◇第九十五話◇好きだから『大丈夫』と笑った
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「これで、いいんです。」
なまえが、柔らかく微笑む。
それは、昔からよく見ていた屈託のない笑みとはどこか違う。
でもそれに、見覚えがないわけでもない。
ジャンが、隣にいるときの、なまえの微笑みだ。
幸せ———そのすべてを心底感じているような、可愛らしい微笑みだった。
「私が信じたのは、ジャンだから。」
「…そうか。」
「ジャンならきっと、本当は違うんだろ、何があったんだよ?って言うんです。
そしたら私は、初めて、すべてを話せて、ジャンは、真剣に聞いてくれる。
すごく我儘な妄想だけど、本当にそうなる気がするんです。」
なまえが、照れ臭そうに頬を掻く。
でも、リヴァイはそれを、我儘な妄想だとは思わない。
だって、きっとそれは、間違ってない。
そう遠くない未来の光景が、目に浮かぶようだったのだ。
「ジャンが目を覚ましたら、私…、自分の気持ちを素直に伝えようと思ってるんです。」
なまえは、リヴァイの顔を見て、ハッキリと言った。
「…決めたのか。」
まるで、だからお前は諦めろ———そう言われているようだと思ったけれど、すぐに思い直す。
今までは夢の世界に夢中で、漸く現実を見始めたかと思えばジャンのことばかりの彼女が、リヴァイの気持ちに気づいているわけがないのだ。
きっと、誰かに宣言することで、自分から逃げ道を奪おうとしているのだろう。
それなら、それがリヴァイにとって、どんなに残酷な決意だとしても、聞いてやらないという選択肢は、残念ながらなかった。
「ジャンの答えは、分かりません。自信もありません。
でも、知っていてほしい。どんな残酷な世界に彼が生きていても
私は、彼を無条件に信じてる味方だって。」
あぁ、そういうことか———。
リヴァイは、なまえが、作戦遂行の有無にかかわらず、ジャンに気持ちを伝えるつもりであることを理解した。
だから、それを止めさせないように、今、自分に告白をしたのだろう。
でも、止めはしない。きっと、誰も止められない。
彼女の、こんな顔を見てしまったら、誰も———。
「その人がいるだけで、強くなれる気がする。
すべてがキラキラ輝いて、まるで、起きてるのに、夢の世界にいるような気分になれる。
ううん…夢の世界なんかよりもずっと楽しくて、幸せ。
———こんな気持ち、初めてだから。」
なまえは、幸せに身を任せるかのような表情で、自分の胸に手を添えると、そっと瞼を閉じた。
今、彼女が見ているのは、いつも見ていた夢の世界ではない。
瞼を閉じた暗闇の向こうに、なまえは、ジャンと生きる未来を見ているのだろう。
共に、残酷な現実に立ち向かっていく、逞しくも美しい現実を———。
なまえが、柔らかく微笑む。
それは、昔からよく見ていた屈託のない笑みとはどこか違う。
でもそれに、見覚えがないわけでもない。
ジャンが、隣にいるときの、なまえの微笑みだ。
幸せ———そのすべてを心底感じているような、可愛らしい微笑みだった。
「私が信じたのは、ジャンだから。」
「…そうか。」
「ジャンならきっと、本当は違うんだろ、何があったんだよ?って言うんです。
そしたら私は、初めて、すべてを話せて、ジャンは、真剣に聞いてくれる。
すごく我儘な妄想だけど、本当にそうなる気がするんです。」
なまえが、照れ臭そうに頬を掻く。
でも、リヴァイはそれを、我儘な妄想だとは思わない。
だって、きっとそれは、間違ってない。
そう遠くない未来の光景が、目に浮かぶようだったのだ。
「ジャンが目を覚ましたら、私…、自分の気持ちを素直に伝えようと思ってるんです。」
なまえは、リヴァイの顔を見て、ハッキリと言った。
「…決めたのか。」
まるで、だからお前は諦めろ———そう言われているようだと思ったけれど、すぐに思い直す。
今までは夢の世界に夢中で、漸く現実を見始めたかと思えばジャンのことばかりの彼女が、リヴァイの気持ちに気づいているわけがないのだ。
きっと、誰かに宣言することで、自分から逃げ道を奪おうとしているのだろう。
それなら、それがリヴァイにとって、どんなに残酷な決意だとしても、聞いてやらないという選択肢は、残念ながらなかった。
「ジャンの答えは、分かりません。自信もありません。
でも、知っていてほしい。どんな残酷な世界に彼が生きていても
私は、彼を無条件に信じてる味方だって。」
あぁ、そういうことか———。
リヴァイは、なまえが、作戦遂行の有無にかかわらず、ジャンに気持ちを伝えるつもりであることを理解した。
だから、それを止めさせないように、今、自分に告白をしたのだろう。
でも、止めはしない。きっと、誰も止められない。
彼女の、こんな顔を見てしまったら、誰も———。
「その人がいるだけで、強くなれる気がする。
すべてがキラキラ輝いて、まるで、起きてるのに、夢の世界にいるような気分になれる。
ううん…夢の世界なんかよりもずっと楽しくて、幸せ。
———こんな気持ち、初めてだから。」
なまえは、幸せに身を任せるかのような表情で、自分の胸に手を添えると、そっと瞼を閉じた。
今、彼女が見ているのは、いつも見ていた夢の世界ではない。
瞼を閉じた暗闇の向こうに、なまえは、ジャンと生きる未来を見ているのだろう。
共に、残酷な現実に立ち向かっていく、逞しくも美しい現実を———。