『幸村様！申し上げます！伊達軍がこちらに進軍してきております！』

幸村『政宗殿!?』

優はその会話を聞き、刀を手に取った。

信玄『幸村！兵を連れて行くのじゃ！』
幸村『はっ！ありがとうございまする！』

彼女は部屋を出る。

信玄「佐助！龍二！そして優！幸村を頼む」
佐助「承知」
龍二 「はい」

優はうなずいた。


戦地ー

優「相手は伊達政宗、幸村が一目置く相手。かなりの強者だと思うから……ゆっくり確実に押し進めよう」

すると、少し陣営がざわついた。

佐助「優歌ちゃんは慎重派だね」
優「勝っても犠牲が多いんじゃ意味が無い。犠牲を抑えつつ勝つのが戦の理想よ」
幸村「確かに……。しかし、全力で戦った方が政宗殿は喜びまする」
優 「そんなこと知ったこっちゃないよ」

優は真剣な顔で幸村を見た。

幸村「しかし、政宗殿は好敵手。兵のために手加減など……」
優「……」

陣営に張り詰めた空気が漂う。
物音ひとつ立てることを許されぬほどの静けさと緊張感だ。

幸村「……では犠牲を最小限に抑えられるよう配慮して戦う。だから、全力で戦わせてくれ」
優「……わかった。その代わり怪我に気をつけてね。命の危険を感じたら即撤退」
幸村「うむ。ありがとう」

幸村はかすかな笑みを浮かべた。

優「各人（かくじん）生きて帰れ！」

「うす!!」

佐助はほっと息を吐いた。

佐助「どうなるかと思った……」
龍二「ホントだぜ」

優は幸村を見た。

揺るがぬ強い意志
かっこいいなぁ

彼女は幸村に歩み寄ると、彼の背中を抱きしめた。

幸村「優!?な、ななな、何故……!?」
優「んー？」
幸村「し、しかもここは戦場だぞ!?」
優「んー、なんとなく」

彼女の声は先程とは打って変わって穏やかだ。

佐助（急にイチャイチャしだしたんだけど）

「えっ、優様と幸村殿って……」
「いつの間にそんな関係に……!?」

幸村「優！は、離してくれ！」
優「ん？」

兵（つわもの）として確実に一歩一歩前に進む幸村。
しかし、真の漢（おとこ）の道はまだ遥か遠いようだ。


終わり