◇第九十七話◇絶望の淵で彼は何を思う
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翌日の午前中、約束通りに訪ねてきたマルコを連れた私が向かったのは、調査兵団兵舎の団長室だった。
団長室では、、私からあの日の訓練兵がマルコだったと報告を受けた団長と、リヴァイ兵長が待っていた。
真実の隠蔽にナイルも手を貸していたことから、調査兵団の幹部も関わっていることは、マルコにとっても想定内だったのか、あまり驚いたような素振りは見られなかった。
中央の大きなデスクに団長、その横にリヴァイ兵長が並んでいる。私も、マルコをデスク前まで促すと、リヴァイ兵長の隣に並んだ。
マルコは、緊張した面持ちながらも、覚悟を決めた様子だったが、団長の説明が続くにつれ、その表情は、みるみる青くなっていた。
真実を受け入れたくない気持ちが、マルコに、エルヴィンの言葉を途中で妨げさせ、珍しく声を荒げさせた。
そして最後には、絶望に打ちのめされて立っていることすらままならなくなると、膝から崩れ落ちたのだ。そんな彼の姿を見ながら、私の動悸は速くなっていった。
「————君はとても優秀な憲兵だと聞いている。
どうか君には、私達の考えに理解を示し、
人類にとって正しい行動をとってくれることを願っている。」
全てを話し終えた後、マルコにしばらく考える時間を与えた団長は、デスクに両肘を立て、両手を組むと、柔らかい笑みを返した。
マルコが、団長に何て答えたのかは、覚えていない。
気づいた時には、私は、足取りの覚束ないままで扉を開いて出て行くマルコの背中を見送っていた。
「おい、顔色が悪ぃぞ。大丈夫か?」
リヴァイ兵長が、私の腕を掴み、顔を覗き込む。
いつもなら、私はきっと、ヘラヘラとした嘘吐きな笑みを浮かべて、平気だと答えられたはずだ。
でも、今の私にはそんな余裕は持てない。
(あぁ…、どうして…。)
どうして私は、すべてをジャンに話そうと決めてしまったのだろう。
なんて、身勝手で非情なことを———。
震える手で、口元を覆う。
今のマルコが、私から事実をすべて聞いた時のジャンなのだと、思い知らされた。
いや、ずっとそばにいたジャンの方が、絶望は大きい。
優しい彼にとって、真実は、あまりにも酷すぎる。
「おい、なまえ。聞いてんのか。」
リヴァイ兵長に、腕を掴まれ、少し乱暴に身体を揺すられた私は、ハッとして、いつの間にか俯いていた顔を上げた。
団長室では、、私からあの日の訓練兵がマルコだったと報告を受けた団長と、リヴァイ兵長が待っていた。
真実の隠蔽にナイルも手を貸していたことから、調査兵団の幹部も関わっていることは、マルコにとっても想定内だったのか、あまり驚いたような素振りは見られなかった。
中央の大きなデスクに団長、その横にリヴァイ兵長が並んでいる。私も、マルコをデスク前まで促すと、リヴァイ兵長の隣に並んだ。
マルコは、緊張した面持ちながらも、覚悟を決めた様子だったが、団長の説明が続くにつれ、その表情は、みるみる青くなっていた。
真実を受け入れたくない気持ちが、マルコに、エルヴィンの言葉を途中で妨げさせ、珍しく声を荒げさせた。
そして最後には、絶望に打ちのめされて立っていることすらままならなくなると、膝から崩れ落ちたのだ。そんな彼の姿を見ながら、私の動悸は速くなっていった。
「————君はとても優秀な憲兵だと聞いている。
どうか君には、私達の考えに理解を示し、
人類にとって正しい行動をとってくれることを願っている。」
全てを話し終えた後、マルコにしばらく考える時間を与えた団長は、デスクに両肘を立て、両手を組むと、柔らかい笑みを返した。
マルコが、団長に何て答えたのかは、覚えていない。
気づいた時には、私は、足取りの覚束ないままで扉を開いて出て行くマルコの背中を見送っていた。
「おい、顔色が悪ぃぞ。大丈夫か?」
リヴァイ兵長が、私の腕を掴み、顔を覗き込む。
いつもなら、私はきっと、ヘラヘラとした嘘吐きな笑みを浮かべて、平気だと答えられたはずだ。
でも、今の私にはそんな余裕は持てない。
(あぁ…、どうして…。)
どうして私は、すべてをジャンに話そうと決めてしまったのだろう。
なんて、身勝手で非情なことを———。
震える手で、口元を覆う。
今のマルコが、私から事実をすべて聞いた時のジャンなのだと、思い知らされた。
いや、ずっとそばにいたジャンの方が、絶望は大きい。
優しい彼にとって、真実は、あまりにも酷すぎる。
「おい、なまえ。聞いてんのか。」
リヴァイ兵長に、腕を掴まれ、少し乱暴に身体を揺すられた私は、ハッとして、いつの間にか俯いていた顔を上げた。