◇第百七話◇君のいない空っぽの世界で
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ソファに座ってぼんやりとしていると、ノックもなく扉が開いた。
まるで、自分の部屋のように入って来たのは、フレイヤだった。
フレイヤは、目が合うとニコリと微笑んだけれど、ジャンは、濃いメイクと着飾った私服に、嫌な予感を覚える。
「ジャンさん、デートに行きますよ!」
あぁ、やっぱり———。
思った通りのセリフが出てきて、さっきまでとは別の理由で、ジャンの心は重たくなる。
フレイヤの相手をしているくらいなら、部屋で傷心に浸っていた方がマシだとさえ思ってしまう。
「悪いけど、仕事がまだ残ってて———。」
「そういえば、ここに来る前になまえさんに会ったんですよ~。」
フレイヤが、他人の話を聞かないで、自分の話ばかりをするのは、いつものことだ。
でも、今回は、彼女から出て来たなまえの名前に、心臓が止まるかと思った。
だって、フレイヤは、人類最強の兵士と眠り姫の婚約が発表された日から、一度もなまえの名前を出していなかったのだ。
気を遣うということがフレイヤに出来るかどうかはあやしいところだが、そのおかげで、助かっていた部分も確かにあった。
それが突然、いきなり、とても自然な流れでなまえのことを話し出すから驚いてしまう。
「リヴァイ兵長と書庫デートしてましたよ~。」
書庫デートと聞いて、一緒に本屋で本を選んでいたときのことを思い出す。
今は、リヴァイがなまえの隣にいて、あらすじを読みながら意見交換をしているのだろうか。
そんなことを考えてしまって、ジャンは、締め付けられた胸をシャツの上から鷲掴みにする。
「本を選んだらお庭で日向ぼっこしながら、のんびり読書するらしいですよ。
リヴァイ兵長となまえさんらしいデートですよねぇ。この前も、木陰でお昼寝してたし。
すっごくお似合いですよね。本当に夢の世界から飛び出て来たみたいで———。」
「デート。」
ジャンは、まだまだ話し続けそうだったフレイヤの言葉を、乱暴に遮った。
期待した顔をするフレイヤを見なくたって、彼女の術中にハマったことは理解している。
昔から、頭の回転が速いおかげで、狡賢いところのあるフレイヤは、どこか自分に似ている気がしていた。
今のだって、なまえに対してしたことが何度でもある。
だから、フレイヤが仕掛けてくる小賢しい考えなんて、嫌という程にすぐに見抜いてしまうのだ。
ひとつ、息を吐いてから、ジャンは立ち上がった。
「デートに行くんだろ。」
ジャンがそう言えば、フレイヤの表情が一気に明るくなる。
「はい!」
嬉しそうに返事をしたフレイヤは、飛び跳ねるようにしてジャンの腕に自分の腕を絡めた。
まるで、自分の部屋のように入って来たのは、フレイヤだった。
フレイヤは、目が合うとニコリと微笑んだけれど、ジャンは、濃いメイクと着飾った私服に、嫌な予感を覚える。
「ジャンさん、デートに行きますよ!」
あぁ、やっぱり———。
思った通りのセリフが出てきて、さっきまでとは別の理由で、ジャンの心は重たくなる。
フレイヤの相手をしているくらいなら、部屋で傷心に浸っていた方がマシだとさえ思ってしまう。
「悪いけど、仕事がまだ残ってて———。」
「そういえば、ここに来る前になまえさんに会ったんですよ~。」
フレイヤが、他人の話を聞かないで、自分の話ばかりをするのは、いつものことだ。
でも、今回は、彼女から出て来たなまえの名前に、心臓が止まるかと思った。
だって、フレイヤは、人類最強の兵士と眠り姫の婚約が発表された日から、一度もなまえの名前を出していなかったのだ。
気を遣うということがフレイヤに出来るかどうかはあやしいところだが、そのおかげで、助かっていた部分も確かにあった。
それが突然、いきなり、とても自然な流れでなまえのことを話し出すから驚いてしまう。
「リヴァイ兵長と書庫デートしてましたよ~。」
書庫デートと聞いて、一緒に本屋で本を選んでいたときのことを思い出す。
今は、リヴァイがなまえの隣にいて、あらすじを読みながら意見交換をしているのだろうか。
そんなことを考えてしまって、ジャンは、締め付けられた胸をシャツの上から鷲掴みにする。
「本を選んだらお庭で日向ぼっこしながら、のんびり読書するらしいですよ。
リヴァイ兵長となまえさんらしいデートですよねぇ。この前も、木陰でお昼寝してたし。
すっごくお似合いですよね。本当に夢の世界から飛び出て来たみたいで———。」
「デート。」
ジャンは、まだまだ話し続けそうだったフレイヤの言葉を、乱暴に遮った。
期待した顔をするフレイヤを見なくたって、彼女の術中にハマったことは理解している。
昔から、頭の回転が速いおかげで、狡賢いところのあるフレイヤは、どこか自分に似ている気がしていた。
今のだって、なまえに対してしたことが何度でもある。
だから、フレイヤが仕掛けてくる小賢しい考えなんて、嫌という程にすぐに見抜いてしまうのだ。
ひとつ、息を吐いてから、ジャンは立ち上がった。
「デートに行くんだろ。」
ジャンがそう言えば、フレイヤの表情が一気に明るくなる。
「はい!」
嬉しそうに返事をしたフレイヤは、飛び跳ねるようにしてジャンの腕に自分の腕を絡めた。