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ぐんじんかぞく。

ファルコを連れておうちのたんけん!とリビングを飛び出した息子がぱたぱたと戻ってくる。その手に握られているもの――一枚の写真に、コロネロは目を丸くした。
「……また随分懐かしいのが出てきたなコラ。……つーか、そんなのどっから引き出してきたんだコラ」
「ファルコとあそんでたらね、うえからおっこちてきたの」
どの辺りを探検したらそんな昔の写真が発掘できるのかコロネロは疑問に思ったが、ファルコが止めなかったらしい事を考えると、思いのほか近くに放置していたらしい。
「このしゃしん、おとーさんの?」
首を傾げて聞いた綱吉に、コロネロは頷いた。
「ああ、俺のだ。ここに写ってるだろ?」
「うん。リボーンもいるよ。スカルと、バイパー、ヴェルデも!」
それぞれを指差して答える綱吉は、ふとコロネロを見上げて言った。
「でもオレ、このおにーさんとおねーさんはあったことない」
そう言って綱吉は二人を指差す。そうだな、とコロネロは頷いた。
「風とルーチェか。……生きてるらしいが音信不通が長いからな、俺も奴等がどうしてるか分からないぞコラ」
答えるコロネロ自身、二人には何年も会っていない。
「みんなしらないの?」
「あー……風は、リボーンなら知ってるかもしれねえぞコラ。あいつ異様に顔が広いからな。ルーチェはあいつにも行方が分からねえらしい」
「あってみたいな」
物心付くよりも前からアルコバレーノやボンゴレ九代目のようなイタリア連中にに散々可愛がられているおかげで綱吉は、大体の人間に警戒心が無く、無条件に懐いてしまう。
二人にも無条件で懐くだろう。
「そのうちひょっこり来るかもしれねえぞコラ。アルコバレーノは揃って神出鬼没だコラ」
「しんしゅ?」
「リボーンみたいに突然現れるってことだ」
言葉の意味は分からなくともその説明は理解したのか、綱吉はこくこくと頭を縦に振った。
そうしてまた、まじまじと写真を見て、綱吉はふと言う。
「おかーさんは、いないね」
「ああ、それ撮ったのがラルだからな」
コロネロは当時を思い出し、そう答える。
たまたまアルコバレーノが揃ったある日、誰かがラルに預けたカメラのシャッターに、偶然にも彼女の指が触れてしまったらしい。
シャッター音に気付き、全員がラルに顔を向けた瞬間には勿論全てが終わっていた。
偶然とはいえほぼ盗撮という形で撮影された写真を、ネガごと処分してしまえという者もいた。だがその提案はリボーンの「それくらいいいじゃねえか」という言葉と、それに同意した(悪乗りしたともいう)連中によりに却下され、後日写真が秘密裏に配布された。
最大の反対者だったバイパーは余程写真を手元に残したくなかったのか、その場でそれを燃やしたらしい。
(そもそもバイパーの顔は映ってなかったぞコラ)
それはコロネロだけでなく、その話を聞いた全員が思ったことだったが、あえて誰もそれを口にはしなかった。
「じゃあ、これはおとーさんにかえすね!」
「おう」
受け取った写真を見直し、コロネロは今更、ある事実に気付く。
彼は思わず苦笑した。
「まさか、確信犯だったかコラ……」
リボーンと風は、カメラに視線を向けているようだった。

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