◇第五十九話◇寂しがりな君が安心して眠れるように
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翌日の朝、ジャンとなまえは、調査兵団の兵舎の門の外にいた。
迎えの馬車に乗って帰っていく彼女の両親を見送るためだ。
なんだかんだ言いつつも、普段、調査兵として命を賭けて生きている彼女にとって、そばに両親がいる時間は久しぶりの平穏で、心を休ませることが出来たのだろう。
小さくなっていく馬車の背中に手を振るなまえは、少し寂しそうだった。
そして、その分かりやすい姿は、こんなに考えてることがすべて顔に出る人間はなかなかいないと、ジャンに今日も思わせる。
だから、昨日の夜から、なまえの母親に言われた言葉の意味をずっと考えているのだけれど、全く分からないのだ。
「なまえさんって、俺に隠し事してます?」
馬車が角を曲がり見えなくなったタイミングで、ジャンはなまえに訊ねた。
「え!?」
なまえが、驚いた顔をしてジャンを見上げる。
サーッと血の気が引いたようなその顔は、隠し事をしていると饒舌に語っていた。
ショックだった。
本当の恋人なわけではないけれど、2年間ほとんどの時間を一緒に過ごして、彼女のことをサポートし続けて来た。
彼女も自分に頼ってくれていたし、他の誰よりも心を許してもらっていると、自惚れに近い自信もあったのだ。
(あぁ、そっか…。やっぱ、俺に言ってねぇことが——。)
ジャンの心の声を遮って、なまえが思いっきり顔を左右に振って叫ぶように暴露する。
「買ってない!!その時の為にエッチな下着買って
チェストに隠したりしてないから!!
アレはそういうんじゃないから!!」
なまえが顔を真っ赤にして叫んだ。
馬鹿な彼女が、爽やかな早朝に兵舎の門で暴露してくれたのは、想像もしていなかった秘密だった。
「へぇ。」
ジャンが、意地悪く口の端を上げる。
それを見て、なまえはやっと、自分の失態に気づいたらしい。
ハッとした顔をして、両手で口を押さえる。
だが、もう言ってしまったものは口の中に戻せないし、ジャンは聞いてしまった。
「じゃあ、今夜、そのエッチな下着を見せてもらおうかな。」
「やだ!!やだよ!!」
「なんで、俺の為なんでしょ。」
「忘れてよ!!」
「嫌ですよ。絶対に忘れません。」
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁああああッ!!」
顔を真っ赤にして悲鳴を上げて逃げていくなまえを、ジャンが笑いながら追いかける。
朝からイチャついている兵団公認のカップルに、早起きをして任務を始めていた調査兵達は、苦笑しながら賑やかな朝の始まりを喜んだ。
その日は本当に、とても良い朝だった。
まるで、ハッピーエンドの恋物語の最初の1ページを開いた時のように、幸せな未来への希望に満ち溢れていたのだ。
迎えの馬車に乗って帰っていく彼女の両親を見送るためだ。
なんだかんだ言いつつも、普段、調査兵として命を賭けて生きている彼女にとって、そばに両親がいる時間は久しぶりの平穏で、心を休ませることが出来たのだろう。
小さくなっていく馬車の背中に手を振るなまえは、少し寂しそうだった。
そして、その分かりやすい姿は、こんなに考えてることがすべて顔に出る人間はなかなかいないと、ジャンに今日も思わせる。
だから、昨日の夜から、なまえの母親に言われた言葉の意味をずっと考えているのだけれど、全く分からないのだ。
「なまえさんって、俺に隠し事してます?」
馬車が角を曲がり見えなくなったタイミングで、ジャンはなまえに訊ねた。
「え!?」
なまえが、驚いた顔をしてジャンを見上げる。
サーッと血の気が引いたようなその顔は、隠し事をしていると饒舌に語っていた。
ショックだった。
本当の恋人なわけではないけれど、2年間ほとんどの時間を一緒に過ごして、彼女のことをサポートし続けて来た。
彼女も自分に頼ってくれていたし、他の誰よりも心を許してもらっていると、自惚れに近い自信もあったのだ。
(あぁ、そっか…。やっぱ、俺に言ってねぇことが——。)
ジャンの心の声を遮って、なまえが思いっきり顔を左右に振って叫ぶように暴露する。
「買ってない!!その時の為にエッチな下着買って
チェストに隠したりしてないから!!
アレはそういうんじゃないから!!」
なまえが顔を真っ赤にして叫んだ。
馬鹿な彼女が、爽やかな早朝に兵舎の門で暴露してくれたのは、想像もしていなかった秘密だった。
「へぇ。」
ジャンが、意地悪く口の端を上げる。
それを見て、なまえはやっと、自分の失態に気づいたらしい。
ハッとした顔をして、両手で口を押さえる。
だが、もう言ってしまったものは口の中に戻せないし、ジャンは聞いてしまった。
「じゃあ、今夜、そのエッチな下着を見せてもらおうかな。」
「やだ!!やだよ!!」
「なんで、俺の為なんでしょ。」
「忘れてよ!!」
「嫌ですよ。絶対に忘れません。」
「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁああああッ!!」
顔を真っ赤にして悲鳴を上げて逃げていくなまえを、ジャンが笑いながら追いかける。
朝からイチャついている兵団公認のカップルに、早起きをして任務を始めていた調査兵達は、苦笑しながら賑やかな朝の始まりを喜んだ。
その日は本当に、とても良い朝だった。
まるで、ハッピーエンドの恋物語の最初の1ページを開いた時のように、幸せな未来への希望に満ち溢れていたのだ。