◇第六十六話◇涌いてしまったのは独占欲
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「————ということで、うすーく削げばいいんじゃない?」
研究所の広場、被験体である2体の巨人が見える位置にデスクと椅子を置いて、なまえは、ハンジ班の精鋭兵達と一緒に実験本番の相談をしていた。
被験体を殺さずにうなじを削いで欲しいと、ハンジから無理難題を押しつけられたらしい。
うなじを削げば巨人を殺せる————それは、訓練兵団に入団して一番最初に教官に教えられることだ。
その前提をすべて覆す条件を出されたなまえと精鋭兵達は、空が赤くなっても、意見がまとまらない。
本番までに答えを見つけられるとも思えないまま、本番当日は見ているだけでいいとハンジに言われてしまったジャンは、なまえの隣で頬杖をついて、つまらなそうに話し合いを聞き流していた。
「いや、だがな、なまえ。
薄くと言っても限度があるだろう?どこまで削げばいいか、エレンで実験でもするつもりか。」
「なまえさん、だ。ライナー。上官だってこと忘れんな。」
「あぁ、すまん。つい。」
ジャンの指摘に、ライナーはすぐに謝った。
彼が、なまえのことを呼び捨てにしたのは、これが初めてではない。
むしろ、出逢った頃から、彼はなまえのことを呼び捨てにしていたように思う。
でも流石に、副兵士長という役職までついている彼女に馴れ馴れしくするのは、褒められたものではない。
それになぜか今日は、ライナーがなまえを呼び捨てにしているのが、無性に気になったのだ。
「でもそれいいね。エレンに実験に付き合ってもらおうよ。」
「おいおい、なまえ、何言ってんだ。
俺は、それはありえねぇって意味で言ったんだぞ。」
「だから、なまえさん、だ。ライナー。」
「あぁ、すまん。」
すぐに謝ったライナーだったが、注意したそばからまた呼び捨てになっていたことに、ジャンはため息を吐いた。
「どうしてありえないの、ライナー?」
「よく考えてみろ、なまえ。」
「なまえさん。」
「あー、よく考えてみてくれ、なまえさん。
間違って、エレンまで削いじまったらどうすんだ。」
「敬語も忘れてる。」
「あぁ、すまん。」
「エレンまで削いだらどうなるの?」
「死ぬと思う。」
「やっと喋ったね、ベルトルト。」
「とにかく、分かっただろ。エレンで実験も出来ないし、
薄く削ぐなんて意味のないことをしても、無駄に被験体を殺すだけだ。」
「なら、ライナーはどうしたらいいと思うの?」
なまえは考えることを放棄したらしく、ノートにペンで落書きを始めた。
むしろ、ここまでよく考えた方だ。
いつもならとっくに寝ている。
「最初から言ってる。そんな実験は意味がない。
人間が巨人になるなんて、ありえない。」
「じゃあ、エレンは何?」
「それは俺が考えることじゃない。団長やハンジさん達の仕事だ。
なまえは本当に人間が巨人になれると——。」
「なまえさん。」
「・・・・ジャン。お前、さっきからうるさい。」
ライナーが、面倒くさそうにジャンに言った。
だが、うるさいと言われる筋合いはない。
間違った指摘をしているつもりなんて、ないのだから。
研究所の広場、被験体である2体の巨人が見える位置にデスクと椅子を置いて、なまえは、ハンジ班の精鋭兵達と一緒に実験本番の相談をしていた。
被験体を殺さずにうなじを削いで欲しいと、ハンジから無理難題を押しつけられたらしい。
うなじを削げば巨人を殺せる————それは、訓練兵団に入団して一番最初に教官に教えられることだ。
その前提をすべて覆す条件を出されたなまえと精鋭兵達は、空が赤くなっても、意見がまとまらない。
本番までに答えを見つけられるとも思えないまま、本番当日は見ているだけでいいとハンジに言われてしまったジャンは、なまえの隣で頬杖をついて、つまらなそうに話し合いを聞き流していた。
「いや、だがな、なまえ。
薄くと言っても限度があるだろう?どこまで削げばいいか、エレンで実験でもするつもりか。」
「なまえさん、だ。ライナー。上官だってこと忘れんな。」
「あぁ、すまん。つい。」
ジャンの指摘に、ライナーはすぐに謝った。
彼が、なまえのことを呼び捨てにしたのは、これが初めてではない。
むしろ、出逢った頃から、彼はなまえのことを呼び捨てにしていたように思う。
でも流石に、副兵士長という役職までついている彼女に馴れ馴れしくするのは、褒められたものではない。
それになぜか今日は、ライナーがなまえを呼び捨てにしているのが、無性に気になったのだ。
「でもそれいいね。エレンに実験に付き合ってもらおうよ。」
「おいおい、なまえ、何言ってんだ。
俺は、それはありえねぇって意味で言ったんだぞ。」
「だから、なまえさん、だ。ライナー。」
「あぁ、すまん。」
すぐに謝ったライナーだったが、注意したそばからまた呼び捨てになっていたことに、ジャンはため息を吐いた。
「どうしてありえないの、ライナー?」
「よく考えてみろ、なまえ。」
「なまえさん。」
「あー、よく考えてみてくれ、なまえさん。
間違って、エレンまで削いじまったらどうすんだ。」
「敬語も忘れてる。」
「あぁ、すまん。」
「エレンまで削いだらどうなるの?」
「死ぬと思う。」
「やっと喋ったね、ベルトルト。」
「とにかく、分かっただろ。エレンで実験も出来ないし、
薄く削ぐなんて意味のないことをしても、無駄に被験体を殺すだけだ。」
「なら、ライナーはどうしたらいいと思うの?」
なまえは考えることを放棄したらしく、ノートにペンで落書きを始めた。
むしろ、ここまでよく考えた方だ。
いつもならとっくに寝ている。
「最初から言ってる。そんな実験は意味がない。
人間が巨人になるなんて、ありえない。」
「じゃあ、エレンは何?」
「それは俺が考えることじゃない。団長やハンジさん達の仕事だ。
なまえは本当に人間が巨人になれると——。」
「なまえさん。」
「・・・・ジャン。お前、さっきからうるさい。」
ライナーが、面倒くさそうにジャンに言った。
だが、うるさいと言われる筋合いはない。
間違った指摘をしているつもりなんて、ないのだから。