◇第百四十一話◇あなたに惹かれたそのわけ
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なまえが目を覚ましたのは、5日目の昼間だった。
何かと忙しい彼女の両親が延ばしに延ばした帰省は、明日にまで迫っていた。
うっすらと瞼が上がっていく姿に驚き、高揚し、安心と喜びで飛び上がった両親の隣で、リヴァイもまた同じ気持ちだったことを、きっと誰も知る由もない。
いつも冷静で客観的なものの見方が得意な彼も、愛する人のことになれば人並みに落ち込むし、喜んだりもするのだ。
「なまえ……っ。」
瞼が上がりきった頃、父親が娘を抱きしめた。
涙声から察するに、泣いているのだろう。
このまま目が覚めないかもしれないことも可能性として忘れないでいて欲しい———なかなか目を覚まさないなまえの状態を危惧した医師にそう言われたのはつい昨日のことだ。
なまえを想う誰もが、不安と恐怖に押し潰されそうだった。
「お父さん…?どうしてここに…?」
ゆっくりと身体を起こしたなまえは、自分の身に起こっていたことを理解していないようだった。
リヴァイに呼ばれてすぐに病室に駆け付けた担当医師が、身体の状態を含めて説明を行う。
5日間も眠っていたと知ればそれなりに驚くかと思ったが、なまえは納得するように頷いただけだった。
「なまえ…っ、お前は本当に…っ。
いつもいつも心配ばかりかけて…っ。」
震える声で抱きしめる父親に、なまえは戸惑っている様子だった。
彼はいつも凛としていて、兵士だけではなく民間人からも憧れる強い男だ。きっと、なまえの前での父親としての姿もそうだったのだろう。
初めて見る父に驚いているのかもしれない。
「ごめん…、本当にごめんなさい…。」
なまえはおずおずと父親の背中に手をまわすと、小さな声で謝罪をした。
一体、何に対する謝罪なのだろう———ふ、とリヴァイはそんなことを思った。けれど、それを彼女に訊ねる勇気はない。
「壁外調査で、なまえはしっかり戦えたの?」
母親が訊ねた。その瞬間に、なまえの瞳の色が陰ったのがすぐに分かった。
あの地獄のような時間を思い出したのだろう。
なまえは、ゆっくりと瞼を閉じた後、充分に時間をとってから答えた。
「うん。」
とても短い返事だった。
けれどそこに、なまえの強い覚悟と想いがこもっていることを、ここにいる全員が知っている。
目覚めたばかりということもあり、詳細な検査は後日ということで、今日は診察と簡単な検査で終わらせることになった。
診察と医師の説明も終わり、リヴァイは先に病室を出た。
娘が目を覚ますまでそばにいたくて、両親は滞在期間を延ばしたのだ。家族水入らずで話したいこともあるだろう。
いや、ただただ家族だけでそばにいたい。それだけかもしれない。
どちらにしても、自分は邪魔ものだ———。
病室を出たリヴァイは、まずはエルヴィンの元へ向かい、なまえの状態について医師の診察結果を交えて報告をした。
それから、訓練をしているリヴァイ班を見に行き簡単な指導をして、執務室に戻ると書類の整理を始めた。
とにかく、忙しくしていたかった。
リヴァイには、なまえに伝えなければならないことがある。
何かと忙しい彼女の両親が延ばしに延ばした帰省は、明日にまで迫っていた。
うっすらと瞼が上がっていく姿に驚き、高揚し、安心と喜びで飛び上がった両親の隣で、リヴァイもまた同じ気持ちだったことを、きっと誰も知る由もない。
いつも冷静で客観的なものの見方が得意な彼も、愛する人のことになれば人並みに落ち込むし、喜んだりもするのだ。
「なまえ……っ。」
瞼が上がりきった頃、父親が娘を抱きしめた。
涙声から察するに、泣いているのだろう。
このまま目が覚めないかもしれないことも可能性として忘れないでいて欲しい———なかなか目を覚まさないなまえの状態を危惧した医師にそう言われたのはつい昨日のことだ。
なまえを想う誰もが、不安と恐怖に押し潰されそうだった。
「お父さん…?どうしてここに…?」
ゆっくりと身体を起こしたなまえは、自分の身に起こっていたことを理解していないようだった。
リヴァイに呼ばれてすぐに病室に駆け付けた担当医師が、身体の状態を含めて説明を行う。
5日間も眠っていたと知ればそれなりに驚くかと思ったが、なまえは納得するように頷いただけだった。
「なまえ…っ、お前は本当に…っ。
いつもいつも心配ばかりかけて…っ。」
震える声で抱きしめる父親に、なまえは戸惑っている様子だった。
彼はいつも凛としていて、兵士だけではなく民間人からも憧れる強い男だ。きっと、なまえの前での父親としての姿もそうだったのだろう。
初めて見る父に驚いているのかもしれない。
「ごめん…、本当にごめんなさい…。」
なまえはおずおずと父親の背中に手をまわすと、小さな声で謝罪をした。
一体、何に対する謝罪なのだろう———ふ、とリヴァイはそんなことを思った。けれど、それを彼女に訊ねる勇気はない。
「壁外調査で、なまえはしっかり戦えたの?」
母親が訊ねた。その瞬間に、なまえの瞳の色が陰ったのがすぐに分かった。
あの地獄のような時間を思い出したのだろう。
なまえは、ゆっくりと瞼を閉じた後、充分に時間をとってから答えた。
「うん。」
とても短い返事だった。
けれどそこに、なまえの強い覚悟と想いがこもっていることを、ここにいる全員が知っている。
目覚めたばかりということもあり、詳細な検査は後日ということで、今日は診察と簡単な検査で終わらせることになった。
診察と医師の説明も終わり、リヴァイは先に病室を出た。
娘が目を覚ますまでそばにいたくて、両親は滞在期間を延ばしたのだ。家族水入らずで話したいこともあるだろう。
いや、ただただ家族だけでそばにいたい。それだけかもしれない。
どちらにしても、自分は邪魔ものだ———。
病室を出たリヴァイは、まずはエルヴィンの元へ向かい、なまえの状態について医師の診察結果を交えて報告をした。
それから、訓練をしているリヴァイ班を見に行き簡単な指導をして、執務室に戻ると書類の整理を始めた。
とにかく、忙しくしていたかった。
リヴァイには、なまえに伝えなければならないことがある。