優は立ち上がった。
少しフラフラする。
まだ体調は良くないようだ。

優「一日寝てたのになぁ」

でも、武田軍の大将に挨拶するわけにはいかないしな
ここにいさせてもらうならそろそろ挨拶しないと

そんなとき幸村が部屋にやってきた。

幸村「優！もう大丈夫なのか!?」
優「うん、もうだいぶ良くなった」

彼女の体がふらつき、幸村は体を支えた。

幸村「まだ休んでいろ」
優「でも……」

目の前に鍛えあげられた胸筋が映り、優の顔が赤くなった。

優「だ、大丈夫だから！」

彼女は慌てて彼から離れた。

そっか
幸村はれっきとした漢（おとこ）なんだよね

幸村「顔が赤いが……まだ熱があるんじゃないか？」

幸村は手を伸ばす。

優「これは……気にしないで！」

後ずさりすると、誰かにぶつかった。

「元気なら武田の大将に挨拶しなよ」

佐助は両手を優の肩に当てた。

幸村「！そうか。まだだったな」
佐助「大将、会いたがってるし」
優「わかった」

彼女は小さく息を吐いた。


優と幸村は武田信玄の前で座った。

信玄「お主が優か。幸村から聞いておる」
優「挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。竜堂優歌と申します」
信玄「体調はどうじゃ」
優「だいぶ良くなりました。まだ本調子とはいきませんが」

信玄は小さくうなずいた。

信玄「佐助、優の面倒を頼む」
佐助「えっ、俺ですか？」
幸村「お館様、優の面倒はこの幸村が」

優は幸村を見た。
信玄は幸村と彼女を交互に見る。

信玄「うむ。では頼んだ」
幸村「は！」
信玄「何かあれば幸村に遠慮なく言え」
優「かしこまりました」

彼女はじーっと幸村を見る。

幸村「ど、どうした」

幸村はかすかに顔を赤くした。

優「あのね、味噌が美味しかったから、何か味噌の料理食べたいの」
幸村「味噌の料理……」
信玄「ほうとうはどうじゃ」
幸村「！さすがお館様！いい案でござりまする！」

幸村は立ち上がり、信玄に近づいていった。