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『二つのベットと俺の呼び名』

そんな生活が、2、3年続いた。

俺は、19歳になって遅めの成長期がきた。

背が伸びて、髪も伸びて、筋肉がついた。

声帯も元に戻り、正常に動くので、きちんと喋れる様になった。ロウの名前も、もうちゃんと言えるけど、『ロウ』という呼び名が染み付いてもう直らなくなったので今でもロウと呼んでいる。





「コハー!センー!上がっておいでー!」


少しの階段を上ったところにある扉の方から、ジーナの声がした。

ロウが合図して、俺が打つ。

マンターゲットの頭の中心を上手く射ぬけると、いつもロウが褒めてくれた。


いいぞ、とロウが俺の肩に触れたので、銃を下ろし、ヘッドフォンをとると、また頭をくしゃりと撫でてくれる。


「随分腕が上がったみたいね。」


ジーナが降りてきて、横にくる。

もうすぐ、ジーナの背は追い越せそうだ。


「もうそろそろ、耳あてはいらんかもな。」

「まあっ!まーだ耳栓がいる様なら仕事場には到底出せないわね?コーハっ」


茶目っ気溢れるウインクをして笑ってみせるジーナに苦笑いをこぼす。


コハというのは、ここにきた時にロウ達がつけてくれた名前だ。

本名は柊、という苗字であることしか思い出せなかったので、商品番号が589番だったとこもあって、『狐珀』という名前を貰った。二人には、コハ、と呼ばれている。





「さ、もうお昼にしましょ。あぁそうだ、コハ。今日の仕事は長くなりそうだから、先に寝てていいわよ。」
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