◇第三十五話◇ご機嫌に雨に踊らされる
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「馬鹿でも風邪引きましたね。」
高熱を表示する体温計を確認したジャンは、ベッドの上で顔を赤くして寝込んでいるなまえを冷たく見下ろしていた。
だが、高熱に魘されているなまえは、言い返す気力もないようで、どこを見ているのかも分からないような虚ろな目を薄くあけているだけで、反応はなかった。
びしょ濡れになって兵舎に帰ってきて、リヴァイに大説教を受けた翌日の朝、いつものようになまえを起こしに来たジャンは、彼女の様子が違うことにすぐに気がついた。
額には汗を浮かべ、顔を真っ赤にして魘されていたのだ。
自分で身体を起こすのもきついと弱々しい声で言う彼女の額に触れれば、思わず手を離してしまったくらいに熱くて驚いた。
ここで嫌味を続けていても無駄なのは分かっている。
ジャンは、仕方なく、部屋の外の廊下を通りがかった調査兵の中から適当にペトラを捕まえて簡単に事情を説明し、汗で濡れているなまえの身体を拭いてやってから、適当に部屋着に着替えさせてやるようにお願いをする。
そして、その間に、自分は、エルヴィンの元へ向かい、彼女の休みを貰えるように頼みに行った。
駐屯兵団本部の資料庫を借りる約束もしていたから、それについては、偶々近くにいたミケ分隊の新兵に、キャンセルをすると伝えるようにお願いをする。
それから、医療棟にいる医療兵に事情を説明したジャンが、風邪の薬を貰ってから部屋に戻ってくると、ペトラがベッドで眠るなまえに布団をかけてやっているところだった。
「今、ちょうど眠ったところなの。
汗を拭いて着替えが終わったら、少し楽になったみたいで。」
「ありがとうございます。助かりました。」
「ううん。いいよ、これくらい。いつでも頼んでね。
それ、薬?」
「本当は診察してからがいいって言われたんすけど、
熱が高過ぎて寝れねぇかと思って、薬だけ先に貰ってきたんですよ。
まぁ、必要なかったみたいっすね。ほんと、さすがですよ。」
ジャンは、ベッド脇のサイドテーブルに貰ってきたばかりの薬を置くと、呆れたように首を竦めた。
その様子を、ペトラが少し笑った。
「ハハ、そうだね。でも、熱は高そうだから、
起きたら飲ませてあげた方がいいよ。
診察は来てもらえるの?」
「はい、後で来てくれることになりました。」
「そっか。それなら少し安心。
私もそばについててあげたいんだけど、
今日はエルドとカラネス区に行く予定で…。」
ベッドの上で魘されているなまえを見下ろし、ペトラが申し訳なさそうに言う。
だが、ジャンは、首を横に振った。
「大丈夫ですよ。雨に濡れたら馬鹿でも風邪引くことを
勝手に自分で証明してしまっただけなんで。
寝てれば治りますよ。」
「…そう、なの?よく分からないけど…。」
ペトラは首を傾げながらも、準備があるからと出て行った。
残されたジャンは、浅く呼吸をしながらも眠っているなまえを見下ろすと、大きくため息を吐いた。
(だから、風邪引くって言ったのに。)
まぁ、今さら文句を言っても、馬鹿が風邪を引いてしまったのだから仕方がない。
ジャンは、気持ちを切り替えると、デスクの上に放置されたままになっている書類を片付けながら、頭の中で今日の予定を組み直す。
なまえの風邪が治ったら、すぐに書類の確認が出来るように、調査兵団の資料室で集めた資料をまとめておこう——。
そう決めて、ジャンは、棚から取り出した書類を抱えて、やっと眠れたなまえを起こさないように、そっと椅子を引いた。
高熱を表示する体温計を確認したジャンは、ベッドの上で顔を赤くして寝込んでいるなまえを冷たく見下ろしていた。
だが、高熱に魘されているなまえは、言い返す気力もないようで、どこを見ているのかも分からないような虚ろな目を薄くあけているだけで、反応はなかった。
びしょ濡れになって兵舎に帰ってきて、リヴァイに大説教を受けた翌日の朝、いつものようになまえを起こしに来たジャンは、彼女の様子が違うことにすぐに気がついた。
額には汗を浮かべ、顔を真っ赤にして魘されていたのだ。
自分で身体を起こすのもきついと弱々しい声で言う彼女の額に触れれば、思わず手を離してしまったくらいに熱くて驚いた。
ここで嫌味を続けていても無駄なのは分かっている。
ジャンは、仕方なく、部屋の外の廊下を通りがかった調査兵の中から適当にペトラを捕まえて簡単に事情を説明し、汗で濡れているなまえの身体を拭いてやってから、適当に部屋着に着替えさせてやるようにお願いをする。
そして、その間に、自分は、エルヴィンの元へ向かい、彼女の休みを貰えるように頼みに行った。
駐屯兵団本部の資料庫を借りる約束もしていたから、それについては、偶々近くにいたミケ分隊の新兵に、キャンセルをすると伝えるようにお願いをする。
それから、医療棟にいる医療兵に事情を説明したジャンが、風邪の薬を貰ってから部屋に戻ってくると、ペトラがベッドで眠るなまえに布団をかけてやっているところだった。
「今、ちょうど眠ったところなの。
汗を拭いて着替えが終わったら、少し楽になったみたいで。」
「ありがとうございます。助かりました。」
「ううん。いいよ、これくらい。いつでも頼んでね。
それ、薬?」
「本当は診察してからがいいって言われたんすけど、
熱が高過ぎて寝れねぇかと思って、薬だけ先に貰ってきたんですよ。
まぁ、必要なかったみたいっすね。ほんと、さすがですよ。」
ジャンは、ベッド脇のサイドテーブルに貰ってきたばかりの薬を置くと、呆れたように首を竦めた。
その様子を、ペトラが少し笑った。
「ハハ、そうだね。でも、熱は高そうだから、
起きたら飲ませてあげた方がいいよ。
診察は来てもらえるの?」
「はい、後で来てくれることになりました。」
「そっか。それなら少し安心。
私もそばについててあげたいんだけど、
今日はエルドとカラネス区に行く予定で…。」
ベッドの上で魘されているなまえを見下ろし、ペトラが申し訳なさそうに言う。
だが、ジャンは、首を横に振った。
「大丈夫ですよ。雨に濡れたら馬鹿でも風邪引くことを
勝手に自分で証明してしまっただけなんで。
寝てれば治りますよ。」
「…そう、なの?よく分からないけど…。」
ペトラは首を傾げながらも、準備があるからと出て行った。
残されたジャンは、浅く呼吸をしながらも眠っているなまえを見下ろすと、大きくため息を吐いた。
(だから、風邪引くって言ったのに。)
まぁ、今さら文句を言っても、馬鹿が風邪を引いてしまったのだから仕方がない。
ジャンは、気持ちを切り替えると、デスクの上に放置されたままになっている書類を片付けながら、頭の中で今日の予定を組み直す。
なまえの風邪が治ったら、すぐに書類の確認が出来るように、調査兵団の資料室で集めた資料をまとめておこう——。
そう決めて、ジャンは、棚から取り出した書類を抱えて、やっと眠れたなまえを起こさないように、そっと椅子を引いた。