？「ヒカリちゃーん！」

女の子を助けに走っているとモノクロモンの後ろの方から叫び声が聞こえた。声の方に目を向けると男の子が懸命に叫んでいた。他にも人がいるんだ。

『間に合った』

モノクロモンより2人に行くことができた。俺は女の子を、ドルモンは猫型デジモンを抱えて、その場から避難した。

V「ブイモンヘッド！」

走るモノクロモンの横からブイモンがモノクロモンに攻撃する。

「ギャウ！」

ブイモンの攻撃でモノクロモンが悲鳴をあげた。

V「いってー！」

その後に続いてブイモンが頭を抱えて叫んだ。そう言えばモノクロモンの体はダイヤモンド並みの固さだったよな。

？「あ、ありがとう」

『足大丈夫？』

？「うん」

ド「淳樹！ブイモンが動かないぞ！」

「分かった。ここ危ないから避難して。ドルモン行くぞ」

「ああ」

？「デジタルメンタルアップ！」

ブイモンを助けに行こうとしたそのとき、さっき叫んでいた男の子がまた叫んだ。

？「燃え上がる勇気！フレイドラモン！」

男の子が叫ぶと、ブイモンが姿を変えた。俺のブイモンではない別のブイモンだ。

フ「ナックルファイアー！」

フレイドラモンがモノクロモンと戦っている隙に、ブイモンの元に駆け寄る。

『ブイモン！』

V「ううぅ」

まともな返事は返ってこなかったけれど、唸り声を出しているし動いているから安心した。

『お疲れ様。ドルモンいくぞ』

フレイドラモンとモノクロモンの戦いに目を向けると、フレイドラモンが優勢に見える。

ド「おう」

？「あの！」

加勢は要らないと判断し、ブイモンを抱えて去ろうとしたら、助けた女の子が呼び止める。まだいたのか。

『巻き込まれるから離れた方がいいよ。俺達ももう行くから』

？「あなたはどうして…」

『どうしてって、危ないと思ったから助けただけだよ』

そう言い捨てその場を去っていった。俺はこの時、勘違いをしていた。

？「あ、そうじゃなくて…行っちゃった。どうして私たち以外の子がデジタルワールドに…？」

彼女の聞きたかった質問とは異なる返事をしてしまったようだった。


～自宅～

『おい、大丈夫かブイモン』

V「ううぅ…なんとか…」

ド「まだまだ修行が足らないな」

V「ならドルモンもモノクロモンに頭突きしてみろよ」

ド「俺は頭突きしない方法で倒すよ」

V「意気地無し」

ド「なんだと」

『こらこら喧嘩は他所でやってくれ。今日はブイモンが頑張ってくれたことだし、今日の夕飯はブイモンの大好きなハンバーグにするか』

V「え！本当に！？ヤッター！」

『切り替えはやいな。ま、元気で何よりだ』

これまで何もなかった平穏な日々が今日から少しずつ変わり始める。