夜ー

優は大広間で食べるようになっていた。
彼女の膳は小十郎が持ってきた。

小十郎「ネギ入れといてやったぜ」
優「ありがとうございます」

優は膳に手をかけた。
そのとき、右手が小十郎の手に触れた。
とたん彼女は慌てて手を離した。
顔は赤くなっている。

小十郎「すまん」

小十郎もわずかに顔を赤くしている。
政宗はそれをおもしろそうに見ている。

優「あっ、野菜の味噌煮だ！」
小十郎「あぁ。好きだろ？」
優「はい！す……」

彼女は視線を泳がせた。

小十郎「？どうした？」
優「何でもない！」

それわざと聞いてる？
それとも無意識？
意識してくれてないのかな

優は小十郎をチラッ見た。

小十郎「お前らしっかり食えよ。いつ戦が起こるかわからねぇからな」

「うす！」

優は小さく溜め息をつき、ほおをふくらませた。

政宗「そういえば小十郎、そろそろ米なくなるんじゃねぇか？」
小十郎「はい。そろそろもらいに行かねばなりません」
政宗「じゃあ、竜堂と行ってこいよ」

優は驚いた顔をした。

優「あたし、お米なんて持てませんけど……」
小十郎「わかりました。来い」
優「え？ちょっと！」
小十郎「米農家の娘に挨拶しておけ」

彼女は戸惑いながら小さくうなずいた。



優は寝る支度をし、ふとんに横になった。
大きく息を吐く。
畑を手伝ってから、小十郎を意識してしまう。
今日はドキドキしっぱなしだった。

好きになってしまっていいのかな
蘭丸とはもう会えないし
夢の中で前に進むしかないって言ってたし
でも、迷惑じゃないかな
小十郎さんはあたしをどう思ってるんだろう
知りたい……

優は小さく溜め息をついて、目を閉じたー