◇第百五十一話◇絶望の真実
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「目が覚めたばっかりなのに、ごめんねぇ。」
地下牢への階段を降りながら、先頭を歩くハンジさんがボサボサの髪を雑に掻いた。
目覚めてから数日後、リハビリもまだ続けている中、病室にやってきたハンジから頼まれた任務は、トロスト区巨人襲撃事件の犯人の取り調べだった。
捕えてから今日まで、休まずに尋問をしているハンジ班だったけれど、ライナーとベルトルトは何も話そうとはしてくれないらしい。
それでも、私になら話す、とジャン達が彼らと約束を取り付けてくれたのだそうだ。
けれど、自分達で取り調べをしたい憲兵団が、5日後には彼らを迎えに来てしまうことになった。今までなんとか、適当な理由を作っては、憲兵団や王政からの『巨人化できる人間を引き渡せ』という要請をのらりくらりと交わしていたエルヴィン団長だったが、とうとう強硬手段に出られてしまっては、部下の回復を悠長に待ってはいられなくなったということなのだろう。
「平気だよ。ずっとベッドの上にいてもつまんないだけだし。」
「なまえからそんな言葉出る日がくるなんて、感動して泣きそうです。」
狭い階段で、斜め後ろを歩くジャンを睨みつければ、鼻で笑われた。
いちいち嫌味な言い方をするのは今までとは変わらないジャンだけれど、最近、彼は、人目を気にせずに、どこにいても誰といても私のことを呼び捨てするようになった。一応、敬語はまだ残っているけれど、それもそのうち消えていくのかもしれない。
偽物の婚約者から本物の恋人になったことで、今までの私達よりもグッと距離が縮まったということなら、とても嬉しい。けれど、ただただ、上司として尊敬されていないだけなような気がするのだ。不安は的中していそうで、確認するのが怖い。
「君達が相変わらず仲が良さそうで、本当に良かったよ。きっと、ライナー達も喜ぶだろうね。」
ハンジさんがアハハと笑う。
ライナー達の状況は、ハンジさんやエルヴィン団長からも聞いている。彼らが、ジャンに小馬鹿にされている私の姿を見て喜んでくれるかどうかはわからないけれど、さっきのハンジさんみたいに、呆れたように笑ってくれたらいいーーーーそんなことを、ふ、と思った。
すると、斜め後ろを歩いているジャンが、私の髪をクシャリと、少しだけ雑に撫でた。その大きな手からは、きっと大丈夫だよって声が聞こえて気がした。
いつも通りに見えても、本当は緊張と不安に張り詰めていたらしい私達は、それから誰も口を開かなかった。静かなままで辿り着いた地下牢は、私達よりもずっと静かで、緊張感で張り詰めていた。
モブリットを中心として、見張りについているハンジ班が、地下牢の前に並んで立っている。腰についたブレードの柄を、常に彼らの利き手が握りしめている。牢獄されている凶悪犯が反撃してきた時に、すぐに制圧できるように必要なことだ。
けれど、柔らかい笑みを浮かべていることの多いハンジ班の班員達が、厳しい目でじっと見張っている先にいるのが、ライナーとベルトルト、そして、アニだということが、私はまだ信じられない。
いや、信じたくないのだ。
彼らを見つけてしまったのは自分なのに、正直、今でもまだ、何かの間違いであってほしいと願っている。
きっと私は、頭がおかしいのだ。どうかしているんだろう。
だって、彼らが超大型巨人、及び、鎧の巨人になるところを、私はこの目で見たのだからーーーーーー。
「なまえ、来てくれてありがとう。」
モブリットさんは、ハンジ班の班員に指示を出した後、声をかけてきた。
優しい声色だけれど、その表情には緊張と不安が滲んでいる。それから、頬もこけてしまっている気がする。
調査兵団の兵士の中でも特に優しい彼は、仲間だったライナー達を拘束し、こうして見張っているこの状況にストレスを誰よりも感じているのかもしれない。それでも、やらないわけにはいかない。これは、私達の任務だ。王政にも憲兵団にも、邪魔はさせられない。
「ううん、呼んでくれてありがとうございます。私も…、出来れば、自分の言葉で話をしたいと思っていたから、有り難いです。」
「そう言ってもらえると、助かるよ。
でも、もしも、体調に少しでも不安を感じたらすぐに教えて欲しい。」
「分かりました。」
しっかりと頷けば、モブリットさんは、ホッとしたように息を吐いた。
