◇第五十六話◇寂しがりの眠り姫が眠る部屋
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれだけゆっくりと走っているように感じていた馬車だったのに、実際には、予定よりもだいぶ早く調査兵団の兵舎に到着した。
調査兵達は、ちょうど就寝する時間頃で、宿舎の廊下を歩いている同僚達も少ない。
たまにすれ違ったとしても、長期出張のジャンとアルミンにねぎらいの言葉をかけた後に「おやすみ。」と自室へと帰っていく。
「早くなまえさんに会いたいんでしょ?
今日は目を瞑るから、廊下を走っちゃえば?」
「…いや。別に。
どうせ、あの人はもう寝てる。」
「リヴァイ兵長の部屋で?」
とぼけたように言うアルミンを、ジャンが見下ろし、ギロリと睨みつける。
そうすれば、アルミンがまた、可笑しそうに笑った。
思えば、ジャンは、この長期出張で、アルミンとの距離が近づいたように感じていた。
訓練兵時代からの付き合いだけれど、よく考えると2人で話す機会はあまりなかった。
仕事でならそれなりにあるかもしれないけれど、私用ではほとんどないのではないだろうか。
ジャンはいつもマルコといたし、そもそも一匹狼なところがある。
そうでなければ、エレンと喧嘩をしていた。
アルミンとの関りなんて、その喧嘩を止めに入られるくらいだった。
それが、今回の出張をきっかけで、お互いのことをよく知ったような気がするのだ。
アルミンも同じように感じているのかもしれない。
だからこそこうやって楽しそうに腹黒いところを披露しては、からかってくるのだろう。
「——じゃあ、僕はエルヴィン団長のところに報告があるから。」
「おう。」
しばらく歩いた後、階段を上りきったところで立ち止まった。
ジャンやアルミンの自室があるのは、精鋭兵フロアのこの階だが、団長や分隊長、兵士長の部屋はこの上の階にある。
ジャンは、階段を上がっていくアルミンの背中を見送った後、出張に持っていた荷物や仕事用のバッグを抱え直すと、宿舎の廊下を全速力で走り出した。
階段の上から精鋭兵フロアの廊下を見下ろすアルミンが、あっという間に小さくなっていく逞しい背中を、面白そうに見送っていた。
調査兵達は、ちょうど就寝する時間頃で、宿舎の廊下を歩いている同僚達も少ない。
たまにすれ違ったとしても、長期出張のジャンとアルミンにねぎらいの言葉をかけた後に「おやすみ。」と自室へと帰っていく。
「早くなまえさんに会いたいんでしょ?
今日は目を瞑るから、廊下を走っちゃえば?」
「…いや。別に。
どうせ、あの人はもう寝てる。」
「リヴァイ兵長の部屋で?」
とぼけたように言うアルミンを、ジャンが見下ろし、ギロリと睨みつける。
そうすれば、アルミンがまた、可笑しそうに笑った。
思えば、ジャンは、この長期出張で、アルミンとの距離が近づいたように感じていた。
訓練兵時代からの付き合いだけれど、よく考えると2人で話す機会はあまりなかった。
仕事でならそれなりにあるかもしれないけれど、私用ではほとんどないのではないだろうか。
ジャンはいつもマルコといたし、そもそも一匹狼なところがある。
そうでなければ、エレンと喧嘩をしていた。
アルミンとの関りなんて、その喧嘩を止めに入られるくらいだった。
それが、今回の出張をきっかけで、お互いのことをよく知ったような気がするのだ。
アルミンも同じように感じているのかもしれない。
だからこそこうやって楽しそうに腹黒いところを披露しては、からかってくるのだろう。
「——じゃあ、僕はエルヴィン団長のところに報告があるから。」
「おう。」
しばらく歩いた後、階段を上りきったところで立ち止まった。
ジャンやアルミンの自室があるのは、精鋭兵フロアのこの階だが、団長や分隊長、兵士長の部屋はこの上の階にある。
ジャンは、階段を上がっていくアルミンの背中を見送った後、出張に持っていた荷物や仕事用のバッグを抱え直すと、宿舎の廊下を全速力で走り出した。
階段の上から精鋭兵フロアの廊下を見下ろすアルミンが、あっという間に小さくなっていく逞しい背中を、面白そうに見送っていた。