優は目を開けた。
いつの間にか空は茜色になっていた。
彼女は体を起こす。

バサッ

彼女は小十郎の上着を見た。

優（かけてくれたのかな）

彼女は目を細めた。

優（返しにいこう）

優は上着を持って立ち上がった。


台所をのぞくと、小十郎が腕まくりをしていた。

優「小十郎さん！上着ありがとうございました」
小十郎「あぁ。体冷やすといけないと思ってな」
優「おかげで温かくて心地よかったです」
小十郎「そうか」

小十郎は柔らかな笑みを浮かべた。

小十郎「あっ、そうだ。竜堂、明日町に行くか」
優「え？」
小十郎「そういや連れていってやってなかったなって思ってな」
優「いいんですか？連れていってもらって」

小十郎はうなずいた。
すると、優は嬉しそうに笑みを浮かべた。

優「楽しみです」

小十郎は嬉しそうな彼女に目を細めた。


翌日ー

優と小十郎は町を訪れた。
にぎわっていて、人が多い。

優「わぁ……！」

突然、小十郎は彼女を抱き寄せた。

優「えっ」
小十郎「ちゃんと前向いて歩け」
優「あっ、はい」

びっくりしたぁ……

優は胸に手を当てた。
心臓が大きく早く動いている。

「あっ、片倉さん！」

若い女が3人優の少し先を歩く小十郎に近づいた。

「久しぶりに見かけました」
「今日も素敵……！」

小十郎は少し照れたような、戸惑った様子をする。

「あの娘（こ）は？」
「まさか妻候補……!?」

小十郎「あっ、えっと……」

3人は鋭い視線を優に向ける。
彼女は目をそらした。