◇第百三十五話◇呆気なく想像を超えていく地獄の中で君は
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さすが精鋭兵と言うべきだろう。
あれだけの巨人の大群に襲われながらも、全員が生きて壁上へと帰って来ていた。
けれど、信頼していた仲間との寝ずの戦闘は、彼らを身体の奥底から疲弊させた。
数名の負傷で済んだのは、運が良かったのだ。
壁上では、なまえに任命された護衛部隊の調査兵達が、精鋭兵の傷の手当にあたっている。
けれど、調査兵団随一の実力者であるリヴァイが右足首の骨を折ってしまったのは痛かった。
「ありがとうございました。」
なまえが、リヴァイの右足首を添え木で固定しながら包帯を巻く。
彼女がどうしても捕えたかった鎧の巨人は、壁の向こうだ。
精鋭兵達と命懸けで連れて来た巨人の大群が鎧の巨人の行く手を阻んで足止めはしてくれているが、あの地獄へ飛び込める精鋭兵はもういない。
それこそが、人類最強の兵士であるリヴァイの最後の役目だったからだ。
もちろん、リヴァイひとりに任せるつもりは誰にもない。
巨人の大群に足止めを喰らい体力を削られた鎧の巨人を、リヴァイとなまえ、ミケやナナバとゲルガーといった精鋭兵達が捕獲、もしくは討伐するまでが作戦だったのだ。
けれど、一番の戦力であるリヴァイが離脱を余儀なくされてしまった今、なまえ達だけで壁の外へ飛び込むのは危険だとエルヴィンが判断した。
なまえが長年温めて来た作戦は、失敗に終わったというわけだ。
「———悪かった。」
「謝らないでください。リヴァイ兵長のおかげで、コニーが無事だったんです。
よかったです。」
なまえが微笑む。
嘘偽りのない、とても柔らかい笑みだ。
彼女は本気で、コニーが無事であることを嬉しいと思っているのだろう。
その結果、鎧の巨人の逃亡を許したとしても、仲間の無事を心から喜べている。
リヴァイはこんなにも、悔しいのに————。
「…兵長。すみません…。俺のせいで…。」
護衛部隊による診察が終わったのか、コニーがやってきた。
大きな瞳に涙を浮かべて唇を噛み頭を下げる彼に、傷ひとつない。
巨人の大群に襲われる鎧の巨人に必死にしがみついていたところを、人類最強の兵士が命懸けで助けてくれたからだ。
「分かってんなら、もう二度と指示を無視するんじゃねぇ。」
「…はい…。」
「お前は、調査兵団の精鋭兵だ。俺達の仲間だろう。」
「…っ。」
「仲間の命を危険にさらすような真似は、二度とするんじゃねぇ。」
「…!はい…っ!!」
コニーが大声で返事をした。
その途端に、ついに大きな瞳から涙が零れ落ちた。
そんな彼のそばに、いつの間にかヒストリアとユミルが寄り添っていた。
あれだけの巨人の大群に襲われながらも、全員が生きて壁上へと帰って来ていた。
けれど、信頼していた仲間との寝ずの戦闘は、彼らを身体の奥底から疲弊させた。
数名の負傷で済んだのは、運が良かったのだ。
壁上では、なまえに任命された護衛部隊の調査兵達が、精鋭兵の傷の手当にあたっている。
けれど、調査兵団随一の実力者であるリヴァイが右足首の骨を折ってしまったのは痛かった。
「ありがとうございました。」
なまえが、リヴァイの右足首を添え木で固定しながら包帯を巻く。
彼女がどうしても捕えたかった鎧の巨人は、壁の向こうだ。
精鋭兵達と命懸けで連れて来た巨人の大群が鎧の巨人の行く手を阻んで足止めはしてくれているが、あの地獄へ飛び込める精鋭兵はもういない。
それこそが、人類最強の兵士であるリヴァイの最後の役目だったからだ。
もちろん、リヴァイひとりに任せるつもりは誰にもない。
巨人の大群に足止めを喰らい体力を削られた鎧の巨人を、リヴァイとなまえ、ミケやナナバとゲルガーといった精鋭兵達が捕獲、もしくは討伐するまでが作戦だったのだ。
けれど、一番の戦力であるリヴァイが離脱を余儀なくされてしまった今、なまえ達だけで壁の外へ飛び込むのは危険だとエルヴィンが判断した。
なまえが長年温めて来た作戦は、失敗に終わったというわけだ。
「———悪かった。」
「謝らないでください。リヴァイ兵長のおかげで、コニーが無事だったんです。
よかったです。」
なまえが微笑む。
嘘偽りのない、とても柔らかい笑みだ。
彼女は本気で、コニーが無事であることを嬉しいと思っているのだろう。
その結果、鎧の巨人の逃亡を許したとしても、仲間の無事を心から喜べている。
リヴァイはこんなにも、悔しいのに————。
「…兵長。すみません…。俺のせいで…。」
護衛部隊による診察が終わったのか、コニーがやってきた。
大きな瞳に涙を浮かべて唇を噛み頭を下げる彼に、傷ひとつない。
巨人の大群に襲われる鎧の巨人に必死にしがみついていたところを、人類最強の兵士が命懸けで助けてくれたからだ。
「分かってんなら、もう二度と指示を無視するんじゃねぇ。」
「…はい…。」
「お前は、調査兵団の精鋭兵だ。俺達の仲間だろう。」
「…っ。」
「仲間の命を危険にさらすような真似は、二度とするんじゃねぇ。」
「…!はい…っ!!」
コニーが大声で返事をした。
その途端に、ついに大きな瞳から涙が零れ落ちた。
そんな彼のそばに、いつの間にかヒストリアとユミルが寄り添っていた。