一の陣~第一篇~
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上田駅の2階にある上田電鉄別所線に乗り込んだ。2車両しかない車内の天井にはゆっくりと回転する扇風機が設置されている。乗客は少なく窓際にシートに4人並んで座る。端から先輩、典子さん、典子の子供2人という並び順。俺は扉の前に立っている。簡単にいうと先輩な隣に立っている。
典「大おばあちゃんはねえ、陣内家の現役16代当主なのよ」
典子さんは先輩の親戚だそうだ。
『16代?!』
典「お墓が室町時代からあるからねー。明治になって始めた生糸商が成功して、おうちがすっごく大きくなるんだけど、亡くなった大おじいさんが、これまたメチャクチャな浪費家で大変だったらしくてね。大おばあちゃんも苦労したんでしょうけど、そこはホラ、あの大おばあちゃんのことだから…ふうん」
話の途中で典子さんは俺を見た。ら
『…なんですか?』
典「あなたが夏希ちゃんの…へえー、なるほどお」
『はい?』
夏「あっ、典子おばさん!それは、あの、みんなの前で改めて紹介するから、ね?」
なんで先輩は慌てているのかな?それを見て典子さんは笑っている。
典「まあ何はともあれ、よろしくね」
『短い間ですがよろしくお願いします』
典「夏希ちゃんとはどのくらいの付き合いで?」
どのくらい?知り合ってどのくらいって意味かな?
『大体、1年ですかね?』
典「1年!?」
夏「あーっ!もう着くみたいね!このへん全然変わってない!懐かしいなあ!」
なんだろう、先輩の様子がおかしいような。そんな疑問を持って電車を降りた。次はバスだ。
夏「あ、由美おばさん!」
バスに乗り込むと車内にいた先客を見て、先輩が声をあげた。
由「―――確かに古い家で、それなりにお金持ちだった時もあったらしいけどさ。今じゃもうスッカラカンなんだから!山も問屋も工場も、もう何も残ってないの」
そう言って、由美さんけらけらと笑った。腕に0歳だという三男の恭平くんを抱えている。あと眼鏡をかけた7歳の次男、祐平くんは真悟くんと携帯ゲームをやっている。
由「それでも毎年、おばあちゃん宛の年賀状見ると、ビックリよ。有名な企業の社長さんとか政治家とか、そんなのばっかなんだから!」
顔がとても広いんだな。よほどすごい人らしい。
由「だから財産とか目当てにしても、ムダよぉ?」
『財産?』
夏「あっ!見て、淳樹くん!蝉よ、蝉!わーっ、生まれてはじめて見た!」
『いや、蝉くらい学校にもいましたど…?』
やっぱり先輩の様子がおかしい。もしかして俺に何か隠し事でもしてるのかな。いや、それはないだろう。篠原先輩に限って。
陣内前という停留所で降りた。
?「夏希ちゃーん!」
夏「奈々さーん!」
俺たちが降りたら、先輩が反対側の道路に向かって手を振った。停車したタクシーのそばに1組の母子がいた。どうやら先輩たちを見つけて降りたようだ。陣内家に向かう親戚に一行、奈々さんと2歳の娘、加奈ちゃんが加わった。陣内家は街から離れた小山のふもとにあるそうだ。
石垣の坂道を歩く人数は、なんだかんだで総勢10人に増えていた。
奈「もとは、武家の出だそうですね、陣内って。そのせいか、大おばあさまってたまに怖いことおっしゃるからビックリするんですよ」
由「あはは、戦国時代の血が騒ぐのかしら。気をつけてね、淳樹くん」
『え?あ、はい…?』
夏「あっ、見て淳樹くん!良い天気!」
『いだっ』
先輩、そんなに首を曲げられたら痛いじゃないですか!本当にどうしたんですか先輩!
