◇第百五十一話◇絶望の真実
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「…それはつまり、あの壁のずっとずっと向こうに、もう一つの世界があるということ…?」
尋問室に通されたのは、ライナーだけだった。
書記官にモブリットさん。ライナーの両隣は、遅れてやってきたリヴァイ兵長とハンジさんが立って、凶悪犯にブレードの刃を向けている。私の隣に立つジャンも、ブレードを鞘から出して握りしめ、いつでも上司を守れる体勢をとっている。
直接話が聞きたいーーーと、尋問室の外からはエルヴィン団長も見守っている。
緊張感と恐怖の中で、それでも、ライナーの尋問は、滞りなく行われていた。
このまま問題なくライナーの話が終われば、次はベルトルト、その次はアニを尋問室に通し、彼らの話に矛盾はないか、正誤判定をするつもりだ。
けれど、そんなもの、必要ないのかもしれない。
私が訊ねたことに、ライナーは、淀みなくまっすぐな目で答えてくれた。
彼が嘘をついているようには、思えない。
だからこそ、信じられないのだ。
「そうだ。俺達は、その世界から、この島の……。」
そこまで言って、まっすぐに私の目を見ていたライナーが、初めて目を伏せた。
そして、苦しげに眉を顰め、唇を噛む。
何か言いづらいことでもあるのだろう。私は、急かすことはせずに、ライナーの心の準備ができるまで待つことにした。
きっとライナーは、全てを正直に話してくれるーーーーそう信じ切っている自分を馬鹿だとも愚かだとも、間抜けだとも、チャレンジャーだとさえも思わない。根拠ならあるのだ。
ライナーは、私達の仲間だ。きっと今でも、彼は仲間だ。裏切り者だったけれど、共に命を賭けて戦った日々は、嘘じゃない。確かに、彼らに助けられた命はあった。それだって、真実なのだからーーーー。
しばらく待っていると、ライナーが、目を伏せたままでゆっくりと息を吸った。そして、本当に小さく口を開く。
「……悪魔共を根絶やしにするために派遣された、戦士だった。」
悪魔という言葉に、思わず、眉を顰めたのは、リヴァイ兵長だった。
私の隣にいるジャンからも、ピリッとした痛い空気を感じる。
「……だった?今は、違うの?」
私がそう訊ねると、ライナーはビクッと肩を震わせた。
そうして、弱々しく首を横に振る。
「…わからない。」
「わからない?自分が戦士なのか、兵士なのかわからないってこと?」
「…俺は…、お前達が本当に悪魔だったらよかったのに、と思ってる…。そうすれば、俺は戦士でいられたんだ…。」
ライナーは目を伏せたままで、苦しげに言う。
小さく震える肩の先で、腕も震えている。ライナーのことを見下ろしていたハンジが、つらそうに唇を噛んだ。
「ライナー、拳を握るのをやめろ。巨人化するための自傷行為だとみなして、お前の首をはねるぞ。」
リヴァイ兵長が厳しい言葉をかけた。
けれど、後ろ手に回されて、背中で痛いくらいに握られているライナーの拳を包み込むように触れたリヴァイ兵長の仕草は、とても優しくて、私まで胸が苦しくなる。だからきっと、ライナーは尚更だっただろう。
「ーーー今日はここまでにしよう。」
「え!でも、まだ、どうして我々が狙われたのかがわからないままで…ーー。」
「いいよ、モブリット。なまえの判断に任せよう。今日は、なまえが全てを決めるように、エルヴィンにも言われてる。」
思わず立ち上がったモブリットさんをハンジさんが嗜めてくれた。
ホッと安堵して、ハンジさんに礼を言えば、小さく微笑み返された。
「それじゃあ、ライナー、今日はたくさん話を聞かせてくれてありがとう。
疲れたと思うから、ゆっくり休んでね。」
「………って、ない。」
ライナーが何かを言った。
聞き取れず、もう一度訊ねると、ライナーが顔を上げた。
「まだ、終わってない。」
ライナーが、私の顔をまっすぐに見て言う。
「俺達を捕らえたからって、安心していたら、お前らはきっと後ろから刺される。」
ライナーのそれは、とても絶望的な宣言だった。
その後、ベルトルト、アニから、ライナーの話の続きだと思われる事実をいくつも聞くことが出来た。
後日、それぞれの話を再度確認し、予定通り、正誤判定も必要になるだろう。
でもやっぱり、彼らは何も嘘はついていない気がするのだ。
だって、そんな地獄みたいな、悪夢みたいな話を私たちにすることで、彼らにとってもなんのメリットもないと思うからーーー。
