優は猫の按摩（あんま）と小十郎の料理で数日後、肉体の疲労は取れた。
光秀への怒りも、蘭丸を失った悲しみもこの数日間で落ち着いたのだった。


優は部屋を出ると、思い切り伸びをした。

「体調良くなったか」

左を見ると、政宗が立っていた。

優「うん」
政宗「そうか」
優「ここの料理美味しい」
政宗「全部小十郎がやってんだ。まぁ、俺もときどき手伝うがな」

彼女は納得したようにうなずいた。

政宗「小十郎が育てた野菜はハズレがねぇ」
優「確かに苦手意識がなくなったかも」
政宗「良かったな」
優「でも……面倒見てもらってばっかりで、申し訳なくて……」

政宗は優を見た。

優「何か手伝えることがあればいいんだけど……」
政宗「……なら畑に行ってみろ」
優「畑？」
政宗「今作業中だと思うぜ」

彼女はうなずくと、畑へ向かった。


優「あった……！」

畑では小十郎が作業中だった。
くわで耕している様子。

優「小十郎さん！」
小十郎「竜堂！どうした？」
優「手伝うことないかなって。面倒見てもらってばかりだから」
小十郎「そんなこと気にすんな」

優は「でも……」とつぶやく。

小十郎「……じゃあ、水やりをしてくれるか？」
優「やります！」

小十郎がじょうろを渡すと、彼女は笑みを浮かべた。
優は野菜の上でじょうろを傾けた。

小十郎「竜堂、それだと効率が悪い。左右に動かすんだ」
優「左右？」

小十郎は優の後ろからじょうろを握った。
それを左右に動かす。

小十郎「こうすると効率が良い」

「おい、小十郎！FARMでイチャつくな」

小十郎「え!?」

小十郎は状況を把握すると、慌てて彼女から離れた。

小十郎「す、すまん」
優「い、いえ」

優は熱くなったほおに手を当てたり、手で仰いだりする。
それを見て政宗はニヤついた。