◆サイト再開記念特別編◆離れていても君はこの掌の上で踊ってる
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温かくて、優しくて、心地良い。
まるで、母親に守られているような心穏やかな気持ちで、眠っていた気がする。
少しずつ、意識がはっきりしていく中で、懐かしい匂いに包まれていることに気が付いた。
瞼を開けなくても、お気に入りの柔らかいベッドの感触も、力強くて愛おしい腕の感触は分かる。
「起きました?」
背中に手をまわしてギュッと抱き着くと、少し上の方から聞こえてくるジャンの声。
久しぶりに聞いたせいで、少しだけ、ドキドキする。
「まだ、夢の中にいるよ。」
「起きてるじゃないですか。」
ククッと喉を鳴らして、ジャンが笑う。
懐かしいやり取りが、純粋にただただ嬉しい。
「ねぇ、早く帰ってきたでしょ?」
顔を上げて、ジャンを見れば、彼は少しだけ目を見開いた後に、小さく微笑んだ。
「そうっすね。」
「じゃあ、仕事を貯めこんでないよね?
壁外調査まで毎日徹夜しても終わらないくらいの書類量になる前に
帰ってこれたよね?」
「大丈夫っすよ。仕事なら毎日、その日のうちに終わらせてるんで。」
「え!?」
驚き過ぎて、大きな声が出てしまった。
だって、ジャンが——。
「だって、ジャンが、兵舎をまとめるのが大変過ぎて
事務仕事が終わらないから、幹部組が帰ってくるのが遅くなれば
遅くなるほど、補佐に任せた溜まった書類仕事に襲われることになるって
怖いことを言うから、必死に頑張ったのに・・・!」
「嘘ですよ、それ。」
身体を起こして必死に訴えた私に、ジャンが平然と答えた。
(う・・・そ・・・?)
絶句、だ。
目も口も、開いたまま呆然となる。
すると、ジャンがゆっくりと身体を起こした。彼の向こうにある窓には、真っ赤な夕日がある。
そうか。もう夕方らしい。
それもこれも、ここ数日、仕事や調査、ストヘス区に集まったお偉いさん達を説得するための資料集めや会合への参加で、まともに眠っていなかったからだ。
それもこれもジャンが、早く幹部組が帰らないと兵舎が大変なことになって、壁外調査までは書類仕事漬けになると私を脅したからなのに———。
「だって、それくらい言わねぇと、なまえさん、やる気ださねぇでしょ。」
ジャンが飄々と答える。
確かに、確かにそうなのだけれど、そんなことでわざわざ上司に送る手紙に嘘を書いて、私の睡眠を奪うなんて———。
そんなの許せるわけがな————。
「早く会いたかったから。」
ジャンが、私を抱きしめた。
私を安心させる力強い腕と、大きな胸板、心地の良い心臓の音が、私を包み込む。
「もう限界だったんですよ。
————すげぇ、寂しかった。」
ジャンの低くて、少し生意気な声が、甘えるように言って、私の耳を熱くさせる。
あぁ、もう本当に———。
「ズルい・・・。」
ジャンの胸板に顔を隠すように俯いて、声を絞り出す。
でも、彼のシャツの胸元をキュッと握りしめる私の手は、私の声よりも素直に、気持ちを伝えていたと思う。
「それは、なまえさんも寂しかったってことですか。」
クスクスと笑うジャンは、私の手が漏らしてしまった声の方を聞いたらしい。
だから、顔を上げて、私はジャンに言うのだ。
素直で、本音で、嘘のない気持ちを———。
「優秀な補佐官が常にそばにいないと、私はダメなの。」
真っすぐにジャンを見て、正直に伝えれば、「自信満々に宣言することじゃねぇ。」と意地悪く突っ込まれてしまう。
あぁ、このやり取りが、私はずっと前から好きだ。
まるで、母親に守られているような心穏やかな気持ちで、眠っていた気がする。
少しずつ、意識がはっきりしていく中で、懐かしい匂いに包まれていることに気が付いた。
瞼を開けなくても、お気に入りの柔らかいベッドの感触も、力強くて愛おしい腕の感触は分かる。
「起きました?」
背中に手をまわしてギュッと抱き着くと、少し上の方から聞こえてくるジャンの声。
久しぶりに聞いたせいで、少しだけ、ドキドキする。
「まだ、夢の中にいるよ。」
「起きてるじゃないですか。」
ククッと喉を鳴らして、ジャンが笑う。
懐かしいやり取りが、純粋にただただ嬉しい。
「ねぇ、早く帰ってきたでしょ?」
顔を上げて、ジャンを見れば、彼は少しだけ目を見開いた後に、小さく微笑んだ。
「そうっすね。」
「じゃあ、仕事を貯めこんでないよね?
壁外調査まで毎日徹夜しても終わらないくらいの書類量になる前に
帰ってこれたよね?」
「大丈夫っすよ。仕事なら毎日、その日のうちに終わらせてるんで。」
「え!?」
驚き過ぎて、大きな声が出てしまった。
だって、ジャンが——。
「だって、ジャンが、兵舎をまとめるのが大変過ぎて
事務仕事が終わらないから、幹部組が帰ってくるのが遅くなれば
遅くなるほど、補佐に任せた溜まった書類仕事に襲われることになるって
怖いことを言うから、必死に頑張ったのに・・・!」
「嘘ですよ、それ。」
身体を起こして必死に訴えた私に、ジャンが平然と答えた。
(う・・・そ・・・?)
絶句、だ。
目も口も、開いたまま呆然となる。
すると、ジャンがゆっくりと身体を起こした。彼の向こうにある窓には、真っ赤な夕日がある。
そうか。もう夕方らしい。
それもこれも、ここ数日、仕事や調査、ストヘス区に集まったお偉いさん達を説得するための資料集めや会合への参加で、まともに眠っていなかったからだ。
それもこれもジャンが、早く幹部組が帰らないと兵舎が大変なことになって、壁外調査までは書類仕事漬けになると私を脅したからなのに———。
「だって、それくらい言わねぇと、なまえさん、やる気ださねぇでしょ。」
ジャンが飄々と答える。
確かに、確かにそうなのだけれど、そんなことでわざわざ上司に送る手紙に嘘を書いて、私の睡眠を奪うなんて———。
そんなの許せるわけがな————。
「早く会いたかったから。」
ジャンが、私を抱きしめた。
私を安心させる力強い腕と、大きな胸板、心地の良い心臓の音が、私を包み込む。
「もう限界だったんですよ。
————すげぇ、寂しかった。」
ジャンの低くて、少し生意気な声が、甘えるように言って、私の耳を熱くさせる。
あぁ、もう本当に———。
「ズルい・・・。」
ジャンの胸板に顔を隠すように俯いて、声を絞り出す。
でも、彼のシャツの胸元をキュッと握りしめる私の手は、私の声よりも素直に、気持ちを伝えていたと思う。
「それは、なまえさんも寂しかったってことですか。」
クスクスと笑うジャンは、私の手が漏らしてしまった声の方を聞いたらしい。
だから、顔を上げて、私はジャンに言うのだ。
素直で、本音で、嘘のない気持ちを———。
「優秀な補佐官が常にそばにいないと、私はダメなの。」
真っすぐにジャンを見て、正直に伝えれば、「自信満々に宣言することじゃねぇ。」と意地悪く突っ込まれてしまう。
あぁ、このやり取りが、私はずっと前から好きだ。