◇第百五十四話◇地獄はまた更新される
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どれくらい走っただろうか。
本来ならもうエルミハ区へと続く内門へ到着している頃だ。けれど、遠回りをしている為、シートに被った荷馬車の中では、今がどの辺りなのかがさっぱり分からない。
そろそろ休憩を挟むという伝達がフレイヤ辺りから届くかもしれない。そんなことを考えていたときだった。
荷馬車の外が急に騒がしくなったのだ。
「きゃーーー!」
「なんで…!?」
「わぁああああっ!!」
驚いた声や恐怖に慄く悲鳴が響く。
一体、何があったのか。
ずっと首を垂れていたベルトルトも、流石に外の様子が気になったのか、顔を上げて周囲の声に困惑している様子だ。
荷馬車の窓にかかっているシートを開いた私は、先頭付近にいたはずのフレイヤがこちらに向かって愛馬と共に駆け寄ってくる姿を見つけた。彼女は、すぐに私とベルトルトが乗る荷馬車に並走すると、焦った様子で声を上げた。
「3時の方向に数体の巨人を確認!!」
「え!?」
「今、ナナバさん達、精鋭兵が討伐に行っています!数が少ないので、とりあえずは精鋭兵だけで対処できそうですが、壁が壊されていた場合、さらに被害が拡大する可能性があるため、今すぐに作戦を練ろうとジャンさんからのから伝達です!!」
「わかった。とりあえず、この先の地図の内容はジャンが把握してるから、彼の指示に従って安全な場所まで移動しよう。
それから、ジャンの判断で構わないから、今すぐに数名の精鋭兵を壁に穴が空いていないかの確認に派遣させてほしい。数が足りなければ、憲兵団を連れていっても構わない。」
「了解です!伝えます!」
「よろしく。」
シートを開いたままにして、私は、あっという間に愛馬と共に駆けていくフレイヤの背中を追いかけた。その向こうに、巨人を討伐しているナナバ達の背中が小さく見えた。
フレイヤからの伝達を聞いた憲兵達からは抗議の声が上がるだろうが、ナイル師団長から、問題が起きた場合は憲兵も自由に使って構わないと許可をもらっている。きっと、ジャンがうまくやってくれるだろう。
でも、一体どうして、こんな場所に巨人がやってくるのかーーー。
「どういうことだよ!?」
「おい!まさか、調査兵団が巨人と結託して、俺たちを巨人の巣穴に呼び寄せたわけじゃねぇだろうな!?」
「巨人で脅して、自分たちのわがままを通す気か!?」
荷馬車のスピードが上がる。外では、憲兵団が、騒いでいる声が大きく響いていた。
最近は、憲兵団と王政の考えと調査兵団の考えが衝突することも多い。それに、調査兵団には、巨人化できるエレン・イェーガーを仲間として受け入れているという『前科』がある。そのため、憲兵には、調査兵団は巨人の仲間だと疑っている者もいるらしい。
そんなわけないのにーーーー。
ハッとして、顔を上げた私は、隣に座っているベルトルトの方を向いた。
ベルトルトは、顔色を真っ青にしていた。目を見開き、微かに震えている。
「ベルトルト、ひとつ聞いていい?」
「…。」
「この世には、知性のある巨人が九ついるのよね?」
「…はい。」
「超大型巨人以外に、壁を蹴り壊せる巨人はいる?」
「…っ。」
顔色を真っ青にしたまま、ベルトルトは顔を覆ってしまった。
この世に存在する知性のある巨人。それは全てで九体存在する。それらの能力については、ライナー達が教えてくれた。
私はずっと、その能力が本当に全てなのであれば、超大型巨人であるベルトルトがこちら側にいる限り、二度と壁を蹴り壊されることはないのだと考えていた。けれど、実際、今、壁の中に巨人がいる。
ベルトルトの様子を見れば、答えはひとつしかない。
どんな地獄も受け入れる覚悟だったはずの私を、また新たな絶望が襲う。
あぁ、やっぱり、ジャンの母親の言う通りだ。この世界で、私たちにとって都合の良い奇跡なんて、起こらない。
この世は残酷で、あまりにも非情なのだからーーーーーー。
「ふぅーー。」
私は、胸の奥で深呼吸をした。
