翌朝ー

『優様、起きてますか？』

優「ん……」

彼女は眠そうに起き上がると、ふすまを開ける。

「申し上げます！本能寺にて織田信長様が出現したそうです」

優「え……？」

一気に眠気がなくなった。

「どうなさいますか。向かうのであれば準備します」

どうしよう……

優は視線を泳がせた。

行く……？
でも、行ってどうするの……？
仕えるように言われたら？
小十郎さんとの話がなくなってしまうんじゃ……

「優様、ご決断を」

優「……顔見に行くだけならいいよね……？」

彼女は不安そうな顔をした。

「では、準備してよろしいですね」

彼女は小さくうなずいた。
織田の残党兵はその場を去る。
優は小十郎が買ってくれた着物を見た。

じわ……

優「……小十郎さん、好きよ。愛してる」

目を閉じて深呼吸し、ゆっくり目を開けたー


小十郎「何だと!?」

織田の残党兵のひとりは体を震わせた。

小十郎「竜堂も行くのか？」

「はい。信長様に会いに行くと」

朝食の準備を手伝っていた勝家は反応した。

「行かせてやれ。勝家も行ってこい」

政宗は台所に来た。

勝家「……いいのか？」
政宗「だが、これだけは忘れるな。帰る場所はここだ」
勝家「……わかった」

勝家は飛び出した。


支度を終えた優は勝家が乗る馬に乗った。

「優！これを持っていけ」

小十郎は竹皮の包みを差し出す。

優「ありがとうございます……！」

「お持ちします」

残党兵のひとりはそれを受け取った。

小十郎「遅くならねぇようにな」
優「はい。顔見たらすぐ帰ります」
小十郎「あぁ」

優たちは出発する。
小十郎は彼女の背中が見えなくなるまで見送ったー