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「うわぁー!ここが憧れのお嬢様のお部屋!」
「うわー、オッシャレー!シックゥー…ベッドもふかふかぁ!」
『さすが女の子だねぇ』
部屋の中はいたってシンプルで目のやり場に困らず一安心。
「たくっ、アンタは何考えてんのよ!」
「…お姉さまこそ、どうして初春と佐天さんと淳樹さんを連れて来たのですか?」
「たまたま街で会っただけだよ。それに買い物も付き合ってもらったし。それに一度寮の中を見てみたいっていってから」
「…買い物ですか?」
「えっ、まぁ、ちょっとね…」
「と言うことは、淳樹さんもご一緒に買い物を?」
「ちっ、違うわよ!買い物が終わって帰り際に会ったのよ!」
「でも、なんで淳樹さんも連れてきてるんですか!仮にも殿方ですのよ!」
『仮とは』
失敬な、俺は正真正銘、純粋無垢な青少年だぞ。
「しょ、しょうがないでしょ!行きたいって言うから」
『ちょっ、何いってんの御坂!君たちが無理矢理連れてきたんじゃないか!』
「淳樹さん…」
『はい!なんでしょうか白井さん!』
モノクロに名前を呼ばれた声に危機感を覚え背筋を伸ばした。
「もし、変なことをしましたら…これを体内にテレポートさせますわよ」
『き、気を付けます…』
手に持っている針がとても輝いて見える。毎日手入れしてるのかな。うん、いい事だ。
「さすがは常盤台の寮ですね」
「食堂なんてこーんなに広かったですよ!」
「そんなことないって」
『そうだね。俺もここに住みたいくらいだよ』
「アンタには勿体ないわよ」
『それはどういう意味かな、御坂さん?』
「そのまんまの意味よ」
『ぐぬぬ…』
一般庶民の俺にも少しくらい贅沢な思いさせてくれてもいいじゃないか。
「どーしたんですか白井さん?」
ベッドの上でおかしくなっているモノクロに初春が問いかけた。もうひとつのベッドに御坂と初春、佐天さんが座っていて、俺は椅子を背もたれを前にして寄っ掛かって座っている。
「何でもありませんの。さぁさぁ、これといいたおもてなしもできませんが、ゆっくりしていって下さいませ」
前々からおかしなやつだとは思っていたけど、今のはそれ以上におかしかったぞ。
「って佐天さん、そこで何を?」
佐天さんがいきなりベッドの下に顔を入れて何かを探している。
「いやぁ~、友達の家に来たらお約束のがさ入れかなぁって…おぉエロスッ!!」
『!』
佐天さんがベッドの下から下着と取り出した。咄嗟に目を手で覆った。そんなもん、男の前で見せるなよ!
「佐天さん!そんな人の物を勝手に…」
「さすが御坂さん!大人~」
佐天さん、完全に俺の存在忘れてるよおい…って御坂のなの!?
「いや、それは…」
「私のですわ」
「「えっ?」」
「白井さんの…」
「この大胆な下着が?」
「大胆というほどでも、黒の下着くらい、レディのたしなみですわよ」
女子中学生がこんな下着を…って駄目だ!これは見てはいけない!俺は手の力を強めて顔を覆う。
「…んじゃ、この真っ赤なバタフライも!?」
ぶっ!真っ赤なバタフライな下着ってなんやねん!
「気持ちを盛り上げたいときなどその色を」
「このほとんど紐なTバッグも!?」
こ、こいつは本当に中学生か!だ、駄目だ、見ちゃいけない!そろそろみんな気づいてよ!
「お肌にあとが残らなくて調法しますわ」
「こ、このメシュなボディストッキングも!?」
俺はなにも見てないぞ!
「女には時として目表ならなければならない時がありますのよ」
「…」
すると急に黙り込む。見えないから状況が分からない。
「きゃぁ!いきなり何するんですか佐天さん!」
バサっの音から初春の可愛らしい叫び声が聞こえた。きっとスカート捲られてるんだろうな。
「いやぁ、なんか自分の日常を取り戻したくなって…初春のシマパン見たら落ち着いた」
「うぅぅ…」
初春の今日の下着はシマパン…変な事考えるな!
