◇第百三十七話◇守りたい人と守るべき想い(2)
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今まで重くのしかかっていたなまえの体重から解放されて、ジャンの身体が僅かに浮く。
それとは正反対に、なまえの身体は巨人に引っ張られて落ちていく。そして、気味の悪い笑顔で待ち構えている巨人の口の中で絶命する———そのはずだった。
なまえは、まだ生きている。
ジャンが、落ちていくなまえの腕を掴んだからだ。
片手でリヴァイの腕を掴んでなんとか落下から免れながら、もう片方の手で意識のないなまえの身体を支えている。
あの一瞬で、ジャンはよくやった。
本当は褒めてやりたい。何度も感謝を伝えたい。
でも、守らなければならない人達が多すぎる調査兵にとって、その行動は無駄どころか大間違いなのだ。
今もまだ、眼下にはなまえの脚をなんとか引っ張ろうとしている巨人がいるし、その周りにはおこぼれにあずかろうとしている巨人が何体もいる。
精神的にもツライこんな状況で、さらにはそんなに不安定な体勢をいつまでも続けられるわけじゃない。
実際、ジャンは眉を顰めてかなりキツそうな表情をしているし、さっきからなまえを握る腕が少しずつ滑っている。
「なまえを掴む手を放せ。」
ジャンがなまえに抱く想いに気付いたのは、いつだったのかはもう覚えていない。
けれど、彼女のことをどれほど大切に想っているのかは、無駄に挑んでくるあの決闘で痛いほどに思い知った。
そんなジャンになまえを殺せと言っているのだ。
とても残酷な指示だということは、リヴァイが一番分かっている。
きっとジャンには、リヴァイが悪魔に見えているのだろう。
「絶対…!放しません…!!」
切れ長の目が、リヴァイをキッと睨みつける。
そこからは、強い意志と覚悟を感じた。
「ジャン、お前まで死ぬつもりか。」
「死んでも放すなって、アンタが…っ、言ったんだろ…!」
「状況が変わった。なまえはもう諦める。
俺とお前で、助けを待つ。」
リヴァイを睨みつけるジャンの目は、ほんの一瞬だって揺れることはなかった。
状況把握に長けている彼のことだ。
このままなまえを守り続けることは、自分達に不利になるどころか全滅も免れないと理解しているはずだ。
「ジャンさん!絶対になまえさんを放さないで!!
絶対に助けてよ!!」
頭上からまた甲高い声が響いた。
さっき、ダメだと叫んだのと同じ声だ。
一瞬、誰のものか分からなかったのは、その声の持ち主とセリフの内容が合致しなかったからだ。
「絶対に、絶対に!!放したらダメですからね!!」
頭上で喚く声が続く。
やっぱり、叫んでいるのはフレイヤだ。
彼女がなまえを突き落としたのだと思ったが、違ったのだろうか———。
「放す、かよ…っ。」
ジャンにそのつもりがあったのかは分からない。
けれど、ジャンは苦し気にしながらも答えた。
「ライナー・ブラウンー----!!ベルトルト・フーーーバーーー!!
アンタ達が助けに来なさいよ!!逃げんじゃないわよ!!」
頭上から、またフレイヤが喚く声が響く。
巨人の群れに囲まれていた鎧の巨人がどうなったのか、確認する余裕はリヴァイにもジャンにもない。
けれど、彼女のセリフから察するに、巨人の群れから抜け出して逃走出来るようになったのだろう。
きっともう、彼らは戻っては来ない。
なまえの悲願だった鎧の巨人と超大型巨人を捕らえることは出来なかった。
そしてまもなく、調査兵団は、なまえ・みょうじというとても貴重な兵士も失うことになる———。
それとは正反対に、なまえの身体は巨人に引っ張られて落ちていく。そして、気味の悪い笑顔で待ち構えている巨人の口の中で絶命する———そのはずだった。
なまえは、まだ生きている。
ジャンが、落ちていくなまえの腕を掴んだからだ。
片手でリヴァイの腕を掴んでなんとか落下から免れながら、もう片方の手で意識のないなまえの身体を支えている。
あの一瞬で、ジャンはよくやった。
本当は褒めてやりたい。何度も感謝を伝えたい。
でも、守らなければならない人達が多すぎる調査兵にとって、その行動は無駄どころか大間違いなのだ。
今もまだ、眼下にはなまえの脚をなんとか引っ張ろうとしている巨人がいるし、その周りにはおこぼれにあずかろうとしている巨人が何体もいる。
精神的にもツライこんな状況で、さらにはそんなに不安定な体勢をいつまでも続けられるわけじゃない。
実際、ジャンは眉を顰めてかなりキツそうな表情をしているし、さっきからなまえを握る腕が少しずつ滑っている。
「なまえを掴む手を放せ。」
ジャンがなまえに抱く想いに気付いたのは、いつだったのかはもう覚えていない。
けれど、彼女のことをどれほど大切に想っているのかは、無駄に挑んでくるあの決闘で痛いほどに思い知った。
そんなジャンになまえを殺せと言っているのだ。
とても残酷な指示だということは、リヴァイが一番分かっている。
きっとジャンには、リヴァイが悪魔に見えているのだろう。
「絶対…!放しません…!!」
切れ長の目が、リヴァイをキッと睨みつける。
そこからは、強い意志と覚悟を感じた。
「ジャン、お前まで死ぬつもりか。」
「死んでも放すなって、アンタが…っ、言ったんだろ…!」
「状況が変わった。なまえはもう諦める。
俺とお前で、助けを待つ。」
リヴァイを睨みつけるジャンの目は、ほんの一瞬だって揺れることはなかった。
状況把握に長けている彼のことだ。
このままなまえを守り続けることは、自分達に不利になるどころか全滅も免れないと理解しているはずだ。
「ジャンさん!絶対になまえさんを放さないで!!
絶対に助けてよ!!」
頭上からまた甲高い声が響いた。
さっき、ダメだと叫んだのと同じ声だ。
一瞬、誰のものか分からなかったのは、その声の持ち主とセリフの内容が合致しなかったからだ。
「絶対に、絶対に!!放したらダメですからね!!」
頭上で喚く声が続く。
やっぱり、叫んでいるのはフレイヤだ。
彼女がなまえを突き落としたのだと思ったが、違ったのだろうか———。
「放す、かよ…っ。」
ジャンにそのつもりがあったのかは分からない。
けれど、ジャンは苦し気にしながらも答えた。
「ライナー・ブラウンー----!!ベルトルト・フーーーバーーー!!
アンタ達が助けに来なさいよ!!逃げんじゃないわよ!!」
頭上から、またフレイヤが喚く声が響く。
巨人の群れに囲まれていた鎧の巨人がどうなったのか、確認する余裕はリヴァイにもジャンにもない。
けれど、彼女のセリフから察するに、巨人の群れから抜け出して逃走出来るようになったのだろう。
きっともう、彼らは戻っては来ない。
なまえの悲願だった鎧の巨人と超大型巨人を捕らえることは出来なかった。
そしてまもなく、調査兵団は、なまえ・みょうじというとても貴重な兵士も失うことになる———。