私たちは皆、巨人化する身体を持って生まれ、世界から忌み嫌われている恐ろしい悪魔の子孫だったなんて、そんな話ーーーーー。
尋問室に通されたのは、ライナーだけだった。
書記官にモブリットさん。ライナーの両隣は、遅れてやってきたリヴァイ兵長とハンジさんが立って、凶悪犯にブレードの刃を向けている。私の隣に立つジャンも、ブレードを鞘から出して握りしめ、いつでも上司を守れる体勢をとっている。
直接話が聞きたいーーーと、尋問室の外からはエルヴィン団長も見守っている。
緊張感と恐怖の中で、それでも、ライナーの尋問は、滞りなく行われていた。
このまま問題なくライナーの話が終われば、次はベルトルト、その次はアニを尋問室に通し、彼らの話に矛盾はないか、正誤判定をするつもりだ。
けれど、そんなもの、必要ないのかもしれない。
私が訊ねたことに、ライナーは、淀みなくまっすぐな目で答えてくれた。
彼が嘘をついているようには、思えない。
だからこそ、信じられないのだ。
「そうだ。俺達は、その世界から、この島の……。」
そこまで言って、まっすぐに私の目を見ていたライナーが、初めて目を伏せた。
そして、苦しげに眉を顰め、唇を噛む。
何か言いづらいことでもあるのだろう。私は、急かすことはせずに、ライナーの心の準備ができるまで待つことにした。
きっとライナーは、全てを正直に話してくれるーーーーそう信じ切っている自分を馬鹿だとも愚かだとも、間抜けだとも、チャレンジャーだとさえも思わない。根拠ならあるのだ。
ライナーは、私達の仲間だ。きっと今でも、彼は仲間だ。裏切り者だったけれど、共に命を賭けて戦った日々は、嘘じゃない。確かに、彼らに助けられた命はあった。それだって、真実なのだからーーーー。
しばらく待っていると、ライナーが、目を伏せたままでゆっくりと息を吸った。そして、本当に小さく口を開く。
「……悪魔共を根絶やしにするために派遣された、戦士だった。」
悪魔という言葉に、思わず、眉を顰めたのは、リヴァイ兵長だった。
私の隣にいるジャンからも、ピリッとした痛い空気を感じる。
「……だった?今は、違うの?」
私がそう訊ねると、ライナーはビクッと肩を震わせた。
そうして、弱々しく首を横に振る。
「…わからない。」
「わからない?自分が戦士なのか、兵士なのかわからないってこと?」
「…俺は…、お前達が本当に悪魔だったらよかったのに、と思ってる…。そうすれば、俺は戦士でいられたんだ…。」
ライナーは目を伏せたままで、苦しげに言う。
小さく震える肩の先で、腕も震えている。ライナーのことを見下ろしていたハンジが、つらそうに唇を噛んだ。
「ライナー、拳を握るのをやめろ。巨人化するための自傷行為だとみなして、お前の首をはねるぞ。」
リヴァイ兵長が厳しい言葉をかけた。
けれど、後ろ手に回されて、背中で痛いくらいに握られているライナーの拳を包み込むように触れたリヴァイ兵長の仕草は、とても優しくて、私まで胸が苦しくなる。だからきっと、ライナーは尚更だっただろう。
「ーーー今日はここまでにしよう。」
「え!でも、まだ、どうして我々が狙われたのかがわからないままで…ーー。」
「いいよ、モブリット。なまえの判断に任せよう。今日は、なまえが全てを決めるように、エルヴィンにも言われてる。」
思わず立ち上がったモブリットさんをハンジさんが嗜めてくれた。
ホッと安堵して、ハンジさんに礼を言えば、小さく微笑み返された。
「それじゃあ、ライナー、今日はたくさん話を聞かせてくれてありがとう。
疲れたと思うから、ゆっくり休んでね。」
「………って、ない。」
ライナーが何かを言った。
聞き取れず、もう一度訊ねると、ライナーが顔を上げた。
「まだ、終わってない。」
ライナーが、私の顔をまっすぐに見て言う。
「俺達を捕らえたからって、安心していたら、お前らはきっと後ろから刺される。」
ライナーのそれは、とても絶望的な宣言だった。
その後、ベルトルト、アニから、ライナーの話の続きだと思われる事実をいくつも聞くことが出来た。
後日、それぞれの話を再度確認し、予定通り、正誤判定も必要になるだろう。
でもやっぱり、彼らは何も嘘はついていない気がするのだ。
だって、そんな地獄みたいな、悪夢みたいな話を私たちにすることで、彼らにとってもなんのメリットもないと思うからーーー。
私たちは皆、巨人化する身体を持って生まれ、世界から忌み嫌われている恐ろしい悪魔の子孫だったなんて、そんな話ーーーーー。
