◇第三十九話◇夢の世界へと誘われて
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馬車の揺れと車輪が軋む音が、私の心臓とシンクロしているみたいだった。
任務を早めに終わらせてから、〝眠り姫〟をイメージしたというお姫様のドレスに着替えた私は、仮装パーティーの参加者と共に幾つかの馬車に分かれて乗り、会場へと向かっている。
車窓の向こうに見えるトロスト区の街並みは、さっきまで夕陽を浴びて赤くなっていたはずなのに、少しずつ夜の雰囲気を纏いだしていた。
外を眺めるのも飽きてしまって、私は視線を戻した。
2人掛け用の座席が向かい合って配置された4人用の馬車で、私の目の前の座席に座っているのは、騎士に仕える戦士に扮したエレンだ。
巨人化出来る人間として、リヴァイ兵長に紹介されたばかりの頃の無鉄砲な少年は、成長するにつれて、色気を垂れ流す大人の男になっていた。
普段は、世界の悪いところをすべて見せられて、どこか達観したような顔をしている彼だけれど、長髪を後ろで一つにきつく結んで、戦士の格好をしていると、少しだけ昔の熱い闘志を燃やしていた彼が戻って来たみたいだった。
その隣に座るミカサは、さすがの美しさだ。
エレンの着ている戦士の衣装と似ているけれど、身体のシルエットが綺麗に出るロングスカートタイプになっていて、すらりと背が高くスタイルのいいミカサにすごく似合っている。
さっきから、エレンが、少しムスッとして頬杖をついて車窓の向こうを眺めているのは、たぶん、ミカサが綺麗すぎて照れているのだと思う。
私も、似たような気持ちだから、凄くわかる。
必死に、隣にいるリヴァイ兵長に意識が行かないように、私はさっきから、馬車の揺れだけに神経を集中させている。
騎士の衣装に着替えた彼は、私が夢に見る憧れの騎士そのものだった。
夢でしか会えないはずだった彼が、今、私の隣に座っている。
平常心でいろ、という方が無理な話なのだ。
馬車が揺れる。
目の前には、うっとりするくらいに綺麗な戦士達がいて、隣には、世界が誇る騎士がいる。
宝石が散りばめられたドレスを身に纏う私は、彼らに守られながら、舞踏会へ向かうお姫様だ。
ここが、どこなのか分からなくなる。
だって、なんだか、まるで、夢の中に、いるみたいで———。
不意に、馬車が強めに左右に揺れた。
車輪が、大きめの石を踏んでしまったらしい。
「うわ!?」
「キャッ。」
エレンの驚いたような声の後、小さな悲鳴を上げたのは、私だったのか、ミカサだったのか。
彼女は、恋人のエレンの胸元に倒れて、守られるように抱きしめられていた。
そして、私は———。
「大丈夫か?」
肩に抱き着いてしまった私を、リヴァイ兵長が心配そうに覗き込んで訊ねる。
「だ、大丈夫です…!すみません…っ。」
慌てて離れて、早口で謝った。
向こうの座席では、離れようとしたミカサの腰をエレンが抱き寄せて「揺れるから、ここでじっとしとけ。」と守ってあげている。
あぁ、素敵だな——。
恋人同士の彼らを羨ましく思いながら、私は真っ赤に火照った顔を冷ますためにも、車窓の向こうへと視線を向けた。
任務を早めに終わらせてから、〝眠り姫〟をイメージしたというお姫様のドレスに着替えた私は、仮装パーティーの参加者と共に幾つかの馬車に分かれて乗り、会場へと向かっている。
車窓の向こうに見えるトロスト区の街並みは、さっきまで夕陽を浴びて赤くなっていたはずなのに、少しずつ夜の雰囲気を纏いだしていた。
外を眺めるのも飽きてしまって、私は視線を戻した。
2人掛け用の座席が向かい合って配置された4人用の馬車で、私の目の前の座席に座っているのは、騎士に仕える戦士に扮したエレンだ。
巨人化出来る人間として、リヴァイ兵長に紹介されたばかりの頃の無鉄砲な少年は、成長するにつれて、色気を垂れ流す大人の男になっていた。
普段は、世界の悪いところをすべて見せられて、どこか達観したような顔をしている彼だけれど、長髪を後ろで一つにきつく結んで、戦士の格好をしていると、少しだけ昔の熱い闘志を燃やしていた彼が戻って来たみたいだった。
その隣に座るミカサは、さすがの美しさだ。
エレンの着ている戦士の衣装と似ているけれど、身体のシルエットが綺麗に出るロングスカートタイプになっていて、すらりと背が高くスタイルのいいミカサにすごく似合っている。
さっきから、エレンが、少しムスッとして頬杖をついて車窓の向こうを眺めているのは、たぶん、ミカサが綺麗すぎて照れているのだと思う。
私も、似たような気持ちだから、凄くわかる。
必死に、隣にいるリヴァイ兵長に意識が行かないように、私はさっきから、馬車の揺れだけに神経を集中させている。
騎士の衣装に着替えた彼は、私が夢に見る憧れの騎士そのものだった。
夢でしか会えないはずだった彼が、今、私の隣に座っている。
平常心でいろ、という方が無理な話なのだ。
馬車が揺れる。
目の前には、うっとりするくらいに綺麗な戦士達がいて、隣には、世界が誇る騎士がいる。
宝石が散りばめられたドレスを身に纏う私は、彼らに守られながら、舞踏会へ向かうお姫様だ。
ここが、どこなのか分からなくなる。
だって、なんだか、まるで、夢の中に、いるみたいで———。
不意に、馬車が強めに左右に揺れた。
車輪が、大きめの石を踏んでしまったらしい。
「うわ!?」
「キャッ。」
エレンの驚いたような声の後、小さな悲鳴を上げたのは、私だったのか、ミカサだったのか。
彼女は、恋人のエレンの胸元に倒れて、守られるように抱きしめられていた。
そして、私は———。
「大丈夫か?」
肩に抱き着いてしまった私を、リヴァイ兵長が心配そうに覗き込んで訊ねる。
「だ、大丈夫です…!すみません…っ。」
慌てて離れて、早口で謝った。
向こうの座席では、離れようとしたミカサの腰をエレンが抱き寄せて「揺れるから、ここでじっとしとけ。」と守ってあげている。
あぁ、素敵だな——。
恋人同士の彼らを羨ましく思いながら、私は真っ赤に火照った顔を冷ますためにも、車窓の向こうへと視線を向けた。