彼の向こうでは、両腕を後ろに回したままで、鉄の鎖で両手と身体を拘束されているライナーが、ニファ達に尋問室へと連れて行かされていた。
地下牢への階段を降りながら、先頭を歩くハンジさんがボサボサの髪を雑に掻いた。
目覚めてから数日後、リハビリもまだ続けている中、病室にやってきたハンジから頼まれた任務は、トロスト区巨人襲撃事件の犯人の取り調べだった。
捕えてから今日まで、休まずに尋問をしているハンジ班だったけれど、ライナーとベルトルトは何も話そうとはしてくれないらしい。
それでも、私になら話す、とジャン達が彼らと約束を取り付けてくれたのだそうだ。
けれど、自分達で取り調べをしたい憲兵団が、5日後には彼らを迎えに来てしまうことになった。今までなんとか、適当な理由を作っては、憲兵団や王政からの『巨人化できる人間を引き渡せ』という要請をのらりくらりと交わしていたエルヴィン団長だったが、とうとう強硬手段に出られてしまっては、部下の回復を悠長に待ってはいられなくなったということなのだろう。
「平気だよ。ずっとベッドの上にいてもつまんないだけだし。」
「なまえからそんな言葉出る日がくるなんて、感動して泣きそうです。」
狭い階段で、斜め後ろを歩くジャンを睨みつければ、鼻で笑われた。
いちいち嫌味な言い方をするのは今までとは変わらないジャンだけれど、最近、彼は、人目を気にせずに、どこにいても誰といても私のことを呼び捨てするようになった。一応、敬語はまだ残っているけれど、それもそのうち消えていくのかもしれない。
偽物の婚約者から本物の恋人になったことで、今までの私達よりもグッと距離が縮まったということなら、とても嬉しい。けれど、ただただ、上司として尊敬されていないだけなような気がするのだ。不安は的中していそうで、確認するのが怖い。
「君達が相変わらず仲が良さそうで、本当に良かったよ。きっと、ライナー達も喜ぶだろうね。」
ハンジさんがアハハと笑う。
ライナー達の状況は、ハンジさんやエルヴィン団長からも聞いている。彼らが、ジャンに小馬鹿にされている私の姿を見て喜んでくれるかどうかはわからないけれど、さっきのハンジさんみたいに、呆れたように笑ってくれたらいいーーーーそんなことを、ふ、と思った。
すると、斜め後ろを歩いているジャンが、私の髪をクシャリと、少しだけ雑に撫でた。その大きな手からは、きっと大丈夫だよって声が聞こえて気がした。
いつも通りに見えても、本当は緊張と不安に張り詰めていたらしい私達は、それから誰も口を開かなかった。静かなままで辿り着いた地下牢は、私達よりもずっと静かで、緊張感で張り詰めていた。
モブリットを中心として、見張りについているハンジ班が、地下牢の前に並んで立っている。腰についたブレードの柄を、常に彼らの利き手が握りしめている。牢獄されている凶悪犯が反撃してきた時に、すぐに制圧できるように必要なことだ。
けれど、柔らかい笑みを浮かべていることの多いハンジ班の班員達が、厳しい目でじっと見張っている先にいるのが、ライナーとベルトルト、そして、アニだということが、私はまだ信じられない。
いや、信じたくないのだ。
彼らを見つけてしまったのは自分なのに、正直、今でもまだ、何かの間違いであってほしいと願っている。
きっと私は、頭がおかしいのだ。どうかしているんだろう。
だって、彼らが超大型巨人、及び、鎧の巨人になるところを、私はこの目で見たのだからーーーーーー。
「なまえ、来てくれてありがとう。」
モブリットさんは、ハンジ班の班員に指示を出した後、声をかけてきた。
優しい声色だけれど、その表情には緊張と不安が滲んでいる。それから、頬もこけてしまっている気がする。
調査兵団の兵士の中でも特に優しい彼は、仲間だったライナー達を拘束し、こうして見張っているこの状況にストレスを誰よりも感じているのかもしれない。それでも、やらないわけにはいかない。これは、私達の任務だ。王政にも憲兵団にも、邪魔はさせられない。
「ううん、呼んでくれてありがとうございます。私も…、出来れば、自分の言葉で話をしたいと思っていたから、有り難いです。」
「そう言ってもらえると、助かるよ。
でも、もしも、体調に少しでも不安を感じたらすぐに教えて欲しい。」
「分かりました。」
しっかりと頷けば、モブリットさんは、ホッとしたように息を吐いた。
彼の向こうでは、両腕を後ろに回したままで、鉄の鎖で両手と身体を拘束されているライナーが、ニファ達に尋問室へと連れて行かされていた。
