屋敷に着くと小十郎は優を彼女の部屋に連れていった。
静かに彼女を座らせ、自分も腰を下ろした。

優「ありがとうございます」
小十郎「あぁ」
優「……なんか怒ってます……？」

おそるおそる聞く。

小十郎「あの娘たちにな」

思い出すと怒りが込み上げてきた。
しかし、上目遣いに見てくる彼女を見ると、怒りが消えていく。

小十郎「怪我はどこだ」
優「えっと……少し頭が痛いくらいです」
小十郎「包帯を持ってくる」

小十郎は立ち上がった。

優「大丈夫ですよ」
小十郎「出血してたのに大丈夫なわけないだろ」
優「ホントに大丈夫ですから！」

彼女は小十郎の手を握った。

小十郎「……」

小十郎はその場で座った。

小十郎「返事いつでもいいと言ったが……すまん。待てない」

優は目を丸くした。

優「で、でも、わたしすごい甘えん坊ですよ？」
小十郎「ちゃんと面倒見てやる」
優「家事もできないし」
小十郎「それは今まで通り俺がやるから問題はない」

小十郎は優の髪を耳にかけてやった。
彼女の顔が赤くなる。

優「わたし、小十郎さんより若いし……」
小十郎「置いて逝ったりしねぇ、安心しろ」
優「後悔しない？」
小十郎「するわけねぇだろ」

彼は顔を近づけた。
優は目を閉じる。
ふたつのくちびるはゆっくり重なった。

小十郎さんはわたしにはもったいないくらいいい人
ホントにいいのかな

小十郎「……優、俺の妻になってくれ」
優「へ!?」
小十郎「早く俺のモノにしたい」

熱い視線を向けられて、彼女の顔は真っ赤になった。

優「あ、あの……えっと……」
小十郎「……ふ」

小十郎は静かに笑うと、優を優しく抱きしめた。

小十郎「仕方ねぇから妻の件は待ってやる」
優「はい……」
小十郎「でも、あまり待たせるなよ」

彼女は首を縦に振った。