「そんな、下着くらいで大げさな…他にもいろいろありましてよ」
まだ続くのか。
「それから…」
最後に普通の大人っぽくない下着をモノクロが2人に見せていた。いや、ちらっとしか見てないからな、ちらっとだけ。
「良かった…白井さんもそんなの履くんだ」
佐天さん、そこは安心するとこじゃないよ。
「私の白井さんが帰ってきてくれました…」
初春も安心してるんじゃないよ。
「…ごめんこれ私の」
「「えっ?」」
『えっ?』
御坂の声に思わず顔を上げる。
「って、あっ!」
すると顔を真っ赤にした御坂と目が合った。
「~!!?」
顔を真っ赤にして声にならない声で俺に訴えかける。
「…って淳樹先輩いたんだった!忘れてました!」
『おっとその発言は傷つくぞ佐天さん。俺、男!少しくらい意識してもいいんじゃないかな?』
「声かけてくれればよかったじゃないですかぁ~?もしかして見たかったから声をかけなかったんですか?」
『残念だったね!俺はちゃんと目を隠していたから見ていない!そして年上をからかうんじゃない』
「…最悪」
『何も見てないから!』
その手にあるゲコ太プリント下着は見えてないから!
「淳樹先輩も男の子なんですね」
初春が改まって言っているけど俺、男として見てもらってなかった…?
「顔真っ赤にして可愛いですね、先輩」
『俺だっていたいけな男子なんだからちょっとは気を遣ってもらってもいいかな?』
「了解しました!」
いい返事で敬礼をする佐天さんの言葉に信憑性がないのが不安で仕方ない。
「つーか黒子!!」
「なんでアンタのベッドの下に私の下着があるわけぇ?ええぇ?」
御坂がモノクロの頬を懸命に抓っている。
「おかげで淳樹に見られたじゃない!!」
『…あ』
「どうしましたか、淳樹先輩?」
『いや、御坂に名前呼ばれたの新鮮だなって。普段呼ばれた記憶がなかったからさ』
「えっ?な、別に、い、いつも言ってるでしょ!」
『そうだったか?』
最近、記憶が乏しくなったか?全然覚えがない。
「そういえば、お姉さまはいつも淳樹さんの話をするときは”アイツ”やら”あのバカ”って言っていましたわ。もしや、お姉さま!!まさか淳樹さんのこと」
「何いってんのよ黒子!んなわけないでしょ!」
「そーですわよねぇ。もしそーだったら今頃淳樹さんの体内にこれをテレポートさせてましたわ」
『ちょっと、その物騒な物をしまって下さい白井さん!』
またもや針を手に光らせるから顔の前に手を出して防御体制。
「ほほぉ、白井さんその話を詳しく」
佐天さんやめて!その話を続けてもいい未来が見えない!
「しなくていい!」
『御坂に賛成!』
「えー、淳樹先輩は知りたくないですか?」
『結構です!今は命が惜しい!』
「…」
おっと御坂さん?なんでそう不機嫌な顔をしてるのかな?もう女子の心が分からないよ!