絶望は、またいつでも出来る。今、私がしなければならないことは、この最悪の事態が起こす悲劇の結末を、出来るだけ軽微にすることだ。その為に出来ることを考えなければ。
本来ならもうエルミハ区へと続く内門へ到着している頃だ。けれど、遠回りをしている為、シートに被った荷馬車の中では、今がどの辺りなのかがさっぱり分からない。
そろそろ休憩を挟むという伝達がフレイヤ辺りから届くかもしれない。そんなことを考えていたときだった。
荷馬車の外が急に騒がしくなったのだ。
「きゃーーー!」
「なんで…!?」
「わぁああああっ!!」
驚いた声や恐怖に慄く悲鳴が響く。
一体、何があったのか。
ずっと首を垂れていたベルトルトも、流石に外の様子が気になったのか、顔を上げて周囲の声に困惑している様子だ。
荷馬車の窓にかかっているシートを開いた私は、先頭付近にいたはずのフレイヤがこちらに向かって愛馬と共に駆け寄ってくる姿を見つけた。彼女は、すぐに私とベルトルトが乗る荷馬車に並走すると、焦った様子で声を上げた。
「3時の方向に数体の巨人を確認!!」
「え!?」
「今、ナナバさん達、精鋭兵が討伐に行っています!数が少ないので、とりあえずは精鋭兵だけで対処できそうですが、壁が壊されていた場合、さらに被害が拡大する可能性があるため、今すぐに作戦を練ろうとジャンさんからのから伝達です!!」
「わかった。とりあえず、この先の地図の内容はジャンが把握してるから、彼の指示に従って安全な場所まで移動しよう。
それから、ジャンの判断で構わないから、今すぐに数名の精鋭兵を壁に穴が空いていないかの確認に派遣させてほしい。数が足りなければ、憲兵団を連れていっても構わない。」
「了解です!伝えます!」
「よろしく。」
シートを開いたままにして、私は、あっという間に愛馬と共に駆けていくフレイヤの背中を追いかけた。その向こうに、巨人を討伐しているナナバ達の背中が小さく見えた。
フレイヤからの伝達を聞いた憲兵達からは抗議の声が上がるだろうが、ナイル師団長から、問題が起きた場合は憲兵も自由に使って構わないと許可をもらっている。きっと、ジャンがうまくやってくれるだろう。
でも、一体どうして、こんな場所に巨人がやってくるのかーーー。
「どういうことだよ!?」
「おい!まさか、調査兵団が巨人と結託して、俺たちを巨人の巣穴に呼び寄せたわけじゃねぇだろうな!?」
「巨人で脅して、自分たちのわがままを通す気か!?」
荷馬車のスピードが上がる。外では、憲兵団が、騒いでいる声が大きく響いていた。
最近は、憲兵団と王政の考えと調査兵団の考えが衝突することも多い。それに、調査兵団には、巨人化できるエレン・イェーガーを仲間として受け入れているという『前科』がある。そのため、憲兵には、調査兵団は巨人の仲間だと疑っている者もいるらしい。
そんなわけないのにーーーー。
ハッとして、顔を上げた私は、隣に座っているベルトルトの方を向いた。
ベルトルトは、顔色を真っ青にしていた。目を見開き、微かに震えている。
「ベルトルト、ひとつ聞いていい?」
「…。」
「この世には、知性のある巨人が九ついるのよね?」
「…はい。」
「超大型巨人以外に、壁を蹴り壊せる巨人はいる?」
「…っ。」
顔色を真っ青にしたまま、ベルトルトは顔を覆ってしまった。
この世に存在する知性のある巨人。それは全てで九体存在する。それらの能力については、ライナー達が教えてくれた。
私はずっと、その能力が本当に全てなのであれば、超大型巨人であるベルトルトがこちら側にいる限り、二度と壁を蹴り壊されることはないのだと考えていた。けれど、実際、今、壁の中に巨人がいる。
ベルトルトの様子を見れば、答えはひとつしかない。
どんな地獄も受け入れる覚悟だったはずの私を、また新たな絶望が襲う。
あぁ、やっぱり、ジャンの母親の言う通りだ。この世界で、私たちにとって都合の良い奇跡なんて、起こらない。
この世は残酷で、あまりにも非情なのだからーーーーーー。
「ふぅーー。」
私は、胸の奥で深呼吸をした。
絶望は、またいつでも出来る。今、私がしなければならないことは、この最悪の事態が起こす悲劇の結末を、出来るだけ軽微にすることだ。その為に出来ることを考えなければ。
