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『二つのベットと俺の呼び名』

俺をあのオークションで落札したこの男の名前は狼千尋。

まだ上手く発音できないのでロウ、と呼ぶことにした。


ロウの家にいた女の人はジーナという。

昔は情報屋として名を立てていたそうだが、今ではロウと一緒に雇われの殺し屋をしているらしい。

俺はどうやらここでロウ達と共に過ごし仕事を手伝えばいいそうだ。

ジーナは反対していたけれど、俺が、大丈夫だ。やる。と言えば渋々承諾してくれた。

ジーナは優しい。優しくて強い。あと、綺麗好きだ。

ここの掃除は全部ジーナがしているらしい。


ロウは掃除が苦手みたいだ。

ロウの仕事部屋は書類とかが散乱してて他の部屋より汚かった。

俺がいたオークションの『商品』の部屋よりは綺麗だったから俺は気にならなかったけどジーナはあの部屋が嫌いみたい。


夜はベッドで寝かせてもらった。

二つしかないのに、ロウがソファで寝るって聞かなかった。

悪いことをしてしまった。





次の日から、ロウは俺に体術やら銃の扱いやらを教え始めた。

この建物も、一階部分は生活用のスペースで、地下が射撃練習場になっていた。2、3階は崩れているところが多く、ボロボロ過ぎて使い物にならないらしい。


トリガーの弾き方、弾の入れ替え方、即席の組み立て方、火薬の詰め方。

受け身のとり方、攻撃のかわし方、間合の詰め方、相手の急所の狙い方。


毎日毎日。午前は銃の練習。午後は体術の練習。

朝から夕方までずっとロウが教えてくれた。

たまに、二人に仕事が入った時は、俺がアジトを守った。

まぁ物は言いようで、誰も来なかったからほとんど留守番みたいなものだ。

そういう時は、二人が出て行った後に、こっそり2、3階へ上がって探険するのが楽しみだった。

俺は、外の空気を吸うのが好きになった。
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