◇第五十二話◇恋人達の戯れに踊らされる
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私は、ベッドの上で膝を抱えていた。
当初の目的も忘れて、落ち込んでいる。
ジャンが部屋を出て行ってから、どれくらいの時間が経ったのかも分からない。
いつの間にか、廊下の向こうから聞こえてきていた仲間達の声もしなくなっていた。
みんな、今頃、夢の中にいるのだろうか。
私も早く眠りたい。
楽しい夢を見たい。
でも、楽しい夢なんか、見れそうにない。
現実が楽しくなければ楽しくないほど、悲しければ悲しいほど、私は幸せな夢の世界に逃げ続けた。
そうすることが癖になっていたはずなのに、私は、また膝を抱き寄せて顔を埋めて唇を噛む。
そうしないと、泣いてしまいそうだった。
(ずっと、あんな風に思ってたのかな…。)
冷たく私を見下ろしたジャンから出た言葉が、頭の中で響き続けていた。
それはナイフみたいになって、私の心をえぐる。
子供じゃないのだから、全人類に好きになって貰えるなんて思ってない。
私を嫌いな人だって、苦手だと感じる人だっているだろう。
でも、ジャンから『嫌い』と言われることが、これほどダメージを受けることだなんて、思ってもいなかったのだ。
本当に嫌われていたらどうしよう————。
あれは、喧嘩をしたいと言った私の為にしてくれた演技だと思おうとしている。
でも、もしも、そうじゃなかったら。ずっと、ジャンが心の奥に溜めこんでいた本心だったら————。
そう思うと、不安で眠れない。
でも、確かめるのは、怖い。
だって、ジャンの言葉は身に覚えのあるものばかりだったのだ。
もしも、本当に嫌われていたら、私は————。
(生きてけない…。)
夢の世界がないと生きていけない、ジャンに言った通りだ。
でも、私は、知ってしまった。
私は、ジャンに嫌われたかもしれないと思うだけで、夢の世界へ行けなくなる。
もしも、本当にジャンに嫌われていたのなら、私は永遠に夢の世界へは行けずに、残酷な世界を彷徨う屍になってしまう気がする。
(喧嘩がしたいなんて、言わなきゃよかった。)
後悔が止まらない。
もしも、アレが演技でも、ジャンの本音でも、あんなこと言わなければ、今こんな思いをしなくて済んだのだ。
自分の愚かさにため息も出ない。
恋人同士の喧嘩がどれほど素敵なものなのかは分からない。
どんな風に仲直りをして、どんな風に絆を深めるのかも、分からない。
でも、どちらにしろ、私がしなければならないのは、くだらない喧嘩を吹っかけてしまったことをジャンに謝ることだ———。
私は、覚悟を決めて、立ち上がった。
当初の目的も忘れて、落ち込んでいる。
ジャンが部屋を出て行ってから、どれくらいの時間が経ったのかも分からない。
いつの間にか、廊下の向こうから聞こえてきていた仲間達の声もしなくなっていた。
みんな、今頃、夢の中にいるのだろうか。
私も早く眠りたい。
楽しい夢を見たい。
でも、楽しい夢なんか、見れそうにない。
現実が楽しくなければ楽しくないほど、悲しければ悲しいほど、私は幸せな夢の世界に逃げ続けた。
そうすることが癖になっていたはずなのに、私は、また膝を抱き寄せて顔を埋めて唇を噛む。
そうしないと、泣いてしまいそうだった。
(ずっと、あんな風に思ってたのかな…。)
冷たく私を見下ろしたジャンから出た言葉が、頭の中で響き続けていた。
それはナイフみたいになって、私の心をえぐる。
子供じゃないのだから、全人類に好きになって貰えるなんて思ってない。
私を嫌いな人だって、苦手だと感じる人だっているだろう。
でも、ジャンから『嫌い』と言われることが、これほどダメージを受けることだなんて、思ってもいなかったのだ。
本当に嫌われていたらどうしよう————。
あれは、喧嘩をしたいと言った私の為にしてくれた演技だと思おうとしている。
でも、もしも、そうじゃなかったら。ずっと、ジャンが心の奥に溜めこんでいた本心だったら————。
そう思うと、不安で眠れない。
でも、確かめるのは、怖い。
だって、ジャンの言葉は身に覚えのあるものばかりだったのだ。
もしも、本当に嫌われていたら、私は————。
(生きてけない…。)
夢の世界がないと生きていけない、ジャンに言った通りだ。
でも、私は、知ってしまった。
私は、ジャンに嫌われたかもしれないと思うだけで、夢の世界へ行けなくなる。
もしも、本当にジャンに嫌われていたのなら、私は永遠に夢の世界へは行けずに、残酷な世界を彷徨う屍になってしまう気がする。
(喧嘩がしたいなんて、言わなきゃよかった。)
後悔が止まらない。
もしも、アレが演技でも、ジャンの本音でも、あんなこと言わなければ、今こんな思いをしなくて済んだのだ。
自分の愚かさにため息も出ない。
恋人同士の喧嘩がどれほど素敵なものなのかは分からない。
どんな風に仲直りをして、どんな風に絆を深めるのかも、分からない。
でも、どちらにしろ、私がしなければならないのは、くだらない喧嘩を吹っかけてしまったことをジャンに謝ることだ———。
私は、覚悟を決めて、立ち上がった。