◇第三十七話◇悪夢に魘される眠り姫は彼を求める
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夜になっても、なまえの様子はあまり変わらなかった。
なんとかスープだけは飲ませることに成功したが、今日、口にしたのは、ホットミルクとスープだけだ。
やっと眠れても長くは続かず、高熱に魘されては、だるい身体をなんとか動かして苦しみから逃げようとするのだ。
その度に、ジャンは、書類仕事を中断して、なまえの汗を氷水で冷やしたタオルで拭ってやっていた。
だが、普段、サボってばかりの上官の世話でなかなか進まずに溜まっていた書類は、いつもとは比べものにならないスピードで片付いていった。
なまえが高熱で魘されていることを良いことだとは思わないジャンだが、チャンスだ、くらいには思っていた。
ペンを持つ手を止めて、ジャンは後ろを向き、ベッドで眠るなまえを確認する。
いつもは蹴っている布団の中でおとなしくしている彼女は、肩で息をしていて、苦しそうに眉を顰めている。
今は、大好きな夢を見る余裕もないのかもしれない。
(仮装パーティーは、お預けだな。)
ジャンは首を竦めると、またデスクに身体を向けて、資料を確認しながらペンを走らせる。
そもそも、こんなに書類が溜まっているのに、仮装パーティーに参加しようとしていたこと自体が問題なのだ。
調査兵団に、金粉をまぶした豪華な招待状が届いたのは、少し前のことだ。
差出人は、いつも資金繰りに苦しい調査兵団に多く出資をしてくれている貴重な貴族のうちの1人だった。
貴族が、調査兵団に出資を行う理由は、大抵が政治がらみだ。
純粋に人類の希望だと考える貴族もいないわけではないが、彼らもそれがすべてなわけではない。
だが、その貴族の場合は、少し変わっていた。
彼の娘が、調査兵団、特に、兵士長と副兵士長の大ファンなのだ。
そして今回、その風変わりな娘が、友人達と計画した仮装パーティーを開催することになり、リヴァイ班となまえ、その補佐官であるジャンにも、是非参加して欲しいということだった。
兵士長と副兵士長に会いたい為だけの仮装パーティーは、トロスト区で行われ、仮装の衣装も、貴族の娘たちが用意してくれる為、当日に着替えて会場に向かえばいいだけだということだった。
もちろん、団長のエルヴィンが、断らせるわけがない。
そして、仕事は大嫌いだが、楽しいことが大好きななまえが、喜ばないわけがない。
だが、その仮装パーティーは明日で、薬も飲みたがらないどころか、食事だってとろうとしないなまえが、明日の朝にに復活しているとは思えない。
可哀想だが、諦めてもらうしかない。
(まぁ、自分のせいですしね。馬鹿って罪なんだな。)
ジャンが、クスッと笑って、いつの間にか止まっていた手を動かそうとした時だった。
扉を叩く音が、静かな部屋に響いた。
なんとかスープだけは飲ませることに成功したが、今日、口にしたのは、ホットミルクとスープだけだ。
やっと眠れても長くは続かず、高熱に魘されては、だるい身体をなんとか動かして苦しみから逃げようとするのだ。
その度に、ジャンは、書類仕事を中断して、なまえの汗を氷水で冷やしたタオルで拭ってやっていた。
だが、普段、サボってばかりの上官の世話でなかなか進まずに溜まっていた書類は、いつもとは比べものにならないスピードで片付いていった。
なまえが高熱で魘されていることを良いことだとは思わないジャンだが、チャンスだ、くらいには思っていた。
ペンを持つ手を止めて、ジャンは後ろを向き、ベッドで眠るなまえを確認する。
いつもは蹴っている布団の中でおとなしくしている彼女は、肩で息をしていて、苦しそうに眉を顰めている。
今は、大好きな夢を見る余裕もないのかもしれない。
(仮装パーティーは、お預けだな。)
ジャンは首を竦めると、またデスクに身体を向けて、資料を確認しながらペンを走らせる。
そもそも、こんなに書類が溜まっているのに、仮装パーティーに参加しようとしていたこと自体が問題なのだ。
調査兵団に、金粉をまぶした豪華な招待状が届いたのは、少し前のことだ。
差出人は、いつも資金繰りに苦しい調査兵団に多く出資をしてくれている貴重な貴族のうちの1人だった。
貴族が、調査兵団に出資を行う理由は、大抵が政治がらみだ。
純粋に人類の希望だと考える貴族もいないわけではないが、彼らもそれがすべてなわけではない。
だが、その貴族の場合は、少し変わっていた。
彼の娘が、調査兵団、特に、兵士長と副兵士長の大ファンなのだ。
そして今回、その風変わりな娘が、友人達と計画した仮装パーティーを開催することになり、リヴァイ班となまえ、その補佐官であるジャンにも、是非参加して欲しいということだった。
兵士長と副兵士長に会いたい為だけの仮装パーティーは、トロスト区で行われ、仮装の衣装も、貴族の娘たちが用意してくれる為、当日に着替えて会場に向かえばいいだけだということだった。
もちろん、団長のエルヴィンが、断らせるわけがない。
そして、仕事は大嫌いだが、楽しいことが大好きななまえが、喜ばないわけがない。
だが、その仮装パーティーは明日で、薬も飲みたがらないどころか、食事だってとろうとしないなまえが、明日の朝にに復活しているとは思えない。
可哀想だが、諦めてもらうしかない。
(まぁ、自分のせいですしね。馬鹿って罪なんだな。)
ジャンが、クスッと笑って、いつの間にか止まっていた手を動かそうとした時だった。
扉を叩く音が、静かな部屋に響いた。