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ぐんじんかぞく。

「ラルも飽きねーな」
思わず俺は呟いた。呟かずにはいられなかった。
何度目かも分からない(はなっから数える気も無い)光景が、いま、目の前で繰り広げられている。
「だからお前は危機感が足りないとあれほど――」
烈火の如く怒るラルと、その正面で正座して怒られているコロネロ。
ツナは危ねえから俺の膝の上に避難させた。なんにも分かっちゃいねえだろうツナは、それでもラルが怒ってるのは理解してるようで、恐々二人の様子を見ている。
「何度言えば分かるんだ!」
「――っ‼」
怒声と同時にがつん、とラルの鉄拳がコロネロの頭に落ちた。まともに食らったコロネロは両手で頭を抑え、痛みを堪えている。
それを見ていたツナが、眉を下げて俺を見上げてくる。
「おとーさん、おこられてる?」
「ああ。見りゃ分かるだろ」
「なんで?」
なかなか説明しづらい事を、このガキは平気で聞いてきやがる。
はっきり言えば、引き際を見誤りやがったコロネロのドジだ。結果、見た目には分かりづらいが負傷。今はぴんぴんしてるが、軽く死線を彷徨ったらしい。
――が、実の所、ラルの逆鱗に触れたこの件についてはツナには秘密になっている。ガキには痛くて重すぎる、世界の暗い場所にまつわる話だ。
うかつに事実を話したらこいつは絶対に泣く。泣かすとまたラルの機嫌が降下する。
(……それは避けたいぞ)
コロネロが叱られてるのは当然であって一向に構わないが、怒りの矛先が俺に向かうのはお断りだ。
答えない俺に、ツナは首を傾け、更に聞いた。
「おとーさん、わるいの?」
「……今回は完全にコロネロが悪いぞ」
そこは確実だ。
昔から何度も言われてる馬鹿を、またやりやがって。意志を揺るがさない所は誉めてやってもいいが、その為に身を投げだす悪癖はいい加減どうにかしてもらいたい。心配するこっちの身にもなれってんだ。
「わるいこ」
「……そーだな」
ひとつ、面白そうな事を思いついて、俺はツナに笑いかけた。
「その悪い子がちゃんと反省するように、ツナからも叱ってやれ」
冗談半分の言葉を投げ掛ける。するとツナは何を思ったのか俺の膝から降りてコロネロの前に立ち、ぴしりと言い放った。
「おとーさん、めっ!」
「…………」
「…………」
俺もラルも絶句してツナを見た。そんな叱り方、ぱっと思いつく限り誰もした事ねえぞ。
こいつ、何処でそんな言い回し覚えてきやがった。
「…………ツナ」
「なーに?」
「……いや、なんでもねえ」
気が抜けた。ついでに怒る気力も削がれる。それはラルも同じだったらしく、見れば握り締めていた拳から力が抜けていた。
息子にすら叱られたコロネロはというと、がくりと頭を落としている。
「……悪い」
叱ると称していいのか微妙だった割には、効果てきめんだったらしい。
この親馬鹿には案外、ツナのどーでもいい一言が最強のようだ。

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