?そんなの嫌だ、忘れないでくれ。欠片程の記憶でもいい、どこか心の片隅にでも残りたい…。
『トシくん、大丈夫?何か様子が…』
「妃咲っ…!」
必死になって堪えていた涙も、妃咲の優しさに触れると…脆いもんだ。すぐに溢れてきた。今の顔は絶対に見られたくない。きっと、とても情けない顔だから…。
無我夢中で妃咲を抱き締めて、声を殺して泣いていた。妃咲は何も言わず、そっと背中に手を回してくれた。
『大丈夫、私がついてるから…』
今だけは…今だけは妃咲の優しさに甘えたっていいだろ……?
23rd.ずっと、大切な人