◇第四十話◇騎士の手に惹かれる噴水の逢瀬
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お城に変身した洋館の中は、夢の世界の舞踏会そのものだった。
美しく着飾った貴婦人と紳士がスローテンポの音楽に合わせて身体を寄せ合って踊り、豪華な料理が並んでいるスペースでは、上品に笑いながら食事を楽しんでいる人達もいる。
ダンスフロアは天井が吹き抜けになっていて、ぐるりと一周している上階の廊下からも覗けるようになっていた。
私達が案内されたのは、上階にある円状の廊下からトロスト区のように突起しているフロアだった。
そこは、夢の世界の舞踏会を特等席で楽しめるVIPルームだった。
下階のダンスフロアを柵越しに眺めながらお喋りが出来るように、大きなソファが弧を描くように置かれていた。
中央のローテーブルには、美味しそうなお茶菓子や豪華な料理、紅茶にお酒まで用意されている。
この突起したVIPルーム以外にも、廊下には一定の距離を置いて部屋が配置されているようだった。
「———それで、王様に許してもらえずに、
お城から追い出されてしまった騎士様が、姫様を攫いに来るんですよねっ。」
「そう!そして、お城から抜け出そうとした姫は、
王様に仕えている執事を振り切って、門の向こうで待っている騎士の胸に飛び込むのっ。」
「そこで初めて、姫様は親に逆らって、
自分の意志で、彼の元へ向かうのですね!」
「あぁ、なんてロマンチックなのかしら…!」
エマ達が染まった頬を両手で包んで、恍惚の表情で語っているのは、私の妄想物語だ。
こんなにも妄想物語で盛り上がってもらったことのない私は、彼女達に挟まれるように座って、騎士と姫の恋の馴れ初めや、まだ語ったことのない彼らの幸せな日々についてを話して聞かせる。
「姫様と騎士様が2人きりになれるのは、真夜中の庭園だけって言うのが
切なくて、とてもロマンチックですよね。」
「そして、そこで、騎士様は言うんですよね。ずっと彼女を密かに想っていたことと、
他の誰かのものになるくらいなら、本当は彼女を攫ってしまいたいことを…!」
「攫わせてくれ…、てセリフがもう!!素敵すぎて!!
私も攫って欲しい!って思っちゃいましたよ!!」
彼女達は、とても楽しんでくれていたけれど、全く興味がないらしい残念なエレン達は、美味しい料理を食べながらお喋りを楽しんでいた。
さっきから姿が見えないオルオとグンタは、お城の中の探検を始めているようだ。
斜め前に座るリヴァイ兵長は、騎士の姿で、ティーカップをじっくりと観察している。
真剣な顔は、まるで怒っているみたいで、凄く不機嫌そうに見えるけれど、たぶん、高価な紅茶の香りや味を楽しんでいるのだと思う。
クスリと笑うと、リヴァイ兵長が私の方を向いた。
何に笑われたのか分かったらしく、片眉を上げて、今度こそ本気で不機嫌そうに顔を顰めた。
「リヴァイ様の為に特別なお紅茶を用意したんですよ。」
私の視線の先に気がついて、エマがリヴァイ兵長に話しかけた。
なかなか美味いとお褒めの言葉を貰って、彼女はとても嬉しそうに頬を緩めた。
エルヴィン団長の命令で仕方なくこの仮装パーティーに参加したリヴァイ兵長だったけれど、彼もそれなりに楽しんでいるようで、なんだか安心する。
(よかった。今夜はすごく楽しい。)
心の中で、自分自身にそう言って、騎士が飲んでいるのと同じ紅茶を飲む。
甘過ぎない優しい味が、ふわりと鼻と喉を通り過ぎていった。
美しく着飾った貴婦人と紳士がスローテンポの音楽に合わせて身体を寄せ合って踊り、豪華な料理が並んでいるスペースでは、上品に笑いながら食事を楽しんでいる人達もいる。
ダンスフロアは天井が吹き抜けになっていて、ぐるりと一周している上階の廊下からも覗けるようになっていた。
私達が案内されたのは、上階にある円状の廊下からトロスト区のように突起しているフロアだった。
そこは、夢の世界の舞踏会を特等席で楽しめるVIPルームだった。
下階のダンスフロアを柵越しに眺めながらお喋りが出来るように、大きなソファが弧を描くように置かれていた。
中央のローテーブルには、美味しそうなお茶菓子や豪華な料理、紅茶にお酒まで用意されている。
この突起したVIPルーム以外にも、廊下には一定の距離を置いて部屋が配置されているようだった。
「———それで、王様に許してもらえずに、
お城から追い出されてしまった騎士様が、姫様を攫いに来るんですよねっ。」
「そう!そして、お城から抜け出そうとした姫は、
王様に仕えている執事を振り切って、門の向こうで待っている騎士の胸に飛び込むのっ。」
「そこで初めて、姫様は親に逆らって、
自分の意志で、彼の元へ向かうのですね!」
「あぁ、なんてロマンチックなのかしら…!」
エマ達が染まった頬を両手で包んで、恍惚の表情で語っているのは、私の妄想物語だ。
こんなにも妄想物語で盛り上がってもらったことのない私は、彼女達に挟まれるように座って、騎士と姫の恋の馴れ初めや、まだ語ったことのない彼らの幸せな日々についてを話して聞かせる。
「姫様と騎士様が2人きりになれるのは、真夜中の庭園だけって言うのが
切なくて、とてもロマンチックですよね。」
「そして、そこで、騎士様は言うんですよね。ずっと彼女を密かに想っていたことと、
他の誰かのものになるくらいなら、本当は彼女を攫ってしまいたいことを…!」
「攫わせてくれ…、てセリフがもう!!素敵すぎて!!
私も攫って欲しい!って思っちゃいましたよ!!」
彼女達は、とても楽しんでくれていたけれど、全く興味がないらしい残念なエレン達は、美味しい料理を食べながらお喋りを楽しんでいた。
さっきから姿が見えないオルオとグンタは、お城の中の探検を始めているようだ。
斜め前に座るリヴァイ兵長は、騎士の姿で、ティーカップをじっくりと観察している。
真剣な顔は、まるで怒っているみたいで、凄く不機嫌そうに見えるけれど、たぶん、高価な紅茶の香りや味を楽しんでいるのだと思う。
クスリと笑うと、リヴァイ兵長が私の方を向いた。
何に笑われたのか分かったらしく、片眉を上げて、今度こそ本気で不機嫌そうに顔を顰めた。
「リヴァイ様の為に特別なお紅茶を用意したんですよ。」
私の視線の先に気がついて、エマがリヴァイ兵長に話しかけた。
なかなか美味いとお褒めの言葉を貰って、彼女はとても嬉しそうに頬を緩めた。
エルヴィン団長の命令で仕方なくこの仮装パーティーに参加したリヴァイ兵長だったけれど、彼もそれなりに楽しんでいるようで、なんだか安心する。
(よかった。今夜はすごく楽しい。)
心の中で、自分自身にそう言って、騎士が飲んでいるのと同じ紅茶を飲む。
甘過ぎない優しい味が、ふわりと鼻と喉を通り過ぎていった。