◇第七十四話◇忙しさの合間に甘ったるく名前を呼んで
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「なまえさん、居眠りしてないで会議に参加してください。」
会議中、耳元から聞こえたジャンの小声が私の眠りを妨げた。
前回までのストヘス区への出張で持ち帰るしかなかった課題のせいで、大量の仕事が幹部組に押し寄せている。
そして、副兵士長という役職を与えられた私も、残念ながら、その〝幹部組〟に数えられてしまう。
(もう嫌だ…!寝る!!)
ジャンの方を向いて訴えたけれど、彼は手に持つ書類を真剣に読んでいるフリ をして、私を無視する。
あぁ、もう———。
本当に嫌だ。
あくびを両手で隠しながら、何やらエルヴィン団長が真面目に話している内容を聞き流す。
どうせ、私が聞いたって、彼の考える作戦は難しすぎてよく理解できないし、壁外調査の時は優秀な補佐官がうまく指揮してくれるから、問題ないのだ。
「——あぁ、もうこんな時間か。
今日はもうここまでにしよう。」
私の優秀な耳は、面倒な話は聞き流すのが得意だけれど、エルヴィン団長が会議を終わらせようとする声だけはしっかり聞き取ることが出来るのだ。
だから、ぼんやりとデスクの木目を眺めていた視線も、思わず上がってしまう。
「なまえさん、あからさまに嬉しそうな顔しないでください。
恥ずかしいです。」
隣から小言も聞こえてきてしまったけれど、気にしない。
だって、私は恥ずかしくないのだからいいじゃないか。
リヴァイ兵長に睨まれて、少し———だいぶ怖いくらいだ。
「今日新たに出た課題については、出来れば早めに答えを出したい。
だが、すぐすぐ明日となってもそれぞれ予定もあるだろう。
明後日、午後のこの時間に集まれるよう調整しておいてくれ。」
「はい、了解です。」
私以外の皆が、エルヴィン団長からの横暴な指示を当然のように受け入れる。
でも、毎日、会議に実験に資料作成に忙しく、なんとかお昼寝の時間をとるのだけで忙しいのに、会議の時間を作ることなんて出来るわけがない。
「明後日の会議までに、各々、解決案を出しておくように。
以上。」
とりあえず、やっと会議が終わったのだと考え方を変えて、喜びながら、会議の資料をデスク下のゴミ箱に捨てようとしていた私は、飛び込んできたエルヴィン団長の声に、耳を疑った。
思わず、手は動きを止め、エルヴィン団長の座っていた方を見る。
でも、彼はもうすでに、忙しそうに資料と睨めっこしている書記官達と一緒に会議室を出ていこうとしていた。
その代わり、私と目が合ったのは、扉のそばに立っていたリヴァイ兵長だ。
「明後日は、今日の居眠り分もしっかり会議に参加するんだよな。」
口調こそはまだ怒ってはいないようだったけれど、リヴァイ兵長の三白眼は『ノーとは言わせない』と私を睨みつけていた。
慌てて、逃げるように隣に座るジャンへ視線を向ける。
「心配しないでください。俺がしっかり見はっておきますから。」
すぐに呆れたように溜息を吐いたジャンが、私の代わりに答えた。
でもそれは、まったく嬉しい回答ではなかった。
会議中、耳元から聞こえたジャンの小声が私の眠りを妨げた。
前回までのストヘス区への出張で持ち帰るしかなかった課題のせいで、大量の仕事が幹部組に押し寄せている。
そして、副兵士長という役職を与えられた私も、残念ながら、その〝幹部組〟に数えられてしまう。
(もう嫌だ…!寝る!!)
ジャンの方を向いて訴えたけれど、彼は手に持つ書類を真剣に読んでいる
あぁ、もう———。
本当に嫌だ。
あくびを両手で隠しながら、何やらエルヴィン団長が真面目に話している内容を聞き流す。
どうせ、私が聞いたって、彼の考える作戦は難しすぎてよく理解できないし、壁外調査の時は優秀な補佐官がうまく指揮してくれるから、問題ないのだ。
「——あぁ、もうこんな時間か。
今日はもうここまでにしよう。」
私の優秀な耳は、面倒な話は聞き流すのが得意だけれど、エルヴィン団長が会議を終わらせようとする声だけはしっかり聞き取ることが出来るのだ。
だから、ぼんやりとデスクの木目を眺めていた視線も、思わず上がってしまう。
「なまえさん、あからさまに嬉しそうな顔しないでください。
恥ずかしいです。」
隣から小言も聞こえてきてしまったけれど、気にしない。
だって、私は恥ずかしくないのだからいいじゃないか。
リヴァイ兵長に睨まれて、少し———だいぶ怖いくらいだ。
「今日新たに出た課題については、出来れば早めに答えを出したい。
だが、すぐすぐ明日となってもそれぞれ予定もあるだろう。
明後日、午後のこの時間に集まれるよう調整しておいてくれ。」
「はい、了解です。」
私以外の皆が、エルヴィン団長からの横暴な指示を当然のように受け入れる。
でも、毎日、会議に実験に資料作成に忙しく、なんとかお昼寝の時間をとるのだけで忙しいのに、会議の時間を作ることなんて出来るわけがない。
「明後日の会議までに、各々、解決案を出しておくように。
以上。」
とりあえず、やっと会議が終わったのだと考え方を変えて、喜びながら、会議の資料をデスク下のゴミ箱に捨てようとしていた私は、飛び込んできたエルヴィン団長の声に、耳を疑った。
思わず、手は動きを止め、エルヴィン団長の座っていた方を見る。
でも、彼はもうすでに、忙しそうに資料と睨めっこしている書記官達と一緒に会議室を出ていこうとしていた。
その代わり、私と目が合ったのは、扉のそばに立っていたリヴァイ兵長だ。
「明後日は、今日の居眠り分もしっかり会議に参加するんだよな。」
口調こそはまだ怒ってはいないようだったけれど、リヴァイ兵長の三白眼は『ノーとは言わせない』と私を睨みつけていた。
慌てて、逃げるように隣に座るジャンへ視線を向ける。
「心配しないでください。俺がしっかり見はっておきますから。」
すぐに呆れたように溜息を吐いたジャンが、私の代わりに答えた。
でもそれは、まったく嬉しい回答ではなかった。