◇第百三話◇彼女はいつも遠い夢の世界にいた
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『なまえ!!』
あの日、愛を呼ぶかのようなその力強い声が、医療棟前に庭に響き渡った。
その声は、木々が不気味にカサカサと揺れていたそこを、まるで魔法をかけたかのように、ほんの一瞬で、暖かく優しい場所に変えたのだ。
騎士が、守るように抱きしめれば、眠り姫は、縋るように抱きつき泣きじゃくる。その光景に、ジャンは既視感を覚えた。
(あぁ…。)
いつだってそうだ。
眠り姫の夢の世界を、ジャンは遠くから、ただじっと眺めているだけだった。