◇第四話◇無邪気な夢が無念に変わる歳月
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苦楽を共にして戦かった大切な仲間を幾度も無残に染めて来た血のような赤い夕陽が、墓地から帰る私の背中をジリジリと照らしていた。
さっきまで想い出話に花を咲かせていた彼が、誕生日に買ってくれたロングスカートが、少しずつ冷たくなった風に攫われて、裾を揺らす。
どうせなら、と思って、着慣れた兵団服を脱ぎ捨て、クローゼットからこのスカートを引っ張り出してきた。
馬子にも衣裳だな、と豪快に笑っていた彼は、さっきもあの時と同じように口を大きく開けて笑ってくれただろうか。
当然のようにそばにいた人が、目の前から消えて見えなくなる。後、何度こんな経験をすれば、人類は広い領地と自由を取り戻すことが出来るのだろう。
あの日から4年が経ったトロスト区の街並みは、巨人襲来からすっかり復興して活気を取り戻していた。
あちこちから、そこで生活する人達の話し声が聞こえてくる。
まるで、悲しみとは程遠い、とても平和な世界にいるようだ。
「~♪~~♪」
ステップを踏みながら、私は自作の鼻歌を口ずさむ。
墓場からの帰りはいつもこうしている。
そうすれば、泣かないでいられると知ったのはいつだっただろう。
もう覚えてはいない。
思い出す気もない。
それにしても、とても愉快なメロディーが生まれた。
帰ったら、ジャンに教えてやろう。
きっと、なぜかあっという間に汚くなってしまった部屋に呆れながら、片付けと掃除をしてくれているはずだ。
そして、帰ってきた私を見つけて、まるで姑のように愚痴愚痴と文句を言うのだろうから、この愉快なメロディーで機嫌を治してやろう。
でも、その前に——。
ズシリと重たくなった心を誤魔化すために、私は鼻歌の音量を上げた。
そして、楽しい妄想を思い浮かべる。
今日の妄想のテーマは、朝から決まっていた。
明日の食事にも困るような貧しい家庭に生まれた少女が、仲間と共に自由を求めて旅を続ける物語だ。
確か、今はちょうど、少女が旅を諦めようとしているところだった。
さぁ、続きはどうしようか。
少女には旅を続けて欲しいから、誰かに引き留めてもらおう。
それは誰にしよう——。
そんなことを考えているうちに、兵舎に着いてしまった。
行かなければならないところがある。
残念だけれど、楽しい妄想は一時中断だ。
さっきまで想い出話に花を咲かせていた彼が、誕生日に買ってくれたロングスカートが、少しずつ冷たくなった風に攫われて、裾を揺らす。
どうせなら、と思って、着慣れた兵団服を脱ぎ捨て、クローゼットからこのスカートを引っ張り出してきた。
馬子にも衣裳だな、と豪快に笑っていた彼は、さっきもあの時と同じように口を大きく開けて笑ってくれただろうか。
当然のようにそばにいた人が、目の前から消えて見えなくなる。後、何度こんな経験をすれば、人類は広い領地と自由を取り戻すことが出来るのだろう。
あの日から4年が経ったトロスト区の街並みは、巨人襲来からすっかり復興して活気を取り戻していた。
あちこちから、そこで生活する人達の話し声が聞こえてくる。
まるで、悲しみとは程遠い、とても平和な世界にいるようだ。
「~♪~~♪」
ステップを踏みながら、私は自作の鼻歌を口ずさむ。
墓場からの帰りはいつもこうしている。
そうすれば、泣かないでいられると知ったのはいつだっただろう。
もう覚えてはいない。
思い出す気もない。
それにしても、とても愉快なメロディーが生まれた。
帰ったら、ジャンに教えてやろう。
きっと、なぜかあっという間に汚くなってしまった部屋に呆れながら、片付けと掃除をしてくれているはずだ。
そして、帰ってきた私を見つけて、まるで姑のように愚痴愚痴と文句を言うのだろうから、この愉快なメロディーで機嫌を治してやろう。
でも、その前に——。
ズシリと重たくなった心を誤魔化すために、私は鼻歌の音量を上げた。
そして、楽しい妄想を思い浮かべる。
今日の妄想のテーマは、朝から決まっていた。
明日の食事にも困るような貧しい家庭に生まれた少女が、仲間と共に自由を求めて旅を続ける物語だ。
確か、今はちょうど、少女が旅を諦めようとしているところだった。
さぁ、続きはどうしようか。
少女には旅を続けて欲しいから、誰かに引き留めてもらおう。
それは誰にしよう——。
そんなことを考えているうちに、兵舎に着いてしまった。
行かなければならないところがある。
残念だけれど、楽しい妄想は一時中断だ。