◇第百三十九話◇守りたい人と守るべき想い(4)
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やけに大きく響いて聞こえたのは、ブーツで壁を蹴った音だった。
「!」
ハッとしたときにはもう、ジャンがなまえを片腕で抱えたまま背中から落下していた。
リヴァイがなまえを蹴り落す前に、掴まれていた腕を振り払ったジャンが壁を蹴って飛び降りたのだ。
絶対に助けるとあんなにも頑なだったはずのなまえを道ずれにして———。
「ジャン…!?」
頭上からは、幾つもの悲鳴が聞こえていた。
壁に刺したアンカーに自分の体重のすべてをかけて、リヴァイは慌ててジャンに手を伸ばす。
けれど、自ら落下を選んだジャンがその手を掴むはずもなく、リヴァイの手は無情にも空を切ってしまう。
「何やってんだ!!」
リヴァイは我を忘れたように声を荒げた。
けれど、怒鳴ってみたところで落下していくジャンが反省して戻ってくるわけではない。
なまえを片腕で抱えて背中から落下していく彼の表情はひどく引きつっている。
でもそこに、後悔の色は見つからなかった。
「アンタが守れねぇなら、俺が守る…!」
ジャンが、腰に差していたブレードを抜く。
彼の立体起動装置はもう動かない。
そんな状態でなまえを片腕に抱えて、戦えるわけがない。
でも、彼の目に迷いはない。
ジャンは、生きるつもりだ。
なまえを諦めるくらいなら共に死のうと思ったというわけでもないことが、強い眼差しから伝わってくる。
〝生きている限り〟なまえを守り抜く———そう覚悟したのだ。
なまえの脚を必死に引っ張っていた巨人が、ジャンめがけて大きな手を広げて襲ってくる。
もうダメだ———リヴァイだけではない。ジャン以外の全員が彼らの命の終わりに絶望した。
けれど、ジャンはリヴァイを見据えたまま、力強く叫ぶ。
「なまえは返してもらう!
人類最強なんてクソくらえだ!!そこで、指くわえて見てろ!」
怖くないはずがない。死が見えてないわけがない。
強気な態度もセリフも、強い眼差しさえも、ジャンなりの虚勢に違いなかった。
それでも彼は、諦めることだけはしなかった。
大きな手のひらを蹴ると、ジャンは片腕でブレードを構えた格好で回転しながら巨人の腕を切りつけ回避する。
そうして、巨人の肩に飛び乗った。
獲物を見失った巨人がジャンを探して身体を捻る。
片腕でなまえを抱えたままブレードを構えるジャンは、それだけでもバランスが悪く不安定だ。
そこへ、巨人の動きで伝わる振動に加えて、周りにいる巨人が同胞の肩の上に乗っているジャンに近づきだした。
さっきはなんとか堪えられたが、それも調査兵団でも屈指の精鋭兵に成長していたジャンだから起こせた奇跡みたいなものであって、次もうまくいくとは限らない。
巨人の手は、ジャンとなまえのすぐそこまで迫っていた。
「!」
ハッとしたときにはもう、ジャンがなまえを片腕で抱えたまま背中から落下していた。
リヴァイがなまえを蹴り落す前に、掴まれていた腕を振り払ったジャンが壁を蹴って飛び降りたのだ。
絶対に助けるとあんなにも頑なだったはずのなまえを道ずれにして———。
「ジャン…!?」
頭上からは、幾つもの悲鳴が聞こえていた。
壁に刺したアンカーに自分の体重のすべてをかけて、リヴァイは慌ててジャンに手を伸ばす。
けれど、自ら落下を選んだジャンがその手を掴むはずもなく、リヴァイの手は無情にも空を切ってしまう。
「何やってんだ!!」
リヴァイは我を忘れたように声を荒げた。
けれど、怒鳴ってみたところで落下していくジャンが反省して戻ってくるわけではない。
なまえを片腕で抱えて背中から落下していく彼の表情はひどく引きつっている。
でもそこに、後悔の色は見つからなかった。
「アンタが守れねぇなら、俺が守る…!」
ジャンが、腰に差していたブレードを抜く。
彼の立体起動装置はもう動かない。
そんな状態でなまえを片腕に抱えて、戦えるわけがない。
でも、彼の目に迷いはない。
ジャンは、生きるつもりだ。
なまえを諦めるくらいなら共に死のうと思ったというわけでもないことが、強い眼差しから伝わってくる。
〝生きている限り〟なまえを守り抜く———そう覚悟したのだ。
なまえの脚を必死に引っ張っていた巨人が、ジャンめがけて大きな手を広げて襲ってくる。
もうダメだ———リヴァイだけではない。ジャン以外の全員が彼らの命の終わりに絶望した。
けれど、ジャンはリヴァイを見据えたまま、力強く叫ぶ。
「なまえは返してもらう!
人類最強なんてクソくらえだ!!そこで、指くわえて見てろ!」
怖くないはずがない。死が見えてないわけがない。
強気な態度もセリフも、強い眼差しさえも、ジャンなりの虚勢に違いなかった。
それでも彼は、諦めることだけはしなかった。
大きな手のひらを蹴ると、ジャンは片腕でブレードを構えた格好で回転しながら巨人の腕を切りつけ回避する。
そうして、巨人の肩に飛び乗った。
獲物を見失った巨人がジャンを探して身体を捻る。
片腕でなまえを抱えたままブレードを構えるジャンは、それだけでもバランスが悪く不安定だ。
そこへ、巨人の動きで伝わる振動に加えて、周りにいる巨人が同胞の肩の上に乗っているジャンに近づきだした。
さっきはなんとか堪えられたが、それも調査兵団でも屈指の精鋭兵に成長していたジャンだから起こせた奇跡みたいなものであって、次もうまくいくとは限らない。
巨人の手は、ジャンとなまえのすぐそこまで迫っていた。