・
・
・
世間話をしながら坂道を歩くこと坂道を上り終え、平地に変わる。
『うわぁ・・・』
顔を上げたら大きな木でできた門が構えていた。
『でかっ!てか、門から家まで遠っ!』
寂しく一人で突っ込みつつ、門をくぐって皆の後を付いて行った。玄関口まできたら他の人がたくさんいた。
玄関にはおばあさんが迎えてくれた。90歳にしては凄く若く見えるり
『あの、このたびは、90歳の誕生日、おめでとうございます』
夏「えっ」
とりあえず挨拶をしたが、先輩が声を上げて顔を強ばらせた。どうした?と思いつつ顔を上げたらおばあさんがひきつった笑みを浮かべていたり。
?「…お祝いは、私の母に言ってあげてね」
『へっ?…あ』
その言葉の意味を理解するのに3秒くらい時間を要した。
典「大おばあちゃんはねえ、陣内家の現役16代当主なのよ」
典子さんは先輩の親戚だそうだ。
『16代?!』
典「お墓が室町時代からあるからねー。明治になって始めた生糸商が成功して、おうちがすっごく大きくなるんだけど、亡くなった大おじいさんが、これまたメチャクチャな浪費家で大変だったらしくてね。大おばあちゃんも苦労したんでしょうけど、そこはホラ、あの大おばあちゃんのことだから…ふうん」
話の途中で典子さんは俺を見た。ら
『…なんですか?』
典「あなたが夏希ちゃんの…へえー、なるほどお」
『はい?』
夏「あっ、典子おばさん!それは、あの、みんなの前で改めて紹介するから、ね?」
なんで先輩は慌てているのかな?それを見て典子さんは笑っている。
典「まあ何はともあれ、よろしくね」
『短い間ですがよろしくお願いします』
典「夏希ちゃんとはどのくらいの付き合いで?」
どのくらい?知り合ってどのくらいって意味かな?
『大体、1年ですかね?』
典「1年!?」
夏「あーっ!もう着くみたいね!このへん全然変わってない!懐かしいなあ!」
なんだろう、先輩の様子がおかしいような。そんな疑問を持って電車を降りた。次はバスだ。
夏「あ、由美おばさん!」
バスに乗り込むと車内にいた先客を見て、先輩が声をあげた。
由「―――確かに古い家で、それなりにお金持ちだった時もあったらしいけどさ。今じゃもうスッカラカンなんだから!山も問屋も工場も、もう何も残ってないの」
そう言って、由美さんけらけらと笑った。腕に0歳だという三男の恭平くんを抱えている。あと眼鏡をかけた7歳の次男、祐平くんは真悟くんと携帯ゲームをやっている。
由「それでも毎年、おばあちゃん宛の年賀状見ると、ビックリよ。有名な企業の社長さんとか政治家とか、そんなのばっかなんだから!」
顔がとても広いんだな。よほどすごい人らしい。
由「だから財産とか目当てにしても、ムダよぉ?」
『財産?』
夏「あっ!見て、淳樹くん!蝉よ、蝉!わーっ、生まれてはじめて見た!」
『いや、蝉くらい学校にもいましたど…?』
やっぱり先輩の様子がおかしい。もしかして俺に何か隠し事でもしてるのかな。いや、それはないだろう。篠原先輩に限って。
陣内前という停留所で降りた。
?「夏希ちゃーん!」
夏「奈々さーん!」
俺たちが降りたら、先輩が反対側の道路に向かって手を振った。停車したタクシーのそばに1組の母子がいた。どうやら先輩たちを見つけて降りたようだ。陣内家に向かう親戚に一行、奈々さんと2歳の娘、加奈ちゃんが加わった。陣内家は街から離れた小山のふもとにあるそうだ。
石垣の坂道を歩く人数は、なんだかんだで総勢10人に増えていた。
奈「もとは、武家の出だそうですね、陣内って。そのせいか、大おばあさまってたまに怖いことおっしゃるからビックリするんですよ」
由「あはは、戦国時代の血が騒ぐのかしら。気をつけてね、淳樹くん」
『え?あ、はい…?』
夏「あっ、見て淳樹くん!良い天気!」
『いだっ』
先輩、そんなに首を曲げられたら痛いじゃないですか!本当にどうしたんですか先輩!
・
・
・
世間話をしながら坂道を歩くこと坂道を上り終え、平地に変わる。
『うわぁ・・・』
顔を上げたら大きな木でできた門が構えていた。
『でかっ!てか、門から家まで遠っ!』
寂しく一人で突っ込みつつ、門をくぐって皆の後を付いて行った。玄関口まできたら他の人がたくさんいた。
玄関にはおばあさんが迎えてくれた。90歳にしては凄く若く見えるり
『あの、このたびは、90歳の誕生日、おめでとうございます』
夏「えっ」
とりあえず挨拶をしたが、先輩が声を上げて顔を強ばらせた。どうした?と思いつつ顔を上げたらおばあさんがひきつった笑みを浮かべていたり。
?「…お祝いは、私の母に言ってあげてね」
『へっ?…あ』
その言葉の意味を理解するのに3秒くらい時間を要した。