優が石田軍に来て１ヶ月後ー

優は茶室に入った。
その瞬間を近くを通った三成が見る。

利休「優様」
優「加須底羅（カステイラ）少し食べたいな」
利休「かしこまりました」

少しして利休は加須底羅を一切れ皿に乗せ、彼女に差し出した。

優「ありがとう」

「茶をたててくれ」

優の左に三成が座った。
彼女は驚いた顔をする。

利休「かしこまりました」
三成「食わないのか」
優「えっ、あっ、食べる」

優は加須底羅（カステイラ）を1口食べた。
その瞬間、ほおがゆるむ。

優「美味しい〜」

利休は目を細めた。
三成もわずかに笑んだ。

サッサッサッ

しかし、すぐに茶を点てる音と呼吸だけが聞こえるほど静まり返った。
優と三成の間にどことなく気まずい雰囲気が漂う。

利休「どうぞ」

利休は三成の前に茶器を置いた。
三成は静かに茶を飲む。

利休「そういえば、聞きましたよ。おふたり夫婦になられたとか」

すると、三成は吹き出しむせた。
優は慌てて背中をさする。

利休「いかがですか？」
優「えっ……」
三成「表向きではという話だ。本当に夫婦になったわけではない」
利休「そうなんですか？なんだ」

利休は少し残念そうに言った。

優「名を上げる者に妻がいた方がいいとかって」
利休「なるほど」

優は加須底羅（カステイラ）を頬張る。

優「ん〜」

彼女は幸せそうな顔をした。
三成はその横顔を見つめる。
利休はそんな彼を見る。

利休「おふたり相性良さそうですけどね」
優「えっ!?」
三成「……」

三成は彼女から目をそらした。
それを見て、優は少し寂しそうな表情をした。

優（別にいいけど）

彼女は少し不満そうな顔で残りの加須底羅（カステイラ）を食べた。