「そっ、そーだ。私アルバムが見たいなぁ」
救世主!初春が別の話題に変えてくれた。
「おお、定番だねぇ」
「私、御坂さんと白井さんの小学校時代とか、すっごい興味あります!」
初春に今度何か奢ってやろう。俺は心の底で大きく頷いた。
「「わぁ!可愛い!」」
御坂のアルバムを開いて囲んで眺める。これは小学校の入学式の写真か。
「これって、小学校の入学式ですか?」
「この隣の綺麗な人、お母さんですか?」
「うん」
恥ずかしいしそうに御坂は応える。お母さんそっくりに育ってるな。
「わぁ…可愛い」
「これ、恥ずかしいね」
初春と佐天さんがどんどんアルバムを進める。進めるの速いよ、もうちょっとゆっくり見たい。
「でも、ちょっと意外」
「なにが?」
「ほら、御坂さんって超能力者(レベル5)で常盤台のエースじゃないですか。なんかいいとこのお嬢さまで子供ころからエリート街道まっしぐらぁーっみたいな」
「そんなことないよ。私なんて最初は低能力者(レベル1)だったし、全然普通の子だったって」
『努力してなった学園都市第3位か…凄いな』
「そ、そう…」
御坂の顔が少し赤くなった。褒め慣れてないのか。よし、ならもっと褒めてやろう。
『昔の御坂も可愛いけど、今はお母さん譲りの綺麗さもあっていいよな』
「へっ!?」
『わっ!?』
いきなり針が真横を通って壁に刺さった。
「すいません。淳樹さん。あやうく体内にテレポートさせるとこでしたわ」
『し、白井さん。これは何故に?』
「自覚がないようですわね」
モノクロの顔が笑っているけど笑っていない。怖いんだけど。
『なんの事だよ。俺はただ思った事を言っただけ…うひゃ』
もう一本の針がまた顔の真横を掠めて壁に刺さる。
「あなたってお方は…!」
「やっ、やめなさい黒子!!」
「そ、そうですよ白井さん!淳樹先輩が死んじゃいますよ!!」
「そうですよ!白井さんの気持ちはすごく分かります!でも、こんな無自覚唐変木なのが淳樹先輩の良いところなんです!」
初春と佐天さんがモノクロを止める。ちょっと佐天さん、何言ってるのか分からないんだけど。
「放してください!初春!佐天さん!私のお姉様に…殺させてくださいな!」
「やめなさいって言ってんでしょうがぁぁ」
「あうっ!」
モノクロを落ち着かせようと御坂は電撃を放ち、モノクロはその場に倒れた。
「全く…第一、黒子のあたしでもないでしょうが」
「あう…」
「き、気を取り直して、次は白井さんのアルバムを見ましょう!」
この場の打開案を佐天さんが提案してくれた。これに便乗しなければ。
『御坂も可愛いかったから、モノクロもさぞかし可愛いんだろう…なっ』
3本目の針が髪を掠めてまた壁に刺さるえっ、なんで!?
「貴方というお方は本当に…!」
『えっ!?何で何で?!』
「だからやめろって!」
御坂の髪から電気がバチバチと鳴る。御坂も落ち着け。
「ふぅふぅ…まぁいいでしょ」
何とかお許しをもらった。今日のモノクロはいつも以上におかしいぜ。
「で、白井さん、アルバムは?」
「そうでしたわね…喜んで、っと申したいところですが、あいにく私はアルバムを持ち合わせておりませんの」
『…』
「黒子は今を生きる女。過去を振り返るよりも、未来を夢見るよりも、今を、この瞬間を見つめていたい…」
モノクロがなんか言っていますが、そんな中、佐天さんが反対側の本棚に向かって何かを探している。
「そう心に決めておりますのよ…」
「これじゃな」
「ぎゃぁぁー!!」
佐天さんがアルバムを見つけて掲げるとモノクロが一目散に佐天さんのところへ。
「それは駄目ですの!!」
モノクロが必死にアルバムと取り返そうとするが、それもむなしく俺たちはアルバムを開いた。
「「あぁぁ…」」
それは御坂の写真だらけのアルバムだった。というか、盗撮だ。
シャワー中とか寝顔の写真とか…寝顔の写真とか、ストーカーかよ。
「アンタは見るな!」
『ご、ごめん!』
思わず見とれてしまったが、御坂には普通に恥ずかしい写真だよな。
「つか…黒子!!」
「はい!!」
御坂はモノクロのところに向かってまた、頬を抓った。
「確かにアンタは過去や未来より、今この瞬間を見つめなおす必要があるわねぇ!」
「私、それほどお姉さまのことを…お姉さま!今日が何の日か覚えてらっしゃいませんの?初春や佐天さんをつれてらしたのも、てっきりこの日のためだとばかり…」
俺の名前があげられなかったのはなぜかなぁ?まぁ、気にしないけど。
「今日…初春さんと佐天さん…」
あぁ、御坂さんあなたも俺の名前をあげませんでしたねぇ。気にしないけど(2回目)
「おっ!そういえば」
御坂は何かを思い出したらしい。2人の何の記念日なんだ?
「思い出してくださいまして!!?」
「今日は初春さんと佐天さんと知り合って、丁度1週間目の記念日だ!」
目を輝かせていたモノクロが盛大にずっこけた。